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復活の礎を前にして、先ほどまで僕たちの仲間“だった”欲深く愚かな人間達は、禁術魔法の生贄になることも知らずごちゃごちゃと文句を言っている。
今までリヒトさんを装って計画を遂行していたが、もう同胞の転生が果たされる瞬間であれば、生贄にはもう自分を偽ることもない――――
ここで、問題となるのは魔法帝を庇って死んだリン様だ。彼女はこの転生魔法では復活することはできない。
しかし、この先完全なエルフの体を手に入れるために“影の王宮”に道を開けるのだがその管理者はリン様だった。
復活の礎によって、次々と転生の光が遠くの地で放たれていく様子を見ていると、『伝説の聖女』様の体が光り始める。
そして、あの時のような―――大きな翼を生やして、宙にその体が浮いた。
神々しい光に包まれ、無意識に羽ばたく純白の翼と腰までプラチナブロンドの髪が伸びて彼女を包む。そして、ぱちりと深海の宝石のような瞳が開き僕を捕らえた。
「私を殺したのは、あなたですね―――――パトリ」
「聖女・・・様・・・」
冷たく言い放った彼女は、美しい翼を羽ばたかせ、目の前にいる3人の人間の浮遊する魂をもとの場所に収めた。
死から免れた3人は今はその場に倒れて眠りについている。
同胞の復活を阻止しようとする目の前の麗しい天使は、まるで裁きを与えるかのような凍てついた瞳で僕を見据えた。
「なにを・・・してらっしゃるのですか、聖女様」
「なにをしていると聞きたいのはこちらの方です。パトリ。あなたのせいで、リンは死にました。今は私の中で眠ってます。」
おそらくここにいる天使は、転生する前の聖女様本体――――
あの悲劇の日にリヒトさんの前にいたのは、彼女は悲しく彷徨った魂の鎮魂をするため現れたのだろうか。
それにしてもあのひどく冷たい氷のような視線はなんだ・・・僕が間違ったことでもしているというのか・・・?
天使というよりは――――悪魔に似たような冷気を感じたのは気のせいか―――――
とにかくも転生魔法でマナを使いすぎて深い眠気に襲われる。
聖女様・・・いや今の姿は天使様と言った方が正しいのか・・・僕は美しい彼女に手を伸ばしながら、その意識は途絶えた。