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魔導具の存在を知らないだろう彼らは多分もう死んでいると思っているんだろうなあと、お通夜状態の彼らに合流する。
まあでも魔法帝が生きているなんて保証はないし、生きてるかもしれないという希望を持たせるより何も言わずに向かった方がいいかとぐるぐる頭を悩ませて、ヤミさんはユリウス様の亡骸を埋めている場所へと案内してくれた。
「まったく不甲斐なくてすまなかったね・・・王国の危機にもっと早く魔法の効果が出ると思ったんだが。
13年分ほどかな・・・時を溜め込んでてね。ちゃんと発動するかどうかは賭けだったけどね」
「お疲れ様。ヤミ、ウィリアム、リン」と付け足して、本当に13年分の体になってしまったユリウス様と対面し私たちは言葉を失った。
ヤミさんとウィリアムさんは完全に死んだものだと思ってただろうし、私も魔道具の存在は知っていたが本当に蘇生できるものだなんて思っても見なかった。
皆黙り続ける中、ヤミさんが口火を切る。
「いやいやいや完全に死んでたよね。あれ絶対にもう死ぬやつじゃん最期のやつじゃん。何かオレに託してたよね?返してくんないオレの決意。何?また人生やり直せるわけ?いいご身分ですね」
「えええ―――教えてあげなよリン君―――」
「おいてめえ知ってたんか」
「いやいや天使様のリンちゃんに言ってくださいよ―――私そこのウィリアムさんに光の剣でぐっさりやられて即死だったんだから――――あだっ」
ヤミさんに鳩尾を殴られる。何で・・・と思いながら涙目で彼を見たが、くるりと背を向けて頭を掻いたヤミさんは顔を見せてくれなかった。
「なんで死んだ人間が二人とも人生やり直してんだよ・・・・!
・・・・まあもう二度と会えねえと思ってたツラ拝めたんだ・・・悪い気はしねえっす・・・」
きっとその顔は見せてくれなくても昔馴染みだからわかる、めちゃくちゃ嬉しい顔をしているんだろう。彼が犬だったらしっぽ振ってるところだと思った。
「ユリウス様・・・リン・・・私は・・・私は・・・」
その一方でウィリアムさんは私と魔法帝の前で何を言っていいのかわからず目を伏せながら言葉を選んでいた。
彼を提訴すれば国家反逆罪、そして殺人罪(しかも魔法帝と伝説の聖女だ)、国家機密等窃盗罪等々出るわ出るわ罪状の嵐だ。
そんなの謝罪で済んだら魔法騎士団なんていらねえよなと鼻で笑う。
だからと言って脳のない国王よろしくこのまま死刑に処してしまえば、彼は英雄どころか大悪党になってしまうだろう。
魔法帝の手腕が問われるところだなあとぼうっと見ていると、その心の声になぜか気づいたユリウス様は私を見て、「ちょっと性格悪くなったね、リン」とか言い出した。怖い。
「ウィリアム・ヴァンジャンス・・・いかなる理由があったとしても王国を裏切った罪は重い・・・誰もが傷つき立ち上がるまで時間がかかるだろう・・・その間、君を遊ばせておく気はないよ。」
「・・・そりゃ甘すぎるんじゃないのかダンナ」
「いや、ウィリアムを魔法騎士団に誘い・・・魔法騎士団長に任命したのは私だ・・・責任は私にもある。リンくんが守ってくれたというのにあの戦いに負けた責任もね・・・
ウィリアム。私とともに怨嗟の逆流を耐え抜き進む覚悟はあるかい?」
「私の魔導書は・・・今一度・・・今度こそ・・・貴方と・・・いや、貴方達と・・・!この王国とともに・・・!」
泣いて敬礼するウィリアムさんに、魔法帝は私を見た。これでいいかと伺っているようだが、あなたがそう言ったらそれが是となりますよと頷く。
それに、私がウィリアムさんを罪に問うわけがないだろうと泣くウィリアムさんの背中をさすった。
「これだから魔法帝は・・・」とつぶやくヤミさん。まあユリウス様のことが大好きな彼にとってはこの情状酌量の処遇に不満な気持ちになるのもわからなくはないけれど・・・。
「彼を罰してしまうと、ほかにエルフになった者たちまで罰しなきゃならないでしょう」とヤミさんに耳打ちしたら少しは納得してくれた。