大正浪漫譚






かつて天動説と地動説という相反する学説が存在したように、宇宙にまつわる研究は今でも多くの学者の興味を引いている。

その中の一人、天文学者のヤマト博士(※)はこれまでとはまるで異なる、ある一つの学説を組み立てた。

それは…。

太陽を挟んで、表と裏。

そこに、まるで鏡のように似て非なる二つの銀河系が存在する、というものだ。

つまり、今、我々の存在している地球が太陽の裏側にももう一つ存在しているというのだ。

そしてその地球には、我々と同じ姿、名前、人格を持った人間が存在しているという。

『非なること』といえば、我々と同じ人物でありながら、違う生活…つまり職業に就いていたり、人間関係を持っているという点だ。

これはどうやら時間の流れが関係しているらしい。

ヤマト博士によれば、裏側の地球は我々とは違う時間軸を刻んでいるはずだという。

そのため、時には我々より進んだ文明を持つ時代もあれば、我々より遅れた時代になることもあると考えられる。



このお話は、そんな二つの地球の土門薫と榊マリコの物語である。




※『はい〇らさんが通る』の作者さまのお名前をお借りしました。


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