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帰宅を急いでいた美貴は、カバンの中で鳴り出したスマホに気づいた。
時刻はもうすぐ21時。
着信相手の名前を確認してうんざりしたが、それでも早足のまま美貴は通話ボタンをタップした。

「もしもし、美貴ちゃん。ひさしぶりねぇ。げんきぃ?」

こちらの様子などお構いなしの相手の声。

「叔母さん!久しぶり。元気だけど、何の用?」
「何の用…って。美貴ちゃん、まだ一人でしょう?」
「……………」

叔母にバレないよう、美貴はこっそり嘆息した。

「薫くんもだし。兄妹そろっていつまでも独り身じゃぁ、叔母さんも心配でねぇ」
「……………」

この先の流れは読めている。

「いいお話があるんだけど、どお?」

ほら、やっぱり。

「叔母さん、まだ仕事中だから切るね!」
「ち、ちょっと、美貴ちゃん!」

叔母は何か言いかけていたようだが、美貴の知ったことではない。

「まったく余計なお世話よ。私はまだまだ仕事に打ち込みたいのに…。それもこれもお兄ちゃんが一人だからよね!よし!」

手に持ったままのスマホから、別の相手に電話をかける。

「何の用だ?」

誰何もなく、不機嫌そうな声が第一声。

「何よぉ。久しぶりの妹からの電話だっていうのに。仕事中なの?」

『もしかしたら、張り込み中か何かだったろうか?』
美貴の頭を心配が過る。

「いや、仕事ではないが……」
「忙しいの?」
「取り込み中だな」
「?」

珍しく、兄にしては煮え切らない。

ーーーーー 誰?美貴ちゃん?
ーーーーー ああ…。すまんな……。

「!?」

スマホ越しに聞こえる兄と女性の会話。
その相手の声を、美貴が聞き間違えるなんてありえない。

しかも、こんな時間に。
背後の静けさから、きっとどちらかの自宅で二人きり…?
そして、何だろう…。
自分の知っている普段の二人とは明らかに違う声色だった気がする。

「………お兄ちゃん」
「なんだ?」
「突然電話してごめん。でも、一生のお願いがあるの」
「なんなんだ、いきなり?」
「お願いだから、早く結婚してね!」
「はっ!?お、おい……」

それだけ言うと、美貴はプツリと通話を切った。
そしてすぐさま、同じ相手に今度はラインを送る。

『婚姻届は、24時間受理してもらえるからね!』



(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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