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「光創生魔法 断罪のマリア」
光の杖から放たれる一筋の光は美しい波打つ髪を持った女性に変わり、まばゆい光で悪魔を包み込む。
「『消えなさい』」
しかし悪魔の言霊魔法に消えることはなく、そのまばゆい光は悪魔を粉々に打ち消した。一瞬倒したかと思ったが悪魔の心臓が丸出しになりそこから体が姿を取り戻していく。
「ンッンッンッ・・・残りカスのくせに魔力はあの世のものなんですねェ―――少し油断しました」
邪悪な魔力が無理やり私の光魔法を引き裂いて、彼女は消えてしまう。魔導書を持っていない時点でこの強さは正直かなりまずい―――
「ユノおおおおおおおおおリンさあああああああああん」
別の部屋から駆けあがって来たアスタ君とミモザに目を見張る。思ってもない嬉しい増援だ。
「ンッンッンッ・・・招かれざる客が来ましたね・・・まあ放っておきましょう。そんなことより・・・」
悪魔はアスタ君たちを気に留めることなく、パトリを見やる。
嫌な予感がした、間違いなくアイツが狙うのは彼に宿る悪魔の魔導書だろう。
「『こっちへ来なさい』」
「光創生魔法 光葉樹の
地面から無数の光の蔓がパトリを捕らえて、呼び寄せる悪魔の言霊魔法と私の光創生魔法の攻防戦が続いた。パトリが光魔法で応戦するものの、悪魔の言霊魔法で消されてしまった。
圧倒的な魔力の差のせいで、ついにパトリは悪魔に捕らえられてしまい、言霊魔法『鉄の槍』がパトリを襲った。
黒い鉄の槍が全身を貫き、叫び声をあげるパトリ。ユノ君とアスタ君が救出すべく悪魔に立ち向かう後ろで攻撃力強化の強化魔法を唱えた。
「『刃の嵐』」
「光創生魔法 女神のゆりかご」
無数の剣が空から慈悲なく降ってきて、それは魔法の剣のほかに実物が混じっていた。私の魔法は魔法の剣は防御で跳ね返せても実物の剣までは防御することはできず、その刃が体中を掠めた。
降りやまない刃の雨に回避するしかできず、その隙ができた私達に悪魔が「『真空の壁』」を唱える。
とんでもない重圧が私達を襲った。地面がひび割れて、さらに悪魔の言霊魔法が次々と重圧を重ねていく。このままじゃ肺がつぶれそうだと思ったが自分の体に肺がないことがわかってしまった。
悪魔と同じでこの体にあるのは心臓くらいなのだろうか・・・ずたずたに押しつぶされてもおそらく先ほどの悪魔のように心臓から自分の体は再生してしまうと思うとぞっとする。
それがあの世の存在でありこの世にいてはいけない強さの理由なのだ。
「ンッンッンッ・・・私の邪魔は許しませんよ?500年前、彼らと、あの紛い物の天使に邪魔されて、惜しいところで受肉を失敗させられました・・・
あの時、私が次に目を付けたのはあなたです・・・!マナに愛され、まだ若く揺さぶり易い新たな贄・・・
悲劇と使命感・・・それだけで簡単にアナタは転生に手を出した・・・!」
「何を言っている・・・!僕を・・・僕らを転生させたのはリヒトさんとリン様だ!禁術魔法に手を染めてでも・・・最後の希望を僕らに託して・・・!」
「違いますよ?
だって・・・エルフを転生させたの私ですから。
あそこにいる天使様が転生をむしろ食い止めてましたけど遅すぎましたねえ・・・
エルフの長は人間の根絶やしなんて望んではいません。エルフの再興も復讐もすべてまやかしです。
アナタは私が用意した道をほかの愚か者共を率いて綺麗に歩いてくれただけ。
たどり着いたのはリヒトの望まぬ未来と悪魔の受肉です。ンッンッンッ・・・」
「嘘だ・・・・嘘だ・・・・僕は・・・リヒトさんと同じ・・・四つ葉に選ばれた――――」
「そう。アナタは選ばれた。優秀で愚かな私の駒でしたよ・・・!ご苦労様」
私の制止する声も届かず、悪魔がべらべらと全ての真実を言い放ってしまった。その真実を知った彼には四つ葉の魔導書に悪魔が宿り始めていた。奴の目的はこれだったのだろう。
「ああ~~可笑しすぎ・・・!
エルフも人間も・・・天使の声など傾けることなく・・・あなた達の夢や欲望はサイコオオオオの玩具ですよ・・・!
