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夢小説設定
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「うわちゃ~大変なことになってるよ・・・めんどくさがりなうちでも マブダチは助けないとな」
「よくも我が友を・・・”許さねえ八つ裂きにしてやる!」
「リヒト・・・痛い?傷つけた奴らが憎い・・・・」
新たな空間魔法からやってきた3人の新手・・・
それぞれクローバー王国の象徴『誠実』『希望』『愛』と対をなす『不実』『絶望』『憎悪』の意味の名を与えられていた。
模倣魔法を繰り出す『不実』のライア、獣魔法でヤミさんの刀を折った『絶望』のヴェット、そして火の精霊サラマンダーを従える『憎悪』のファナ・・・
ヤミさんが相手とは言え、この状況は正直言ってかなり劣勢だった。フィンラルの空間魔法で逃げたいところだがマナの回復には時間がかかる・・・。
彼らが攻撃を同時に私たちに繰り出し、すかさず防御魔法を施したがその前に強力な攻撃魔法がそれを止めた。
「面白そうな戦いやってんじゃねえかヤミぃぃぃ ちょっと混ぜろや・・・!」
空間魔法から現れた、『翠緑の蟷螂』団 ジャック・ザリッパー団長、『銀翼の大鷲』団 ノゼル・シルヴァ団長、そしておなじみ『碧の野薔薇』団 シャーロット・ローズレイ団長が私たちの目の前に現れた。
心強い団長たちの増援にほっと胸をなでおろす。
「『伝説の聖女』ともあろう女が、無様な姿だなリン!」
「昨日あんたに飲まされまくった酒でこっちは頭が痛いんですー」
べって舌を出してシャーロットに言った私。
ヤミさんの危機を感じてやってきてくれたのだろうか、続けざまにシャーロットはヤミさんに悪態をついていた。愛の力ってすごい。
「下民の聖女にしてはよく働いた。誉めてやろう」
「・・・光栄です、ノゼル団長。」
ところどころ王貴族は無意識なのだろうが下民を見下す発言をするのが好きらしい。私は少しその言葉に眉を顰めたが代わりに戦ってくれるのだ、文句をいうべきではないだろう。
それぞれの団長が“三魔眼”を相手に戦いを始めた。マナがほとんど尽きてしまった私は少し離れて戦場を見守ることにした。
ほとんど力が残っていないリヒトを見やる。このまま殺されてしまったらウィリアムさんとも会えなくなるんだな――――と思うと、少し心がきゅっと痛んだ。
私の前世は、リヒトの言葉が嘘でなければ、彼らと同じエルフの『伝説の聖女』で、私は彼らに慈悲と博愛そして平等の精神を説き、人間とエルフの共存を目指した。
だが・・・
今リヒト達がやっていることは、ヤミさんのいうとおり人間の排除―――それはつまり、昔の人間が行ったことと同じ道をたどろうとしているのではないかと違和感を覚えた。
ほとんど昔の記憶は封印されていて、思い出そうとするとノイズがかかったように不鮮明なのだけれど、たぶんリヒトという男はこんな歪んだ思想ではなかったはずだ・・・本当に彼はリヒトという男なのだろうか・・・。
ぼうっと戦闘を見ていると、アスタ君がリヒトに不意打ちを食らわせてリヒトの封印魔法を解いた。
押さえていた膨大な魔力量が噴出し、光が彼の周りを包む。
“三魔眼”ですらその不測の事態に急いで封印魔法をかける。
「うちの大将、具合悪いから今日はここで帰らせてもらうねー」
「今回は我々の敗北だ・・・!だが次に会う時はお前たちに真の絶望を味わわせてやろう・・・!」
「その時が あなた達の最期・・・」
そう言ってリヒトとヴァルトスを連れてアジトに帰っていく三魔眼を見ていると、私の下にも空間魔法が張られていた。
「え・・・なに!?」
「お前もついてきてもらう、『伝説の聖女』」
『憎悪』のファナが私に冷ややかな目で言う。
助けを呼ぼうと叫ぼうとしたが口は何者かにふさがれ、尽き果てたマナのせいで誰にも注意をひきつけられなかった。
声も出せれないその目でヤミさんを見つめ、その氣に気付いた彼と目が合った時にはすでに遅く、私は空間魔法に飲み込まれた。
「・・・あいつ・・・・くそっ」
リンが連れ去られたことに自分自身しか気づいていない状況にヤミは考えをめぐらせた。
おそらく、白夜の魔眼のアジトに連れ込まれたのだろうが、所在地がわからない上に戦力の浪費が激しいこの状況は一旦引くしかないと判断し、
勝利に喜び気を失ったアスタを横目で見て、「送ってやれ、フィンラル」と焦る気持ちを抑えながら、つかの間の休戦に深いため息をついた。