03
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「いちいち油売ってねえで行くぞ」と背後からヤミさんの声が聞こえる。
もうせっかちなんだから・・・とため息が漏れたが、トイレからアスタくんが出てくるのを見てヤミさんの視線はそっちに向いていた。
「オレを待たせるとはいい度胸だな・・・!!どれだけ長ぇウンコしてたんだテメー」
「いやほんっとすんごいの出たんすよ!!もうこーーーんな巨大な・・・」
「誰がうちの聖女様の前でテメーのウンコの話をしろって言ったバカタレ」
「聖女様ぁぁあすんませんんんん」
泣きべそをかきながら近づくアスタくんの頭をもって制止する私。あれ、どこかの団長さんも頭掴んでなかったっけと思いながらぱっと手を離した。
そもそもよくウンコの話をしてるのはヤミさんのほうなんだけど・・・
「いいから帰りましょうか・・・?フィンラル」
「ういっす!」
フィンラルが空間魔法 堕天使の抜け穴を発動し、
その一方で何やら二人がじゃれてるのを見て、余計な火の粉は降りかからないように私は一番に入った。
「私先に行ってますから、あとはよろしくねフィンラル」
「リンさん・・・!この状況オレもきついっす・・・!リンさああああん!!」
助けを求める声は聞こえないふりをした。
かえってゆっくりベッドに入って眠るんだ―――と思い『黒の暴牛』の扉を開けると、
そこは戦場と酒場と厨房がごった煮したようなカオスな空間となっており、めまいを覚えた。
「リンちゃんおかえりなさいー!いい殿方には会えた?って貴女は『金色の夜明け』の殿方のものかぁーー」
がばっと私の視界が深紅のローブで埋まった。バネッサのふくよかな胸が私に当たる。やわらかい。
「バネッサまた何を言って・・・って酒くさっ!その恰好じゃ風邪ひくわ」
「いいじゃないーさあさあ、久しぶりの惚気聞かせなさいよお」
「えっリンさんおかえりなさいっす!!!!おいこののんだくれハレンチ女!!とにかくリンさんに近づく奴はコロス」
「うるさいわねこの童貞不良だまらっしゃい」
「童貞じゃねーし!」
「あれれーよそ見してるとやっちゃうよーー?」
これをカオスと呼ばずになんと呼ぶ・・・と頭を抱えていると、「オマエラ・・・もの壊すんじゃねえ!!!」と一番建物を壊しているヤミさんに誰も突っ込むことなく団員全員の動きが止まった。
「お勤めご苦労様っすヤミさああああん」
「お帰り団長~~~」
と口々に団長に話しかけるがうるさくて何も聞ける気がしない。もう帰って眠らせてくれ・・・と思いながらその場の趨勢を見送った。
「そうかそうかオマエらそんなにオレが好きか だがうるせー」
口をそろえて「すみません」と正座する姿はなぜかちゃんと躾されている犬のようだ。
「だいたいリンてめえ先に帰りやがって、なんでこいつらの統率取れてねえんだ使えねえ」
「私完全とばっちりじゃないですか」
「まあいい・・・このチンチクリンがもう一人の新入団員だ。死なねー程度にしごいてやれ」
「リンさんと同じハージ村から来ましたアスタです!!よろしくお願いしやああああす!!」
「てめえみたいな弱そーなチビが、リンさんと同郷で『黒の暴牛』の新入団員だァ~~!?
ヤミさんとリンさんにどんな媚びの売り方したか知らんが・・・ここのローブを身に纏いたきゃア、ヤミさんの筆頭舎弟であるこの漢の中の漢 マグナ・スウィングを認めさせてみなァ~~!!」
「筆頭舎弟なんですか?」
「めんどくせえからいいんじゃね」
隣をちらりとみるとヤミさんは鼻をほじくっていた。汚い。
アスタくんが『黒の暴牛』のローブに目を輝かせて「ください!!!」とせがみ、いつの間にか洗礼の儀という名のくだらない戦いがマグナくんとの間で起ころうとしていた。