ねえ、そうでしょう――――リン?いくらあなたが平和や博愛を説いても、彼らはあなたを裏切り続ける―――それならばいっそ、その醜い心を利用した方が賢いと思いませんか?」
衣服はボロボロでも自分の体はすぐに再生していく私にパトリは驚いた眼で見つめていた。
アスタ君とユノ君には先ほど回復魔法を施したからほどなくして起き上がるだろう。それまで時間を稼がなければ。
・・・しかし私も、この堕天使からさらに悪魔に堕ちてしまえばそういう悲しい考えに行きついてしまうのだろうか。
ある意味、吹っ切れて楽になるかもしれないけれど、私は『黒の暴牛』の団員たちを見てきて、少しでも信じたくなったのだ。
「いいえ?悪魔――――私は、馬鹿な
アスタ君とユノ君が起き上がってこちらに向かってくる。何度ズタボロにされようとも、どれだけ強い敵が現れようとも彼らは屈しない。
その姿に、その場にいた誰もが勇気と希望を与えられたことだろう。
「いきなり湧いて出てめちゃくちゃしやがって・・・」
「すげー強ぇし怖ぇけど・・・何様だオマエは・・・!」
「とにかくテメーはむかつく・・・!」
「てめーみてーなクソヤロー相手に・・・」
「「オレの夢は 負けねー!!!」」
ユノ君は沸き上がる魔力で周りの物質を風化させている。リヒトとテティアの能力が混ざり合っているように感じた。もしかしてこの子は二人の生まれるはずだった子供だったのだろうか。
そして、アスタ君は悪魔の能力に共鳴してあふれ出た反魔力が周囲の魔法を打ち消している。
二人の魔法は混ざり合って、悪魔が作り出す実体の刃と魔法の刃をどちらとも防ごうとしていた。
「「オレの邪魔をするんなら オマエが壊れろ――――――!!」」
二人の攻撃によって右腕が傷ついた悪魔。攻撃は通らないはずなのにあちらの世界の悪魔の体が傷つくなんて・・・
「『治りなさい』」そう言って言霊魔法で自分の体まで完全回復してしまう悪魔。だが、彼も驚いたことだろう。しかし悪魔に捕らえられたパトリの体は限界を迎えていた。
「ンッンッンッ・・・私を傷つけるとはやりますね・・・!
マナに愛されたエルフと精霊の力と・・・私が手にするべきだった魔導書に宿る邪魔者の同胞の力・・・
何処の悪魔か知りませんが、その魔導書は差し上げますよ・・・!
ついに、肉体と暗黒の魔導書がそろい私は現世に悪魔として本来の姿と力で顕現できる・・・!
五百年前は絶望の魔導書を生み出すところまではよかったのですがね・・・天使のせいもあって最後の最後に抵抗されてしまった。
だから今回は禁術である転生によって邪な心を彼らの魂に混ぜ、自我を奪いやすくしたんです・・・!踏み台は踏み台らしく踏まれてほしいのでね・・・
ンッンッンッ・・・がらんどうの心はこんなに簡単・・・ンン~~~面白かった!!!」
ついにパトリの魔導書は五つ葉が宿り、悪魔の手に渡ってしまった。しかし現世に悪魔をこのまま放ってしまえば、私はもう堕天使の姿さえ許されなくなる。なんとかして影の王宮で決着をつけないとならない。
魔導書を奪われたパトリはまるで抜け殻のような存在だった。闇に堕ちたエルフ・・・ダークエルフとなった彼は、自我を失って深い絶望に飲み込まれてアスタやユノを無尽蔵に攻撃する。
ウィリアムさんの体を使い捨てのボロ雑巾のように扱うなんて絶対に許さない・・・私はダークエルフと対峙した。
少し戸惑った様子の彼は、薄暗い闇の中で自我が残っているのだろうか。
一瞬動きを止めた彼だが、私に向かって魔光魔法で攻撃を仕掛ける。光魔法と魔光魔法は相性が悪く彼に決定的なダメージを与えることはできなかった。
ユノ君やアスタ君が応戦してくれるが、憎悪によって魔力を凝縮されたダークエルフは桁違いの強さではじかれてしまう。
どうしようか考えあぐねていると、魔光魔法 神罰の光芒が私を襲った。
「あなたに二回、殺されるのはごめんなのよねえ―――――」光創生魔法で防御しようとする私の前に、水銀魔法が私を包んで守ってくれた。知っている水銀魔法の使い手など一人しかいない。