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Side Lemiel...
僕とセクレが急いでエルフの村のもとへたどり着いた時、そこは凄惨な状況だった。
エルフの亡骸が重なるように倒れている中、息をしてない我が妹のテティア・・・それを抱くリヒトは絶望に染まっていた。
「やはり・・・君ではなかったんだな」
そう言って僕を見据えるリヒト。彼の背後には形態を保っていない悪魔がガス状に纏っていた。
悪魔が先ほど王宮で僕を邪魔したように・・・この凄惨な事件の首謀者は悪魔なのだろう。
しかし、僕たちの到着が遅れてしまったせいで罪のないエルフ達とテティアが犠牲になり・・・リヒトの魔導書には絶望の5つ葉が宿ろうとしていた。
「すまない・・・一瞬だけ君を疑ったことを許してくれ・・・」
悪魔はリヒトの体を受肉して自分の体を手にいれようと画策していたのだろうが彼の心が持ち直したことでその事態は免れた。
リヒトの前に無数のエルフの亡骸が眠る中、一筋の光が宿り、その体は浮遊して大きな純白の翼が彼女の体を覆った。
「リン――――?」
繭のように覆われていた彼女の体が解き放たれ、強力な風圧が僕たちを襲う。空に舞う純白の翼とプラチナブロンドの長髪を纏ったその気高く神々しい姿は、誰が見ても神の使いというに相応しかった。
「リン・・・君は本当の姿に戻ったんだね・・・」
「リヒト・・・」
彼女は光の杖を持つと、小高い丘に立って鑑賞していた人間達に光魔法を放った。悪魔によって操られていた邪心を浄化し、意識を失った彼らを王都に戻す。
「・・・君が平和のために作った魔石・・・こんなことに使いたくなかったけれどもう私は今恐ろしい負のマナに満たされているんだ。
このままでは君と仇なす悪魔に・・・邪な存在になってしまいそうで・・・それを明け渡さぬために・・・使わせてもらうよ」
制止するリンの言葉に、「すまない」とリヒトは謝った。彼の体は魔石によって魔神の姿に変化していく。
元の姿がエルフのリーダーだったとは思えないほど、巨大で邪悪な姿の前に僕たちは対峙した。
「ルミエル―――構えなさい。私があなたを導くわ」
「・・・はい・・・」
魔神は自我を失い王都に向かって魔法を放ち次々と破壊していく。このままではクローバー王国も滅びてしまう。しかし、妹のテティアが愛した親友の彼の体なのだ。魔法を唱えるのを戸惑った僕に、天使は言った。「私達が救わないと彼は一生彷徨う魂となり果てるのだ」と。
僕は天使 リンの強大な魔力を分け与えてもらい、彼女の激励とともに光魔法を魔神に放った。光に包まれた大きな剣は魔神の体を貫いていく。
魔神から生み出される邪悪な球体は大きさを増していき、その核が王都に向けられていた。
「セクレ・・・!あの魔導具を出して・・・!魔神の攻撃を封じ込めるわ!」
平和と平等のために作られた球体の形をした魔導具がエルフの殲滅のために使われてしまった。しかし、今度こそ本来の目的のために使われなければならない。
セクレが魔導具を空に放つと、その魔導具にリンはマナを込め、魔神から放たれる攻撃を吸い取った。完全に吸い取ることはできなかったが負のマナが弱まっていく。
「今よ、ルミエル。攻撃を!」
リンの強化魔法が僕の光魔法を最大限に高めた。負のマナが弱まった魔神の体に、光の剣が貫いた。そして、その魔神から強い光が放たれ、その体は頭部を残して消えていった。