混迷レセプション
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授業終了とともに下心丸出しの男子生徒達が先生を取り囲む。
週末の予定は、今日の夜の予定は、マジカメはやっているか。
絶世の美女によく自分たちが相手してくれると思うなと呆れながらその状況を遠くから観察していると、困った顔をした先生と目が合ってしまった。
どこか気恥ずかしくて視線を外す。そして、もう一度先生の方を見るが、また視線が絡み合う。罰が悪くて席を立ってしまった。
禁断プレリュード
一週間後の期末テストに備えて、モストロ・ラウンジのおかげもあってか前年に比べての対策ノートは順調に契約が進んでいる。
100年分のデータをまとめたテスト対策ノート。完全無欠であったはずだが、一人だけ僕の手が届かない難敵がいる。
テスト対策の質問もとい情報収集に先生の自室に訪れたわけだが、あろうことか先生は食べかけのチョコレートを口につけながらすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。
「まったく、鍵もかけないでよく気持ちよさそうに寝てますねえ・・・」
この隙を見て先生のパソコンからテストの情報を盗み見るなりデータに落とすなりすれば万事解決と思うわけだが、
困ったことに、この先生はテストを毎回”作らない”人だった。
その場で突発的に思いついたことを問題にする先生。
そしてそれはあながち指導要領から逸脱した内容でもないので審議会に掛けられることもない。
このナイトレイブンカレッジに赴任して5年目。なんと、女性魔法学校を卒業後すぐに教師として採用されたのだ。年齢としては23、24といったところか。
5年分の過去問をあさっても全く規則性のないあなたの情報が欲しい。そう思い毎回足しげく通っていたのだが、のらりくらりとかわされてしまう。
このままでは、完璧な100年分のテストの出題傾向をまとめたノートの信用が失われてしまうと内心焦りを感じていた。
毎日のように足しげく通う僕に、授業が終わると先生は「アズールくん、勉強熱心なのはいいけど体を壊さないようにね」と、気遣って各国の珍しいチョコレートをくれたりする。
でも、肝心のテストの情報は一切教えてくれなかった。
あなたの情報が欲しい。あなたの情報が欲しい。
何でもない話をしていくうちに、いつの間にか、あなたが欲しい。という思考回路に変わっていた。
口元についているチョコレートを拭おうとハンカチを伸ばした時、
「ん・・・アズール君・・・来てたのね」
長い睫毛をぱちぱちと震わせて、彼女はむくりと起き上がった。
まだ寝起きなのかとろんとした表情で僕を見つめる。なんというかとても情欲的だ。心臓の鼓動が早くなった気がした。
「先生、こんなところで寝ていたら体に障りますよ」
「今日も来るだろうと思ってたから、待っていたのだけれど眠くなっちゃった」
そう言って、彼女は僕を見つめてくすりと笑った。
僕はその言葉を何回も咀嚼する。先生が待っていた?僕のことを?だから、わざと鍵をかけなかった?
挙句、寝てしまったなんて愛おしくて仕方がない。体が熱くなり、頬が火照るのがわかる。
そんなことを気にすることなく先生は紅茶を用意してくれた。今日は薔薇の国のハート形のチョコレート。
「今日の必要摂取量はもう取れてますので」と断ったのだが、
「そんなこといったら背が伸びないぞ」とかわけわからないことを言われて、無理やりチョコレートをねじこまれた。
「で、今日は何の質問?」
それらしい質問をしても、彼女にはすぐ嘘だと見抜かれてしまう。翡翠の両眼に捕らえられた僕は彼女の質問に喉を詰まらせた。
「先生、僕・・・」
そう言いかけて言葉に詰まる僕に何かを察したのか、彼女は手招きしてソファに座るよう誘導する。
先生の隣におずおずと座ると、彼女は僕の少し緩んだネクタイをきれいに締めた。
「うん、これできれい」
絶世の美女の顔が目の前でほほ笑んだ。
先生と生徒の関係とわかっているのに、なんでこんなに心が苦しいのだろう。
「先生、質問です」
「ええ、どうぞ」
思ってるこのもやもやに考えを巡らせたあと、先生でもわかるように僕の気持ちを伝えることにした。
「いくらデータを積み重ねても#N/Aという答えが返ってくる、先生に対するこの感情に答えを頂きたいです。」
そう打ち明けると、先生は目を丸くしたのち、「独特の表現だね」と言って僕の頭をぽんぽんと撫でた。
そして、僕の額に先生の小さな額をこつんと合わせてこう囁いたのだ。
「卒業出来たら教えてあげる」と。
禁断プレリュード
卒業したら、会えなくなってしまうのに
あなたは、何人の生徒をこの気持ちに落としてきたのですか?
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