チャレンジ企画





「ふぅ…。よく降ったわね」

「通り道ぐらいは雪かきしないとな」

気象庁によれば、数十年に一度だという猛吹雪の翌日。
銀世界を目の前に、二人はやれやれとスコップを手にする。

アスファルトがのぞく頃には、二人とも汗ばんでいた。

「暑いな……」

土門はマフラーを外すと、手近な木の枝にかけた。

マリコは……と見れば、疲れてしまったのだろう。
しゃがみこみ、雪玉を作っていた。

「サボってるな?」

笑いながら近づくと、土門も雪を丸め出した。

しばらく二人で黙々と雪玉を大きくする。
4つ作ると、2つずつ重ね、2体の雪だるまができた。

さらに、積み上げた雪を使って土門はかまくらもどきを作り、その中に雪だるまを入れた。

「くしゅん!」

隣から小さなくしゃみが聞こえた。

「いかん、遊びすぎたな。体が冷える前に家に入ろう」

土門は手早く崩れた雪山を元に戻し、スコップを片づける。

「榊、戻るぞ!」

土門が声をかけると、マリコはかまくらの前にしゃがみこんでいた。

「榊!」

マリコは立ち上がると、土門のもとへ向かう。

「寒くないか?」

心配した土門は自分のマフラーをマリコに渡そうとして、枝に掛けたままだったことを思い出した。

「ちょっと待ってろ!」

土門は小走りでマフラーを取りに戻る。

ふと、かまくらに目をやれば、雪だるまを置いた場所が変わっていた。

「?」

土門はかまくらをのぞいてみた。

すると……。

土門の背後から差し込んだ西日が、雪だるまを照らす。

2つの雪だるまから伸びるその影は、かまくらの壁にまで映りこんでいた。
……ちょうどある一点が重なりあうように。

「やられたな……」

言葉とは裏腹に、優しい笑みを浮かべた土門はマリコのもとへ駆けていく。

ふわりとマフラーをマリコの首にまわす。
そして、雪だるまたちと同じように……。




fin.



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