番外 転寮フラート
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おお、マレウス。オクタヴィネルのかの
「必要ない。直々に会いに行くことにした」
「ならシルバーとセベクを連れていくとよい。奴らがまた探しに行くじゃろう」
「必要ないと伝えておけ」
転寮フラート
オクタヴィネルの1年生、リンといったか。彼女の魔力は少し奇妙な形をしていた。
魔力を循環させ、浄化された純度の高い魔力は素晴らしい海の化身を召喚し僕に歯向かってきた。
その美しい宝石のような魔力に、僕は思わず見入ってしまい彼女に点を奪われてしまったのだが。
「ふふ、ご無礼をお許しください。マレウス様」
そう言って優雅に去っていった彼女が今でも目に焼き付いている。
それからというもの、月に一度彼女に文を送るようになったが未だに返事をもらうことはなかった。
あまりのしつこさに嫌われてしまったのだろうかと少しばかり憂鬱にもなったが、彼女は僕に目を合わせると素敵な笑みで会釈をする。
その不自然さに不思議に思い、カラスを飛ばすとアーシェングロットがあろうことか、僕の文を切り裂き破棄していることがわかった。
異議申し立ての為彼に会いに行くことにした僕は、オクタヴィネル寮へと足を運んだが、その廊下で彼女と鉢合わせしてしまった。
「マレウス様・・・なぜ直々にオクタヴィネルに?」
「ああ・・・アーシェングロットに用があってな」
と言ったが、大本命は目の前にいる彼女だ。
ついでに我がディアソムニアに転寮をするよう勧めようと思ったのだがなかなか口に出せずにいた。
すると、彼女が気を使って談話室まで案内するよう言ってくる。違う、違うと思いながら。
足の動きが遅い僕を見計らってか、案内していた彼女の動きが止まり、「どこが具合でも悪いですか?」と聞いてくる。
僕はようやく決心がつき、口を開いた。
「僕のもとへ来ないか」
そう言ったものの口を開けて僕を見つめる彼女に、言葉が足りないことに気が付いた。
「あ、あの・・・マレウス様・・・それは、」と言いかけた彼女を遮るようにして、「おやおや、それはどういうことですか?」と高らかに笑うアーシェングロットの声が聞こえた。
「まさか直々に、ディアソムニア寮のマレウス様が足を運んで見えられたとは・・・」
そう言って、彼女の腰を抱き自身のもとへ置く姿はさしずめ「渡すものか」といったところだろう。
「こちらとしても、僕の文が”何かの手違い”で彼女のもとに送られていないのは不思議に思って彼女に直接声をかけることにした」
「ああ!あのなんともセンスを疑う・・・失礼、異色で差出人もわからない文は寮長の僕としても、うちの寮生である彼女にお渡しするのはいかがなものかと思いまして。
しかし、マレウス様からのものだったのは初耳でした。僕の数々の非礼をお許しください」
「知らなかったというのならば、許すほかない。しかし、今僕は、彼女に聞いているのだ。うちの寮に来ないかと」
改めて言いなおし彼女は「そういうことか・・・」と安堵したようにも見えたが、依然としてアーシェングロットの瞳は曇っている様子だった。
そんな様子に臆することなく、彼女は「アズール先輩、少し外してもらえませんか?」と問う。そんな彼女に僕も彼もが目を丸くした。
「そ・・・そんな、リン、お相手はマレウス様ですよ?あなた一人で済む問題では・・・」と言いかけると、
「マレウス様が話したいのは私なんです。なので、外してもらえませんか?」と有無を言わせぬほほ笑みでアーシェングロットに問いかけていた。
そんな強気な彼女もまた、魅力的だった。
渋々と席を外した様子の寮長を尻目に、彼女は僕に恭しく首を垂れた。
「数々の非礼をお許しください、マレウス様。私も自分自身の溢れんばかりの魔力に、ディアソムニア寮の方が向いていると思っていた次第です。」
ならば、早急に手続きを進めようと言おうとすると、彼女は「しかし、」と続けた。
「残念ながら、私の心はこの、オクタヴィネル寮にあると思っております。あなた様からお誘いを頂いたことは大変光栄なことですが、どうしても、諦めきれないのです」
眉を下げた彼女のなんとも慈悲深く誠実な心に思わず僕は胸を打たれた。
「ならば、たまに遊びに来るといい。ディアソムニアはいつでもお前を迎え入れよう」
「ふふ、謹んでお受けいたしますわ。マレウス様。」
転寮フラート
「リン!!!!何もされなかったですか!?ああ、もう!!!本当に、貴女という人は・・・!!」
「アズールってリンのことになるとうざいほど心配性だよね」
「こら、フロイド。彼なりの愛の形なのですから仕方ありませんよ。そっとしておきましょう」
1/1ページ