09
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヴェットが現れてから空間魔法によって閉じ込めた私たちは何も助けることはできず、モニター越しに彼らの戦いの行く末を見守るしかなかった。
だが、アスタ君、フィンラル、バネッサが連携してヴェットと死闘を繰り広げ、ついにヴェットは倒れた。
「ヤミさん――――あいつらやりましたよ」と言うと、ずっと瞑想していたヤミさんが私の腕をつかむなり「うし、行くぞ」と言って、新たな闇魔法 次元斬りを発動させる。
空間魔法を引き裂き、部屋から脱出した私たちはアスタ君達のいる部屋にと向かった。
すると途轍もない魔力がその部屋から流れてきたのを感じ、彼らの身の安全を願いながらも足を速める。
「よっしゃああああどんと来やがれ―――――――」凄まじい魔力を放つヴェットを前にしても怖気づくことなく立ち向かう『黒の暴牛』の団員たちを前に、
ヤミさんは「はい、来ましたー」と気の抜けた声で答えた。
「おう、バカヤロー共。元気?」
「お疲れ様~よく頑張ったねえ」
「「「ヤミ団長!!!リンさん!!!?」」」
「閉じ込められてたんじゃ・・・?」と聞くノエルに、「見ての通り出てきたんだよ。ちょっと無理やりな」とヤミさんは答える。
無理やりの度合いが異次元レベルだったけどね・・・と思いながらヤミさんの新技を思い出しては顔が引きつった。
「よっしゃああああお二人がいれば百万人力~~~!!一緒にアイツぶっ倒しましょオオオオオオ」
「あ?何なめた口聞いてんの?敵倒したからって調子のってんのかな?あんなもんリンとオレで十分だっつの。お前らが死ぬ思いで戦ったんだ。
俺らが気張らねーわけにゃいかねーよな、リン?」
「ふふ、たくさん気張れるように強化魔法マシマシにしときますね。ヤミさん」
もう敵が二度と立ち上がれなくなるように、うんと攻撃魔法強化のバフをヤミさんに掛けた。
私が分け与えたマナの増大に、ヤミさんの周りはぴりぴりと魔力の重圧によって岩が砕け散る。
“闇魔法 闇纏・次元斬り”
「うちの団員が世話んなったな・・・あばよ、絶望くん」
ヤミさんの攻撃で真っ二つに切り裂かれた『絶望』のヴェットはついに力尽きた。
『黒の暴牛』のみんながわっとそれを見て歓声をあげる中、大司祭がこちらにやって来た。
「黒の暴牛諸君・・・!“白夜の魔眼チーム”撃破によるゲームクリアお見事・・・!そしてこの海底神殿を救ってくれて本当に感謝する・・・!大司祭としてそなた達の望みかなえさせてくれえええ!」
「おう、そいじゃ約束通りこの魔石もらってくぜ」
ヤミさんがそう言うと、まず魔石のことをあまり大司祭は知らなかったのかあっさりとヤミさんに渡した。
ヴェットとの戦いで負傷した『黒の暴牛』の団員たちが海底神殿の寝室で眠っている中、私は死んでしまったヴェットの亡骸を前に佇む。
「主よ、彼に永遠の安らかな眠りを――――」
そう言って祈りを捧げていると、背後から見知ったマナを持つ人を感じ祈りをつづけながら「どうしましたか」と聞く。
「聖女様も同じようなことするんだな」とヤミさんは言って隣で線香をあげ始めた。日の国の宗教は亡き者に対してこうやって弔いをするらしい。
「「・・・・・」」
お互いに祈りを捧げていると、アスタ君の存在に気付いた私たちは「どうした?」と聞く。
「探検してたら何やら綺麗な花を見つけまして・・・」
そう言って、両腕が負傷して動かせないのに、アスタ君は抱えている青い花をヴェットにささげた。
「オレ、こいつらのことは許せねえっす・・・でも何のことかはわかんねーけど・・・こいつらにどうしても許せねー何かがあったんだなって・・・
あそこまで憎むくらいの何かが・・・本当はこいつが一番絶望してたのかな・・・って・・・・」
アスタ君の言葉に、私もヤミさんも押し黙った。まだ彼は15歳なのに、魔法帝になるとかいって夢を見る少年なのに、たまにこういった大人びた考え方をする姿に成長を感じる。
「おまえはおまえの夢だけ追ってりゃいいんだよ」とヤミさんはわしっとアスタ君の頭を掴んだ。彼なりの愛情表現だろう。その師弟のやりとりをほほえましく見つめていた。