01 暴君シャークレディ
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少し昔の話をしよう。僕と彼女が出会ったのは暗い海底の洞窟である。
そこにはサメが住んでいると言い伝えられ、人魚や魚からは敬遠され、暗い闇に閉ざされていた。
気になった僕は洞窟の前を通っていたのだが、毎日毎日、洞窟の奥から少女のすすり泣く声が聞こえてきた。
「どうしたの?」と恐る恐るその洞窟の奥に向かって問いかける。すると、少女の泣く声は止まり、しゃっくりをあげながら、こういったのだ。
「好きなものを、好きすぎて食べてしまう」と。
大切にしていた、クマノミも、タツノオトシゴも、いつの間にか食べてしまうと。自分を恐れて、結局ひとりになってしまうと。
独りになってしまうという点では、僕も似たようなものを感じた。いじめられっ子でノロマな僕と、恐れられ強大な力をもつ彼女。
真反対な立場のはずなのに、なぜか境遇は一致している。
僕は洞窟の奥に少しずつ近づき、彼女に出会った。暗い洞窟に似合わない白雪の肌、誰もが魅了される深海の宝石のような瞳。
海の王者を彷彿とさせる立派な尾びれと、その美しい容姿はこの世界中の海の生物がひれ伏す女王の風格を醸し出していた。
「僕はアズール・アーシェングロット。君は?」
「私は、リン・シェーンブル・・・・」
ぽろぽろと泣きながら、たくさんの遺骨が彼女の背中に置かれていて、実際少しぞっとしたものの、
僕が手を差し出すと、彼女はぎゅっと握りしめ、震える声でこう言ったのだ。
「アズール君、私があなたを傷つけたら、ぜっこうしていいから・・・だから・・・一緒にいてくれない・・・?」
「一緒に本能に勝てる方法を探そう。だから、絶交なんてしないよ。ずっと一緒にいる。約束だ。」
うつむいていた彼女は、急に僕の方を驚いた眼で見つめて、ふっと弱った顔で「ありがとう、ありがとう」と何度も何度も言ったのだ。