Severus Snape
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「――かくして、魔法界には平和が訪れたのであった。なんて終わり方、果たして本当に平和なのだろうか?」
仄暗い部屋の中で、ぽつりと言葉を零した影が揺らめく。
暖炉の火に照らされたその表情は、悲しみとも、怒りとも、無とも呼べる様な複雑なものだった。
「ねえ、寝たふりなんでしょう?」
彼女は顔を上げて、一つの絵画をじっと見つめる。
彼女の視線の先にある絵は真っ黒だった。いや、正確には漆黒の衣を身に纏った男の肖像画だった。
薪がぱちりと音を上げたと同時に、黒衣の男はゆっくりと瞼を上げた。
「……そんなくだらん話をしに、わざわざこんな所まで足を運び、おまけに我輩の眠りを妨げようというのかね?」
えらく不機嫌な様子を忍ばせた男の言葉に、彼女はため息をつくと同時に肩をすくめた。
「寝てなんてないくせに」
「誰のせいだ」
「私が話しかけているせい」
「分かれば良い」
ふん、と鼻息でも聞こえてきそうな男の表情に、くすりと笑みが溢れる。
もう一度深く椅子に座り直せば、みしりとスプリングが鳴り響いた。
「今、平和って言われてるみたいだよ。ポッターのおかげで」
「そうか」
「……私は、平和だとは思えないなぁ」
「……」
「……何故って聞いてくれないの?」
「聞いても聞かなくても君は勝手に話すだろう」
よくわかったね、と苦笑いをこぼす。
平和の定義は人それぞれだ。そりゃあ、闇の帝王が復活をしたなんて聞いてからのここ数年は生きた心地がしなかった。だから、その時期に比べたら、今は平和なのだろう。多数の犠牲を出して得た安寧なのだ。だけど――
「セブルスがそこに居ないなら、私にとっては心を落ち着かせられる平和ではないかなぁ」
ちらりと視線をやれば、セブルスと呼ばれた肖像画の男は、ゆっくり静かに目を閉じた。
「……すまない」
「決まってたんでしょ?」
「ああ」
「最初から?」
「そうだ」
「迷いは無かった?」
「無論」
沈黙が再び訪れて、薪が割れる音が小気味よく響く。
しょうがない事だって分かっていた。薄々は勘づいていた。
生前、セブルスはホグワーツから幾度も姿を消してはやつれて帰ってきていた。
これはきっと何かあるに違いない。そう思って様子を伺っても、これと言って収穫はない。ダンブルドアに直接聞いても、「セブルスの事は心配するな」と言われるばかり。セブルス本人なんてもっての外で、眉根を寄せて「うるさい」と言われるだけだった。
「結構頑張って探ってたんだけどなぁ」
「……」
「だからあの日、ポッターに言われてあの場に駆けつけて、君の姿を見た時は――」
そこまで声に出して、喉が動かなくなったのが分かった。
「……悪い事をした」
「……ホントだよ……」
「……」
「何度自分を責めた事か」
もう少し、到着が早ければ。
もう少し、声をかけていれば。
もう少し、探っていれば。
もう少し、あなたの側に居れば。
「……ばかやろう」
「すまない」
「本当に謝る気あるのか、殴るぞ」
「死人に言う言葉か」
ずび、と垂れてきていた鼻水を啜る。
「死人になんてしたくなかったよ」
「……」
「もっとさ、セブルスと一緒にいたかったよ。闇なんて無い、希望に溢れた世界をさ、もっと見て欲しかったよ」
「……我輩にその資格はない」
「それがばかやろうなんだよ」
ずっと闇に生きてきたと言う事はなんとなく知っていた。だからこそ、今度は光の元で――そう考えてしまうのは、きっと私の傲慢なのだろう。
だって彼はそれを望んでいなくて、望んでいるのは私だけなのだから。
「また来るね」
「もう二度と来るな」
「連れないね、なんで私がこんな時間に、ここに足繁く通っているか分かるかい?」
「皆目見当もつきませんな」
「君の事が大好きだからだよ」
