『密着!どもマリ24時』(エイプリルフール編)

in party




「マリコさん、よく似合うわよ~♡」

「そうですか?でもキツくて動きにくいです……」

「まあ、まあ。そう言わないで。滅多に着る機会もないんだし、ね?」

「そうですね。先生も」

「なに?」

「似合ってます」

「マ、マリコさんからお世辞を言われるなんて!」

早月がわざとらしくよろめく。

「本心です!」

「あはは…。うん、ありがと!」



土門が不在になってしまったため、休日をもて余していたマリコのもとに、ちょうど早月から誘いの声がかかった。

「マリコさん、桜まつりに行かない?」

それは早月の大学で、この春新たに教授へ昇進した先生のお祝いの会だった。
ガーデンパーティーとはいえ、満開の桜の下では盛大な茶会も催されていた。
TPOをわきまえた早月の計らいで、この日の二人は珍しく着物を身に付けていた。

早月は淡い水色を基調とした仕立ての着物で、すその辺りには鮮やかな黄蘗きはだ色の菜の花が咲き誇っている。

一方のマリコは。
桜に合わせて薄桃色の着物を選んだ。
絵柄も何もないシンプルなデザインだが、すそに向かって少しずつ色調が濃く変化している。
グラデーションの美しい着物だ。

そんな春の装いも艶やかな二人の女性を、世の男どもが放っておくはずもなく……。


事件は東京ではなく、京都で発生していた。




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