青天に鐘がなる
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エノキダから物流が欲しいと提案されリトの村からよろず屋のペーダを連れてきた。その後の村の様子はどうだろうかとリンクはイチカラ村に立ち寄ることにした。
村を見回すとずいぶん繁栄したなと思う。最初の岩で囲まれてばかりの土地を知っているから尚更感慨深い。
「手前味噌なんだが……」
エノキダから藪から棒に話を振られ、リンクはエノキダに向き直った。
「どうしたの?」
「婚約した」
——コンヤクシタ……婚約したぁ!?
あまりにも驚いて言われた言葉がすぐには理解できなかった。
「おめでとう!」
しかも相手はパウダだと言う。会ったばかりの頃のパウダは「エノキダなんて……」と言っていたけれど縁とはなんとも不思議である。
「名前! エノキダのこと聞いた!?」
「リンク! 来てたんだ! パウダさんとの結婚でしょ。おめでたいよね!」
さすがに名前はすでに知っていたみたいで最近の村での二人の様子を教えてくれた。名前自身も結婚式の準備を手伝っているみたいで忙しく過ごしているらしい。
エノキダに頼まれて結婚式には神父が必要だとゾーラの里からカポーダを連れて来た。そして来賓としてハテノ村にいるサクラダとカツラダも呼んで、なんとも厳かな雰囲気で結婚式が始まった。
エノキダとパウダは揃いの白い衣装でいつもよりもさらに素敵に見える。
最後はスポーツマンシップに則ったりとハチャメチャだったが、みんなに祝福されるエノキダとパウダはとても幸せそうだった。
人はこうやって家族になっていくのかとリンクは不覚にも目頭が熱くなった。祝福の気持ちが伝わるようにたくさん拍手を送った。
サクラダ社長から主役の二人に贈られた花吹雪が美しく舞い視界をピンク色に染めてゆく。
青天に舞う花びらは雪か星屑かのように二人を包んでいた。
残念ながらリンクに家族の記憶は未だない。
きっと100年経った今では生きている可能性は少ないだろう。もしかしたら100年よりもずっと前に亡くなっているかもしれないし。
「いい式だったね。感動した」
「うん」
結婚式が終わりリンクは名前と女神像の前で話していた。結婚式の余韻かリンクの心はまだほかほかと温かかった。
「おれもいつか……」
——健康なるときも、病めるときも
リンクが思い浮かべたのは結婚式の誓いの言葉だ。
「名前と家族になりたい」