そう言いながらふらりと立ち上がる。そのまま両手で額縁を持ち上げて、両の腕でしっかりと抱き抱える。
目を丸くする目の前の絵画に「ざまあみろ」と一言添えて。
仄暗い部屋の中で、ぽつりと言葉を零した影が揺らめく。
暖炉の火に照らされたその表情は、悲しみとも、怒りとも、無とも呼べる様な複雑なものだった。
「ねえ、寝たふりなんでしょう?」
彼女は顔を上げて、一つの絵画をじっと見つめる。
彼女の視線の先にある絵は真っ黒だった。いや、正確には漆黒の衣を身に纏った男の肖像画だった。
薪がぱちりと音を上げたと同時に、黒衣の男はゆっくりと瞼を上げた。
「……そんなくだらん話をしに、わざわざこんな所まで足を運び、おまけに我輩の眠りを妨げようというのかね?」
えらく不機嫌な様子を忍ばせた男の言葉に、彼女はため息をつくと同時に肩をすくめた。
「寝てなんてないくせに」
「誰のせいだ」
「私が話しかけているせい」
「分かれば良い」
ふん、と鼻息でも聞こえてきそうな男の表情に、くすりと笑みが溢れる。
もう一度深く椅子に座り直せば、みしりとスプリングが鳴り響いた。
「今、平和って言われてるみたいだよ。ポッターのおかげで」
「そうか」
「……私は、平和だとは思えないなぁ」
「……」
「……何故って聞いてくれないの?」
「聞いても聞かなくても君は勝手に話すだろう」
よくわかったね、と苦笑いをこぼす。
平和の定義は人それぞれだ。そりゃあ、闇の帝王が復活をしたなんて聞いてからのここ数年は生きた心地がしなかった。だから、その時期に比べたら、今は平和なのだろう。多数の犠牲を出して得た安寧なのだ。だけど――
「セブルスがそこに居ないなら、私にとっては心を落ち着かせられる平和ではないかなぁ」
ちらりと視線をやれば、セブルスと呼ばれた肖像画の男は、ゆっくり静かに目を閉じた。
「……すまない」
「決まってたんでしょ?」
「ああ」
「最初から?」
「そうだ」
「迷いは無かった?」
「無論」
沈黙が再び訪れて、薪が割れる音が小気味よく響く。
しょうがない事だって分かっていた。薄々は勘づいていた。
生前、セブルスはホグワーツから幾度も姿を消してはやつれて帰ってきていた。
これはきっと何かあるに違いない。そう思って様子を伺っても、これと言って収穫はない。ダンブルドアに直接聞いても、「セブルスの事は心配するな」と言われるばかり。セブルス本人なんてもっての外で、眉根を寄せて「うるさい」と言われるだけだった。
「結構頑張って探ってたんだけどなぁ」
「……」
「だからあの日、ポッターに言われてあの場に駆けつけて、君の姿を見た時は――」
そこまで声に出して、喉が動かなくなったのが分かった。
「……悪い事をした」
「……ホントだよ……」
「……」
「何度自分を責めた事か」
もう少し、到着が早ければ。
もう少し、声をかけていれば。
もう少し、探っていれば。
もう少し、あなたの側に居れば。
「……ばかやろう」
「すまない」
「本当に謝る気あるのか、殴るぞ」
「死人に言う言葉か」
ずび、と垂れてきていた鼻水を啜る。
「死人になんてしたくなかったよ」
「……」
「もっとさ、セブルスと一緒にいたかったよ。闇なんて無い、希望に溢れた世界をさ、もっと見て欲しかったよ」
「……我輩にその資格はない」
「それがばかやろうなんだよ」
ずっと闇に生きてきたと言う事はなんとなく知っていた。だからこそ、今度は光の元で――そう考えてしまうのは、きっと私の傲慢なのだろう。
だって彼はそれを望んでいなくて、望んでいるのは私だけなのだから。
「また来るね」
「もう二度と来るな」
「連れないね、なんで私がこんな時間に、ここに足繁く通っているか分かるかい?」
「皆目見当もつきませんな」
「君の事が大好きだからだよ」
そう言いながらふらりと立ち上がる。そのまま両手で額縁を持ち上げて、両の腕でしっかりと抱き抱える。
目を丸くする目の前の絵画に「ざまあみろ」と一言添えて。
