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11月22日はいい夫婦の日だ。

土門と結婚し、初めてこの日を迎えたマリコは“いい夫婦”とはどんなものだろうと改めて考えてみた。

夫より先に寝てはいけない。
夫より後に起きてもいけない。
美味しいご飯を作り、いつも身綺麗にして夫の帰宅を迎える。

まるで関○宣言のような妻であることが、“いい夫婦の条件”……なのだろうか?



「“いい夫婦の条件”?マリコくんの口からそんな言葉を聞くことになるとはね…」

日野は眼鏡の奥のつぶらな瞳を精一杯開く。

「そうだなぁ。僕の場合は単身赴任だからね。離れている分、お互いを気づかうことが大切かな…なんてね」

日野は言ってから恥ずかしくなったのか、照れ隠しに眼鏡をかけ直した。



『まあちゃん?電話をかけてくるなんて珍しいね!どうかしたのかい……え?』

スマホの向こうで伊知郎は絶句している。

『い、“いい夫婦の条件”かい?……マリコ、土門くんと何かあったのかい?え?だって急にそんなことを聞くから…そう?何でもないならいいんだけどね。あ、うん。条件ね…そうだなぁ』

伊知郎はしばらく考える。

『母さんのことをよく観察することかな?』

伊知郎は科学者らしい解答をする。

『観察…というか、“見守る”のほうが正しいかもしれないなぁ。まぁちゃんには、まだ分からないかもしれないけどね。大丈夫。いつか分かるよ』



2組の先輩夫婦の話を聞いても、マリコにはいまいちピンとこない。
仕方なく、マリコは土門に直接聞いてみた。

「“いい夫婦の条件”なんて、きっと夫婦の数だけあるだろう。それにその条件が分からないってことは、今でも十分いい夫婦だってことじゃないのか?」

土門はそういうと、そっとマリコの唇を奪う。

「甘いな、奥さん」

くっと笑う土門に何となく丸め込まれ、マリコは寝室へとさらわれる。

いい夫婦の日を充実して過ごした二人は、翌年にはその日を三人で迎えることになる。



「マリコ、光翼が泣いてるぞ?」
「今、手が離せないの!薫さん、オムツをかえてあげて」
「おう。光翼、オムツ変えような♪」(←デレデレ)

今年も、いい夫婦の日は…快晴だ。


(こっそり)
管「送信ありがとうございました!(≧∇≦)管理人の頑張る源です。ぜひまたお越しください(^^)」


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