青天に鐘がなる
name change
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「はあ、まさかこんな日が来るなんて」
思わずため息をつく。でもその中にはたくさんの幸せの色が含まれていた。
「キレイだぞ、名前」
「ありがとうパウダさん」
今日はなんとリンクと名前の結婚式。
二人は縁のあるイチカラ村で結婚式をすることになった。
パウダのときのような肌を魅せるドレスではないが、繊細なレースが肌を隠し、それが名前の魅力を引き出していた。
このドレスはもちろんパウダのお手製で、アクセサリーに使われている宝石はグレーダとププンダが。髪飾りの羽根はペーダがとっておきの上物を用意してくれた。
門出を迎える二人に女神の加護を授けるのは神父のカポーダが。それからエノキダも不器用ながらもこのドレスに針を通してくれたらしい。
名前は心から思った。
——嬉しい。私いま、世界で一番幸せだ。
「きっとあの日のパウダさんもエノキダさんも、こんな気持ちだったんだね」
パウダは照れながらも「そうだな」と同意してくれた。パウダもあの日を思い出したようで優しい顔つきになった。
「名前、準備できた?」
リンクが衝立の向こうから声を掛ける。そしてパウダの許可を得てリンクが衝立から顔を覗かせた。
「リンク」
名前はイスに腰掛けたままリンクの方を振り向く。
「……っ」
リンクは声が出ないほどの衝撃だった。
もちろん普段の名前も素敵だが今日の姿はやっぱり特別だった。叶うならこの姿を誰にも見せたくない。でもみんなに自慢したい。そんな相反することを考える。
「どうかな?」
「ほら、キレイだなの一言ぐらい言ってやれ」
パウダが固まっているリンクの腕を肘でつつく。
「うん。ほんとに、すっごく……キレイだ」
「ふふ、嬉しい」
やはり特別な人からもらう褒め言葉は特別だ。
「それじゃあ私は先に行ってるからな。準備ができたら出てこい」
パウダは名前の支度を済ませると家を出て行った。気を利かせてリンクと名前を二人きりにしてくれたのだ。
確かに今日は朝からバタバタしていて、ゆっくりリンクと話す時間もなかった。
「みんなが祝福してくれるって嬉しいね」
「うん。オレも本当に幸せだ」
二人は自然と顔を寄せてキスをする。
もう何度かしたことはあるのだけれどやっぱりまだ恥ずかしい。恥ずかしさを笑って隠したのは二人同時だった。
「結婚式が終わったら、おれはまたハイラル復興のために旅に出るけど、いつも名前のことを思ってるから」
「うん」
結婚式が終わったらリンクはまた世界を巡る旅に出る。
寂しさはあるけれど今度は大丈夫。あなたを想って待っていられる。
二人で過ごせる時間は少ないけれど。
この時間を、気持ちを、大切に育てていきたい。
そろそろ行かなくちゃ。どちらからともなく指を絡める。
ドアを開けば陽光が差し込み眩しさに名前は思わず目を眇めた。
空を仰げば天気は穏やかな晴れである。
二人が手を繋いで家から出ると、もうみんな女神像の周りで待ってくれていた。
「行こう」
「うん」
そうしてリンクと名前はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし————
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