thanks!《2》

スキ!を送りました
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)


「ねえ、亜美さん」

呂太は、パプリックスペースで蒲原刑事と談笑している亜美に声をかけた。

「なに?呂太くん」
「今夜、二人はデートするの?」

「え?(呂太くん、なんで分かったんだろう?)」
「え?(橋口のやつ、なんで知ってるんだ?)」

そろって口籠り、目が泳ぐ二人。

「し、しないわよ!」
「そうなの?だって、今日は…あ!」

なにか言いかけた呂太は、お茶とおやつを運んできた二人にターゲットを変更した。

「ねー、ねー。宇佐見さんとセンセイは、今夜デートだよね?」
「はあ?(今夜も、だけどね)」
「……………」

さすがのアダルト組は、顔色一つ変えない。

「そんな予定はありません!」
「呂太くん、お茶が冷めますよ」

宇佐見の言葉に、呂太の思考はすぐにおやつへと向いた。

『単純だな』と思った二組のカップルだったが。

「あ!マリコさんたち、帰ってきた!」

並んで科捜研へ戻ってきた二人に、呂太は突撃する。

「ち、ちょっと!ワカモノ!!」

早月が慌てて手を伸ばしたが、間一髪!
呂太の白衣は早月の指先を掠め、通り過ぎてしまった。

「マリコさんは、今夜ぜーったいデートするよね?」
「デート?誰と?」
「へ?しないの?」
「ええ。今夜は、土門さんと食事に行く約束しかしてないわよ」

――――― マリコさん、それをデートというのでは…?

言った本人と、呂太以外はため息を吐き、脱力する。

「なんでー?なんで、みんな今夜はデートしないの?」
「呂太くん、どうして今夜にこだわるの?」

亜美がお団子頭を揺らしてたずねる。

「え?だって今日は、デートの日でしょ?」
「呂太くん。それをいうなら、『デーツの日』」

割り込んだ呆れ声は日野だ。

「今日はドライフルーツの『デーツの日』なの。『デートの日』じゃないよ」
「なーんだ」

途端に興味をなくした呂太は、早々におやつのカステラにかぶりついた。

「呂太くんの勘違いだったのね。だけど、土門さん」
「なんだ?」
「土門さんも早くデートの相手を見つけたほうがいいわよ」

――――― マリコさん…。

外野からいっせいに漏れるため息。

「生憎だが、もういるぞ」
「え?私、知らないわよ」
「そうだったか?それじゃあ、今夜教えてやろうか?」
「ええ。教えて!」

(*ノェノ)キャーとこっそり照れるのは、亜美。
器から茶の湯が溢れていることにも気づかず、注ぎ続ける宇佐見。
そして、明日の朝は必ず科捜研に立ち寄ろうと決意した早月と蒲原だった。

※デーツとはナツメヤシの実を完熟させたドライフルーツのこと。
12月の英単語「December」の頭文字のDと数字の2を組み合わせて「デー(D)ツ(two=2)」と読む語呂合わせから。
💡ヨーロッパではクリスマスのお菓子によく使われる食材だそうです(^^)b


(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


28/28ページ
スキ