チャレンジ企画
「ゲームセンター?何だってこんな所に来たいんだ?」
「私、ユーフォーキャッチャーっていうのをやってみたいの!」
「何か欲しいものでもあるのか?」
「ううん。でもすごく難しいんでしょう?」
「そりゃ、簡単だとすぐに景品を取られて、店は儲からないからな」
「景品の配置が絶妙に計算されている、って呂太くんが言ってたわ。アームの角度や掴む強さなんかの微調整がとても大変なんですって!」
マリコの瞳がキラリと光る。
「…………」
「やってみたいわ!」
『そっちか……』マリコらしい答えに納得した土門は、両替した小銭をマリコに渡した。
「やってみろ」
「ええ。ありがとう」
「どれにしようかしら……」
ずらりとならんだ列を、マリコは物色していく。
「これ!これなんて難しそうね」
マリコが選んだのは、色々なパンの形をしたクッションのユーフォーキャッチャーだ。
マリコはお金を投入し、角度を調節しながらアームを動かす。
取りやすそうな食パンのクッションに狙いを定めたようだ。
アームの先がクッションを挟み、ゆっくりと釣り上がる。
重さに揺れながらも、何とか取り出し口までたどり着いた。
「取れた!」
「お前、才能あるな!」
土門は景品のクッションを取り出す。
「ほら、戦利品だ」
「わあ!フカフカで気持ちいい!ねぇ、あれも取れそうだと思わない?」
マリコが指差したのは、同じ食パンのクッションだった。
「同じものでいいのか?」
「二つあれば、お揃いで使えるでしょう」
『やってみるわ!』と、マリコは本腰を入れて、対策を練りだした。
あっちから、こっちからとガラスをのぞき、ベストポジションを探る。
残りの500円を投入して、いざ、勝負!
結果は……。
「やった!取れたわ!!」
「………天才だな」
『それにしても、このクッションは柔らかくて最高だなぁ』
土門は両頬を挟むクッションの心地よさに、更に顔を埋める。
「ふかふか…だ……」
もごもごと自分の胸元から聞こえる声に、マリコはただただ顔を赤くする。
「も、もう…。土門さん、何の夢を見てるのかしら?」
抱き込まれ逃げることもできない。
でも。
何だか……。
「……かわいい♡」
恋は盲目だ(笑)
fin.