『密着!どもマリ24時』(エイプリルフール編)

in animal hospital




「ビビ~。拾い食いなんてしたらダメだぞ!」

「突然吐き出すから、本当に心配したのよ」

そこには、早朝から愛猫に振り回された一組の夫婦の姿があった。

「そうだ、小春。どこか寄りたいところはあるか?」

「え?」

「久しぶりだろう。二人で出掛けるの」

「そうですねぇ……いいえ。ビビも連れているし、帰りましょう」

「いいのか?」

「折角のお休みですもの。家でゆっくり休んでください」

「小春…。ありがとう」

優しい笑顔を見せる妻の手をそっと握り、二人はゆっくりと歩み出す。

「それにしても、土門刑事には申し訳ないことをした。なあ、ビビ?」

「にゃー(面目次第もないのである…)」



♪プルプルプル……

着信音に、大岩の背筋が伸びる。

「大岩だ。………そうか。わかった」

「事件ですか?」

「ああ。最後のワンカットを残して、土門刑事が逃走したらしい」

大岩は小春にニヤリと笑ってみせる。

「まぁ。それじゃあ、急いで戻らないと……」

小春はタクシーを探す。

「いいんだ。撮影は明日にしてもらう」

「でも……」

「なんだ?小春は俺がいない方がいいのか?」

「そんなわけないでしょう?」

少し“むっ”とした妻に、大岩は言った。

「春菜に……プリン、買って帰ろうか?」

「ええ!」

明日からはまた、殺伐とした事件と向かいあうことになるだろう。
だから、今だけは……と。
今日も小春の笑顔に癒される大岩純一捜査一課長であった。

(うむ!ベリーグッドです👍 by笹川刑事部長)




fin.




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