『密着!どもマリ24時』(エイプリルフール編)

in MPD




東京駅から急ぎ警視庁へ到着した土門は、まず捜査一課を目指した。

「土門刑事、ですか?」

背後からの呼びかけに、土門は振り返る。

「はい。自分は土門ですが?」

「うーん。本当にそっくりですね」

「?」

「失礼しました。私は一課長付きの奥野と言います。笹川刑事部長からの伝言を伝えにきました」

「笹川刑事部長から?自分に?」

土門は訝しげにな視線を相手に向ける。

「はい。実は………………」



「む、無理です!」

「そこをなんとか!」

奥野は額の上で両手を合わせ、土門に頼み込む。

「自分に一課長の真似なんて、絶対にできません!いくら似ているからって、そんなおそれ多い……」

「分かってます!分かっていますが……。どうか我々、ひいては警視庁を助けるためと思って、ここはひとつ!」

「………自分は、そのために非番返上で呼び出されたってわけですか?」

「そ、それは……………」

「引き受けない限り、帰れない?」

「……申し訳ありません」



警視庁捜査一課長の大岩は、今日、広報の依頼で動画撮影に参加する予定になっていた。
警視庁のイメージアップのため、一課長自ら臨場し、捜査員らを激励するシーンが予定されていたのだが……。

「早朝にご家族が体調不良になったと連絡がありました。どうしても付き添う必要があるらしいのです。普段なら仕事第一の一課長がそこまで仰るのは初めてのことで、笹川刑事部長も許可を出したそうです」

「で、自分にお鉢が回ってきたと……」

以前から大岩と土門が似ているという噂は、管轄を越えて警察内部では有名な話だ。

「そういう理由なら仕方ない」

「それでは?」

「ただし、終わり次第帰らせてもらいますよ?」

「もちろんです!ありがとうございます!!」

「……………」

土門は一刻も早く京都に帰りたいがために、ため息を飲み込んだ。




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