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金色の夜明け団本部前に降り立ったリン。
本部の中に入るかと思えば、くるりと背を向けて人気のない整備された公園に向かった。
月夜が公園の噴水を照らし、静寂に包まれた木々の中、一人仮面の男が立っていた。
「到着が遅くなり申し訳ございません。ヴァンジャンス団長」
「ウィリアムでいいと言ってるのに律儀だね。リン」
光の精霊がリンの身に纏い、闇の小道を照らした。
二人は人気がないことを確認し、「頼んだよ」とヴァンジャンスが言うと、リンは頷いて光の精霊を増幅させる。
精霊は眩い光を放出しドラゴンの姿に変化した。彼女はその勇ましいドラゴンの首をひと撫でして飛び乗った。
「ウ、ウィリアムさん・・・も」
「ふふ、では失礼」
ウィリアムという名前を恥じらいながら呼ぶ姿を愛らしいと思いながら、彼もドラゴンの背中に乗った。
「ダイヤモンド王国の僻地で大量の武器と物資を格納しているとのこと。
上級魔法士と八輝将が駐在しているという情報を得ている。
近くなったら私が案内するからそれまで東へ」
「わかりました。」
古くから任務をともにしている二人の間には信頼しあった心地よい沈黙が流れた。
やわらかな風が二人を撫でる。月夜と満天の星空が優しく二人を照らした。
「今日、私の村でグリモワールの授与式があったんです。」
「確か君は最果てのハージ村の出身だったね。」
「はい。そこで将来騎士団に入れるかもしれない2人を見つけました。半年後が楽しみです。」
「君が見込んだということは間違いがなさそうだね。私も楽しみだよ」
くすくすと穏やかに笑い声が響く中、ひゅっと強い風が吹いた。風に飛ばされそうになるリンをヴァンジャンスが受け止める。
「あ、ありがとうございます・・・」
「相変わらず、危なっかしいところは昔から変わらないね・・・やっぱりあの時、私の団に入れるべきだったかな?」
線が細そうな見た目と裏腹に抱きとめられた引き締まった体にリンの胸は高鳴った。
ヴァンジャンスの手がリンの頬に触れる。しばらく沈黙が続き彼女たちの視線は絡み合う。
彼女が口を開こうとすると、彼の長い人差し指が彼女の唇に触れた。
そして彼の両手は、彼女の背中に回って優しく抱きしめた。
「好き」――――何年も思いを告げることをあえてしなかった二人は、任務という逢瀬を重ねることでその思いを埋め合わせた。
戦場に愛などいらない。頭ではわかっていてもどうしようもできない思いが二人の中で交差した。