『密着!どもマリ24時』(エイプリルフール編)

in Mariko’s house




土門がようやく京都へ戻ると、すでにマリコは自宅にいた。

「土門さん!?仕事は?」

何の連絡もなく、息を切らせて戻ってきた土門に、マリコは目を丸くする。

「『仕事は?』じゃない。風丘先生から聞いたぞ!何もされてないだろうな?」



土門は新幹線に飛び乗ると、すぐに早月へ電話をかけた。
その早月の説明によれば。

『………でね。マリコさんの周りに人垣…じゃなくて男垣ができてるのよ』

「男垣?それは、いったい……?」

『だから、ナ・ン・パよ、ナンパ!早く戻ってこないと、マリコさん…お持ち帰りされちゃうわよ!?』

「なにっ!?」

焦った土門は、今回に限り公私混同を発動した。

早月との電話を切り、別の番号をタップする。

すぐに電話は繋がった。

「蒲原、すまんっ!緊急事態だぁぁぁ!!」





「突然、蒲原さんが現れたんだもの。驚いたわ」

「それは、もういい。それより、本当に何も……されていないだろうな?」

「心配しすぎよ!写真を…取られたくらいかしら」

「これか?」

土門のスマホには、蒲原から送られてきたマリコの着物姿の画像が保存されていた。

「やだっ!どうして土門さんが持ってるの?恥ずかしいから消して!」

「消さない」

「ねぇ、消して!」

マリコは土門のスマホを奪おうと、手を伸ばす。
でも、マリコの背では土門には敵わない。

「似合っているからいいじゃないか」

そう。
よく似合っている……。
土門は、目尻を下げてその画像を眺める。

この画像に問題があるとすれば、それは。
これを……他の男も持っているかもしれない、ということだ!

「お前、暫くパーティーや飲み会は禁止だ。風丘先生に誘われても行くなよ」

「何故?」

「俺の臨場が間に合わないかもしれないからだ!」

何のことだか分からないマリコは、きょとんとしている。

「とにかく、今朝からやり直させろ」

「今朝からって……」

「もちろん、“おはよう”からだ」

そういうと、土門は朝のルーティーンを始める。

マリコの髪に触れ、頬に触れ、耳元で囁く……。

「……明日は早いのに。……んんっ」

「榊、今夜は寝かせない……」

土門のイタズラな手は止まらない。

「……も、でしょう?」

「ん?」

「今夜“も”、でしょう!」

睨み付けるその赤い顔に煽られて、土門の熱も上昇する。

「“も”じゃあ、ダメなのか?」

「……………ばか」


この密着は……。
どうやら24時を過ぎても終わらなさそうだ。

(深夜手当……つきます?( ̄― ̄)ニヤリ by管理人)




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