thanks!《2》
スキ!を送りました
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)
「しばらく、人事異動で慌ただしくなるな」
「もう4月だものね」
屋上を渡る風も、いつの間にか柔らかい。
「そういえば、俺が刑事に任命されたときの話は以前したよな?」
「火浦さんと…」
「ああ、そうだ。お前はどうなんだ?」
「え?」
「科捜研に入所した頃の話、あまり聞いたことがないな」
「さぁ…どうだったかしら」
「お前のことだ。どうせ科捜研に入り浸りの日々だったんじゃないのか?」
「……否定はしないわ」
くくっと土門は笑う。
「色々…」
「ん?」
「色々あったわね………」
マリコの脳裏を走馬灯のように、過去の出来事が流れていく。
仲間との出会いや別れも、幾度となく経験した。
そう、あの刑事 とも…。
マリコの意識が一瞬過去と交錯する。
『榊くん…』
懐かしい呼び方だ。
もう一度聞きたい…マリコは耳を済ませた。
でも。
「榊?」
聞こえたのは、違う呼び方、違う声。
けれど、今のマリコには過去のそれよりも、ずっと大切な人の声。
何より、その人は今、生きて自分の傍にいる。
「土門さん」
「ん?」
「土門さん」
「…榊?どうした?」
「何でもないわ」
「変なやつだな…」
訝しげな土門に、マリコは曖昧に微笑む。
――――― どうかこれからも、ずっと…。
「傍にいてね」
その一言は、桜吹雪にかき消されてしまった。
「そろそろ戻るか?」
「ええ」
歩き出した土門は、ふと足を止めると振り返る。
後ろからついてくるマリコへ手を差し出した。
「なに?」
「傍にいるんだろ?だったら後ろじゃなくて、隣りに来い」
「!」
マリコは大きな瞳をさらに見開き、泣きそうな表情を浮かべる。
2つの手のひらが重なり合うその瞬間、何かが隙間に舞い込んだ。
そっと開くと、そこには淡いピンクのハート型。
春を導く、小さな花びら一枚。
(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」
(コメントの返信は『Re:』ページをご覧ください)
「しばらく、人事異動で慌ただしくなるな」
「もう4月だものね」
屋上を渡る風も、いつの間にか柔らかい。
「そういえば、俺が刑事に任命されたときの話は以前したよな?」
「火浦さんと…」
「ああ、そうだ。お前はどうなんだ?」
「え?」
「科捜研に入所した頃の話、あまり聞いたことがないな」
「さぁ…どうだったかしら」
「お前のことだ。どうせ科捜研に入り浸りの日々だったんじゃないのか?」
「……否定はしないわ」
くくっと土門は笑う。
「色々…」
「ん?」
「色々あったわね………」
マリコの脳裏を走馬灯のように、過去の出来事が流れていく。
仲間との出会いや別れも、幾度となく経験した。
そう、あの
マリコの意識が一瞬過去と交錯する。
『榊くん…』
懐かしい呼び方だ。
もう一度聞きたい…マリコは耳を済ませた。
でも。
「榊?」
聞こえたのは、違う呼び方、違う声。
けれど、今のマリコには過去のそれよりも、ずっと大切な人の声。
何より、その人は今、生きて自分の傍にいる。
「土門さん」
「ん?」
「土門さん」
「…榊?どうした?」
「何でもないわ」
「変なやつだな…」
訝しげな土門に、マリコは曖昧に微笑む。
――――― どうかこれからも、ずっと…。
「傍にいてね」
その一言は、桜吹雪にかき消されてしまった。
「そろそろ戻るか?」
「ええ」
歩き出した土門は、ふと足を止めると振り返る。
後ろからついてくるマリコへ手を差し出した。
「なに?」
「傍にいるんだろ?だったら後ろじゃなくて、隣りに来い」
「!」
マリコは大きな瞳をさらに見開き、泣きそうな表情を浮かべる。
2つの手のひらが重なり合うその瞬間、何かが隙間に舞い込んだ。
そっと開くと、そこには淡いピンクのハート型。
春を導く、小さな花びら一枚。
(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」