第一章

 部屋に戻ると机の上にプレゼント形式で置いてあった。通常盤、初回盤A、初回盤B……全形態ある。パパは、こんな高額なものを何もないこの日に買ってきてくれたのだろう。

 そのDVDを見ている時、ふと大雅くんが頭によぎった。私を大切にしてくれている大雅くん。なのに私は『推し』という存在を作り、そこに愛とお金をかけている。普通、大雅くんにお金をかけることにも、推しにお金をかけているんだ。不安で、少し悲しい気持ちになった。

 と、玄関のドアが開いて、閉まる音がした。パパがどこかに出かけたのだろうか。この時間だし夕飯の買い出しにでも行ったのだろうか。

 推しが、ドッキリにかけられ、画面内で叫んでいる。愛おしい、と思いながらその画面をガン見しているとスマホから一つの通知音と共に、推しの曲が流れてきた。この曲は、四葉からメッセージが来た時の音だろう。案の定、スマホを見ると四葉からメッセージが来ていた。

四葉『岡崎さんが、純恋ってヲタク?って聞かれたんやけど、どうすればいい?』

 不安になった矢先、大雅くんがそんなことを聞いたなんて思いもよらなかった。ってか四葉の連絡先持ってるんだ、と少しショックを受けた。……私は、ヲタクだ。でも、それを大雅くんが知ったらどんな気持ちになるんだろう。私のこと嫌いになっちゃうのかな。でも、隠すのも駄目かな。私は意を決して四葉にヲタクって言っといて、と送った。

純恋『ヲタクだよって言っといて。ちなみに稲垣ショウくんって。』
四葉『いいんやな?後悔しやんといてーな?』
純恋『うん、大丈夫だよ。』
四葉『(Goodのスタンプ)』

 隠し事はしてはいけない。大雅くんは私が嘘をつくと必ず見破ってくる。隠し事をしても、大雅くんは必ず気づく。私のことよく見てくれてるんだな、と実感した。

 と、考えにふけているとリビングの方からパパの声が聞こえてきた。

「純恋ーごはん食べよー。」
「はーい。」

- リビング -

「パパ……。」

 私は、一番パパに言いたかったことを思い出し、思い切ってパパに言うことにした。パパは優しい目で、優しい声で、私の話を聞いてくれた。

「あの……ごめんなさい。昨日はつい、カッときちゃって、パパに強く当たっちゃった。」
「んーん。全然良いの。パパも全然純恋のこと考えれてなかったし。」

 パパは、ショウくんのDVDで許してもらおうとしたし、と軽く笑った。私も、パパの微笑みに釣られ、笑顔になった。と同時に、パパにも隠し事できないなと思い、あのことを言ってみようと思った。

「パパ、ずっと前から言い忘れてたんだけど……。」
「何々?」

 パパは興味津々にコチラを見ている。あのことを行ったら、パパはどう言うだろうか。パパのことだから、最初少しフリーズでもして連れてきなさい!とでも言うのだろうか。親バカだし……。

「彼氏できた。」

 案の定、パパは少しフリーズした。

「えーっと、三ヶ月前くらいに……。」
「ちょっとー!!早く言ってよ!パパ泣いちゃう!」

 少し痛めの台詞。まぁ、これがパパの口癖なのだが。そう言って泣いたところを見たことがないのは気のせい?私は少し苦笑いをしてその場をやり過ごそうとする。

「おーい!笑うな!ってかパパ許さないよ!?連れてきなさい!」

 予想通りの台詞。やはりパパは親バカなのかな?イケメン、なのかもしれないけれど、パパは面白枠だと思ってるし、バケモノだから。でも、そう言うところが、パパのいいところで、私の好きなところ。こんな生活が長く続けばいいな、と思っているのは私だけですか?
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