02 臆病アドマイア
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さみしくて、つめたくて、まっくらのせかい。
珊瑚の海の冬は流氷に覆われ、食料も限られており、とても憂鬱になる。
そんな中、見覚えのあるタコ足をした彼が私の前に現れた。
「本当は、ウィンターホリデーに帰省するつもりはなかったのですが」と呟いて、彼は私に巻貝の髪飾りを差し出した。
「手づくりの髪飾りです。これは魔力を調整するもので、たまに襲う本能は血の匂いと、魔力の暴走だと思って作ってみました。」
髪飾りをつけてもらうと、私の髪の毛は青から紫に変化して流れるようになった。たまっていた魔力がいい具合に放散されているような気がした。
「アズール、なんだか少し溜まってたものが発散されて楽になった気がする。ありがとう!」
そう言うと、彼は少し視線を落としながら「気に入っていただけたなら、何よりです」と口をもごもごさせながら答えた。口に稚魚でも入ったのかと思った。
彼は学校のこと、寮のこと、経営するラウンジのことについて色々しゃべってくれた。ジェイドとフロイドも同じ寮生で行動をともにしているらしい。
少し皮肉を交えつつも、その話し方はとても充実してるとわかり、私は少し寂しい気持ちになった。
「リンも、うちに来れたらいいのに」と、アズールはフォローしてくれたけれど、女の私は男子校に入れるわけがなく「しょうがないよ」と眉を下げて言うしかなかった。
でも、ウィンターホリデーと呼ばれる長期休みは、ほとんど私と過ごしてくれた。
「課題とかあるんじゃないの?」と聞くと、こちらに来る前にすべて終わらせてきたそうだ。
彼と一緒にいると洞窟から出て散歩ができるようになった。周りの人魚からは奇怪な目で見られたけれど、アズールと一緒にいると全然気にならなくなった。
私が前から行きたかったレストランや雑貨屋さんにだって付き添ってくれた。ぺろりと平らげてしまう私にアズールは「もっと味わって食べなさい」と呆れた顔で笑っていた。