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刑事という職業は、常に時間に追われている。
一分一秒早ければ、一つの命が助かるかもしれない。
一分一秒遅れたために、被害者を生んでしまう。

人の生死を分ける過酷な現場。
それをともに乗り越えてきた相棒が、つい先日臨終を迎えてしまった。

土門は傷だらけの文字盤を眺める。
バンド部分もボロボロで、ところどころ亀裂が走っていた。

「よく使ったものね。仕方ないわ」
「ああ」

それは分かっていても、これまでの自分の軌跡まで止まってしまったような気がして、土門はなかなかその時計を処分出来ずにいた。

「ねぇ…」
「なんだ?」
「この時計、私に預けてくれない?ちょっと考えがあるの」


そういうマリコへ時計を預けて3週間後。

「土門さん、はい」

マリコから渡されたのは新しい時計。
これまでのものとよく似ているがやはり違う。

しかし…。

「知り合いに頼んで、CMWの人を紹介してもらったの。その時計、前の時計でまだ使えるパーツを再利用して組み立ててあるのよ。中身の詳しい部分は分からないけど、短針長針も以前のものらしいわ」

土門は驚き、改めて時計を見つめる。
確かに針は新品とは言えず、色褪せているようだ。

「榊、どうして………」
「だって土門さんの時間を刻んできた大切な時計でしょう?それに、これには、私との時間だって詰まってる」

その通りだ。
この時計は京都へ異動になった際、ふと思い立ち駅のデパートで購入したものだった。
新天地で新しい人生を過ごしていこうと。

そして十数年。
この時計は刑事としての土門はもちろん。
二人の馴れ初め、経緯、歩み。
全てを見届けてきた。

今日からも。
姿は変われど、再び共に記憶していくことが出来る。

「相棒、またよろしく頼む」

時計はまるで返事をするかのように、長針がカチッと動いた。

一秒、また一秒。

規則正しく。
止まることなく。

二人の時間は進んでいく。



(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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