15
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして、悪魔との決戦に打ち勝った現在に戻る―――――
出口が解放され、影の王宮から強制的に退出させられた一同は外の世界に投げ出されたが、ノゼル団長の水銀魔法によって皆地上へ真っ逆さまに落ちることはなかった。
しかし、全員が無事帰還できたわけではなく・・・リン一人がその場から忽然と消えていた。
影の王宮の崩壊とともに、彼女の体が風化していったのを見て対処のしようがなかった彼らは、悪魔を倒したというのにやるせない気持ちで気が沈んでいた。
「リンは・・・僕達と戦いながらも影の王宮の崩壊をずっと食い止めていたんだね・・・」ルミエルが影の王宮のあった場所を見上げて言った。
その言葉にミモザやノエルが泣き出してしまう。無言で煙草を燻らすヤミの表情はいつまでも渋く口を閉ざしていた。
「リンさん・・・戻ってきてください・・・じゃないと僕とウィリアムの罪を償うことができない・・・!」
パトリの悲痛な表情と涙ぐんだ声が切なく響く。しかし、彼女の耳に届くことなくその言葉は溶けて消えていく。
「リンさああああああああああん!!!!そこにいるんでしょううううう!?早く戻ってきてください!!!!」空に向かって叫んだアスタ。
誰もがそう叫んでも彼女は戻ってくることはないと思いながら、そのアスタの声を皮切りに、リンの名前を叫んだ。
すると、彼女への声が届いたのか、しだいに空に暗雲が立ち込めて、再び影の王宮のゲートが開かれる。
バチバチと雷鳴を轟かせながら紫の禍々しいゲートから、一人の女性が投げ出され、ゲートは閉じてしまった。
振ってくる女性をパトリが抱きとめる。プラチナブロンドの長い髪に、美しい端正な顔・・・深海の瞳は薄く視界を開き、パトリの名前をゆっくりと呼んだ。
「ああ・・・よかった・・・無事でよかったです・・・!リン様・・・!」
抱きとめたリンに力がこもったパトリは、ぐすぐすと泣き始めた。
状況が理解できていないリンは、周囲の雰囲気に首を傾げながら自分の体を確認する。
漆黒の翼は抜け落ち、長い髪も元の姿に戻っていた。どうやら、自分は天使の姿ではなく人間の体に戻ったようだ。
「リン様・・・無事でよかったですわ・・・!もう戻ってこないかと・・・」
「ミモザ・・・私ももう戻ってこれないかと思ったけどなんだか生きてたみたい。心配させてごめんね」
「おい、急に天使様から元に戻るのやめろ。調子狂う」
「あれ、ヤミさん。全然久しぶりじゃないけどなんか久しぶりですね。」
パトリにお礼を言って自分の足で立ち上がる。リンはてへっと笑うと、高ぶる気持ちを抑えながらもヤミはわしわしと彼女の頭を撫でつけるのだった。