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冥府の扉は彼らを最後に完全に閉じてしまったが、まだセフィラの徒の一人であるユノ君が来ていないことがわかった。
まあ首に掛けられた最後の魔石のペンダントが彼を導いてくれるに違いないとあまり心配はしていないのだが・・・。
影の王宮の管理室にたどり着いた私は、光の杖が解錠の鍵となるらしく、そのロックを外した。
管理室の中は何百年も誰も侵入を許していなかったはずなのに、埃一つ被っていなかった。
このような機械的で近未来的な空間が、何百年も前に作られたものだというのは信じ難い。各エリアに張り巡らされたモニターを映すと、それぞれセフィラの徒は人間達と交戦しており、争いは激化していた。
「私はエルフと人間が戦うためにここに入れたつもりじゃないんだけどな―――」と苦笑する。ユノ君が来なければすべてが始まらないし、決戦へのカウントダウンも見えてこないので待つほかない。
そう思っていると、この影の王宮に入ってくる風の魔法を感じて入り口のモニターにも彼の姿が映った。
これで悪魔は最後の魔石を間違いなく取りに来るだろう・・・問題は誰に化けていたかだ。『黒の暴牛』の団員たちと話してて直感的に魔法騎士団員ではないことはわかった。
しかし、セフィラの徒は一人一人確認したわけじゃないのでおそらく、悪魔はセフィラの徒の誰かに化けている可能性が高いだろう。
500年前の決戦の続きが始まろうとしている。しかし、あの決戦で戦ったルミエルはハージ村で眠ったままだし、リヒトもまだ完全に目覚めていないままだ。
そしてこの私は天使のリンちゃんを無理やり飲み込んで自分のものにしてしまったから彼女が助けてくれることはない。
戦力的にはかなり不安な状態だが、悪魔に倒されるルートはなるべく考えないようにした。
モニター越しにユノ君の向かった先を見ていると、やはり悪魔はセフィラの徒の一人に化けていたらしい。
魔法騎士団でも苦戦していたあのライアを一瞬で倒して、影の王宮にある石碑に最後の魔石をはめた奴は、体を乗っ取って本来の悪魔の姿へと変えたのだった。
影の王宮の番人の私は、モニターに触れるとそこに空間転移することができた。悪魔のいる場所へと空間転移すると、そこには倒れて動けなくなったライアが転がっており、パトリの顔は絶望で歪んでいた。
「ンッンッンッ・・・あぁ・・・不完全とはいえ・・・何百年ぶりの自分の体です・・・やっぱりいいものですねえ・・・!」
自分の手に入れた体を見てうっとりとしている悪魔。なんて禍々しい魔力なのだろうか。
睨みつける私を見て、あいつは歓喜で体を震わせた。あいつの歪んだ天使への執拗なまでの執着にはぞっとする。
「あァ―――――何百年たとうとも相変わらず麗しいですねぇ――――リン。やっとこの体であなたを触れることができます――――」
「正気かしら?私に触ると地獄の業火によって焼かれるわよ、あなた」
「そうでしょうとも。――――――今はね」
不気味な笑い声であいつは笑う。500年前、悪魔は自分の体と魔導書の創造と、私を天使から悪魔に堕落させる計画を同時に練っていた。
結果的にその計画はどちらも失敗に終わったが――――次の計画への種をまき、そして天使から堕天使へと降格したわたしをさらに悪魔へと貶める為、今日この日まで綿密にシナリオを描いていたのだろう。
「ンッンッンッ・・・四つ葉の魔導書に選ばれたエルフ・・・あなたにはあの日のリヒトと同じように絶望の底を味わってもらいます・・・!」
「・・・どういうことだ?」
その反応に驚いた悪魔は私を見た。彼を守るため、あえて彼に真実を告げてなかったことが仇となったらしい。
これは好機と言わんばかりに悪魔は不気味な笑い声をあげた。
「ンッンッンッ・・・まさか、そこにいる天使様はアナタに伝えてなかったようですねぇ・・・
あの日人間をたぶらかしてエルフを滅亡させたの、私なんです。
魔力欲しさに人間どもは簡単に動いてくれました・・・あなた達も一生懸命に私に騙されて筋書き通りの復讐を・・・
せっかく麗しい天使様が、一生懸命私の邪魔をしてくれていたというのに・・・その忠告も聞き入れず、あろうことかアナタは彼女の転生体まで殺して・・・
あなた達みーーーーーんな愚かですね・・・・・!」
「ふざけるなァ――――――!」
悪魔の言葉に乗せられて、激昂したパトリは光魔法を悪魔に向けて放った。
「『戻りなさい』」
しかし悪魔の言霊魔法によって跳ね返される。私は反射して襲うリヒトの光魔法を、光創生魔法で相殺させた。
そして、ユノ君がマナゾーン 精霊の静かなる舞踏によって風の精霊と同調し、リヒトを救った。
「――――オイ、その体 ヴァンジャンス団長のだろ・・・リンさんも悲しむし・・・勝手にやられるのは許さね―――」
パトリにそういった彼は続けて悪魔に風魔法を放つ。しかし悪魔の言霊魔法によって一瞬で封殺されてしまった。
「ンッンッンッ・・・リン―――光魔法も剥奪されて私と同じ言霊魔法になったかと思ったんですが、取り戻したんですねえ」
「私はあなたの知る天使様じゃないですよ。天使様は私の中で眠ってます」
「あァ―――――そういうことですか、つまりあなたは麗しい天使のリンの残滓・・・いらない残りカスってところですかねえ」
じゃあ消しても彼女は怒りませんねと悪魔は標的を私に変えた。