新・チャレンジ企画
「おい、榊。こっちで合ってるのか?」
「ええ。亜美ちゃんが調べてくれたルートよ」
大通りから一本奥まったその路地は、かなり狭く、車がすれ違うのも難しそうだ。
二人はマリコの地図を頼りに進む。
ただでさえ道幅が狭いのに、所々、道沿いの家の荷物やごみが置かれ、車が通る度に二人は立ち止まる。
また1台、車が後ろから迫ってきた。
「ちっ、危ないな。榊、もっと寄れ」
土門はぐいっとマリコの肩を抱き寄せた。
すると二人のすぐ脇を車は通り過ぎて行った。
「なんてスピード出してやがる。ナンバーを押さえておくんだったな。お前、見たか?」
「……………」
マリコからの返事はない。
「榊?」
不審に思った土門がマリコの顔をのぞきこむと、あきらかに頬が赤らんでいた。
土門の触れている部分が熱い。
肩から伝わる熱に、マリコは頬だけでなく、耳まで染まる。
照れているのだろうか。
やや伏せた長い睫毛は小さく震えていた。
マリコの思わぬ姿を目の当たりにして、土門は理性の“タガ”が……半分。
いや、それ以上に外れた。
「榊……」
「土門…さ、ん?」
マリコは、近づく土門の顔に戸惑う。
「え?」
整髪料が香る。
「ちょっと、まっ……」
息づかいまで伝わる。
「待てんな」
土門さん、『道路でkissはちょっと行き過ぎ』では?(笑)
fin.
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