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「どうやら、天使のリンは自分自身の体に保護システムみたいなものをかけていたようだね。とにかく転生体が戻って来てよかったよ」
「ルミエルさん・・・こうやって落ち着いて話すのは500年ぶりですね。悪魔を倒したなんて信じられないわ」
「まだ全て終わったわけではないぞ。国中で暴れているエルフたちを止めなければ・・・!」
ノゼル団長にそう言われて王都に広がる凄惨な光景に視線を移し、息をのんだ。建物はほぼ全壊か半壊し、いたるところで煙があがっている。
「でもいったいどうやって・・・」ノエルちゃんが皆の気持ちを代弁していってくれた。
すると黙っていたパトリが口を開いた。
「リヒトさんがいるのなら方法はある・・・!僕の奥底に眠るウィリアムの・・・世界樹魔法ならば国中の魔力と生命力を集めることができる・・・」
「あ、ウィリアムさんの魔導書なら私が形見代わりに持ってきちゃった」
ローブからウィリアムさんの魔導書を取り出す。あの時、無理やり天使のリンちゃんに持っていくようお願いした代物だ。
パトリは魔導書を受け取って、「・・・リンさん・・・本当にごめんなさい」と、申し訳なさそうに言った。
「私の中の天使様は、現世とあの世の均衡を乱されて相当ご立腹だったようだけど、私は彼が納得して加担したことだから怒ってないわ。パトリ。」
「そうですか・・・あなたには
パトリはアスタ君に転生を解くように頼む。それはもう、パトリの魂が天界に帰ることを意味していた。
「いいんだな?」と滅魔の剣を手に取って最後に聞くアスタくん。
「もとより二度目の生・・・悔いはあっても恐れはない・・・このまま消えるだけなら償いとしては不十分だとすら思う・・・先に行ってますね!」
決心したパトリの魂は解放されて、ウィリアムさんの姿に戻った。
「・・・パトリ」そう言って自分の中から出ていったもう一人の彼の名を呼ぶ。しかし、彼が出てくることはもうなかった。
ウィリアムさんのアメジストの瞳と絡み合い、彼の瞳は揺れていた。
「許してもらえないと思ってるけれど―――あなたにはすまないことをした――――本当にごめん―――リン」
「なすべきことを、果たしてから謝ってください。」
皆のいる手前、そう冷たく告げることしかできないけれど、本当は人目を憚らずウィリアムさんに抱き着きたかった。
ヤミさんの今までとは思えない冷たい視線がウィリアムさんを捕らえる。ユリウス様を裏切った罪は何よりも重い。
リヒトの光魔法とウィリアムさんの世界樹魔法が合体し、戦いに苦しめられているエルフたちに真実を告げた。
さらに、アスタ君の滅魔の剣の力をその世界樹に注ぎ、エルフたちは安らかな気持ちで魂が解放されていった。
そんな中リヒトも例外ではなくて、「一足先に行くよ、ルミエル、リン」と声をかけた。
「私達が望んだ理想の未来の可能性が見られてうれしかった」そういうリヒトにルミエルと私は頷く。
「テティアによろしくね、リヒト」というと嬉しそうに笑って「ああ」と答える。
そしてユノ君やアスタ君と別れを惜しんだ後、
「ありがとう、現代のクローバー王国の魔導士達・・・」といって他のエルフたちとともに光り輝く魂へと姿を変えた。