第一章

「パパおはよう。」

 雲ひとつない青空の中、私は無機質な白に飾られた推しに見つめられながら目覚めた。リビングへ行くと父が朝ごはんを作っていた。私には母がおらず、父が男手ひとつで育ててくれた。もう高校生。親孝行もしないと。

「純恋おはよう。ご飯食べよっか。」
「うん。」

 元々引っ込み思案な私。父に申し訳ない、と思うことも多くなりなかなか素直になれず父にそっけない態度をとってしまう。それが今の悩み。学校などで何かあっても何も言えない、相談できない、話をできない、そんな自分が嫌になってきた。

「今日、出張で遅いから。家政婦みたいな人?呼んでおいたから。」
「うん、ありがとう。」

 家政婦みたいな人?? 身内なら、誰、っていうしね。家政婦みたいな人なのかな? 無料で、みたいな? まぁいいや、私も、パパが行ったら家を出よう。

 なるべく、いきたくない学校。……そう、私はいじめられている。父親だけ、というのがいけないのだろうか。自分と違う、自分の普通と違う、ということだけでいじめる。それが人間の原理というものだろうか。人間はやはり疎かだ。何事もよく考えずに雑に扱ってしまう。重い足取りをもとに、私は学校へ向かう。

「ブスミレー!!おっはよー!」

 でた。私をいじめている、稲垣 留美(いながき るみ)と桜宮 歌絵(さくらみや かえ)。私は春上 純恋(はるがみ すみれ)、高校一年生。パパの名前は春上 雅夜(はるがみ まさや)。留美と歌絵は私のことを『ブスミレ』と呼んでいる。語呂がいいのは置いといて。

「今日は、何の花が置いてあるかなー!」

 花__いつも学校へ行くと私の机の上に花が置いてある。四葉のクローバー、鳥兜、白詰草、など。『復讐』そんな意味を持つ花言葉だ。私に復讐って、復讐されることがあったのかはわからないが。最初はなんの花なのかよくわからなかったけど、調べていくうちにだんだん花言葉がわかってきたようだ。

「何この花。」
「あー、スノードロップね。」

 スノードロップ……。意味は確か、『あなたの死を望みます。』へー、そんなにこれを置いた人は私の死を望んでいるのかな。人間って、死ね、とか殺す、とか言っても実行する気はないんだからさ。いざとなって殺そうと思っても、そんな勇気はないんだからさ。

「えーっと意味は、『あなたの死を望みます』」
「えー!高度ー!最高じゃん!!」

 いや、全く高度な技でもないのですが……。やっぱり知能低いな、ってすごく思う。小学生も、中学生も、高校生も所詮そんなに変わらないんだなってすごく思う。いじめは変わらないんだなって。いじめって人類が滅亡しないと一生あると思ってるから、もう諦めてるね。

「ブスミレー!早く死ねよ!」
「それな!早く死ね!!」

 死ねーーそんな言葉を気軽に使ってさ、私が自殺したら焦るんでしょ?事情聴取されてさ、クラスメイトが情報売ってさ、私が遺書書いたらさ、全部お前らのせいってなるんだから。でも、そんな復讐の仕方はしたくない。どうせなら、私が生きている時に苦しんでほしいでしょ?

「何また馬鹿なことやってんの。」
「四葉も一緒にやる?」
「やんない。純恋、大丈夫?」

 河口 四葉(かわぐち よつば)ちゃん。私の自称親友だ。本当に親友って言っていいのかはわかんないけど。四葉ちゃんは私に優しくしてくれて、いじめられているところを助けてくれる。いい人と巡り会えたものだと私の運に感謝する。

「ブスミレは助けてくれる人がいていいねぇ。」
「助けれもらえないと自分では何にもできないもんねぇ?」

 本当それだね。助けてくれる人がいて本当にありがたい。たまにこいつらの発言に共感することがある。四葉ちゃんは最高の親友で、最高の人格なんだから。苦しんでいる人を見つけると迷わず助けに行く。その精神に憧れを持つ。

「本当、馬鹿なことしてる。」

 木下さんがふとそんなことを言った気がした。ーーいつも教室で本を読んでいる木下 青葉(きのした あおば)くん。ーー木下さんまでこの人たちのいじめに呆れていたのか。

「は?青葉のくせに何言ってんの?」
「陰キャは黙ってろよ!!」

 うっ、私のせいで酷い言われよう。あとで謝っとかないとな。
1/7ページ
スキ