07 辯駁オクトパス
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「コレ、あんたが取ってこいって言ってたリエーレ王子の写真。ちゃんと持って来たぜ。まだ太陽は沈んでない。これで完璧に俺たちの勝ちだ。」
博物館で取って来た写真をアズールに渡したジャックだが、サバナクローの二人は見逃すまいとその写真をのぞき込む。
だが、面白いようなものでもなく、二人は頭に疑問を浮かべた。
「なんだ、この写真?・・・人魚の稚魚どもがわらわら写ってるだけじゃねぇか。」
「エレメンタリースクールの集合写真・・・スかね?なんでこんなのが欲しかったんスか?」
「あっは、懐かしい。これ、オレたちが遠足の時に撮った写真だよね。ココに、オレとジェイドも写ってる。
そんで一番隅っこに写ってるのが、昔のアズール!」
フロイドの発言にオクタヴィネル以外の一同全員が驚愕する。
横でアズールは断末魔の叫び声をあげて写真を見ないように制止したが時はすでに遅かった。
「見るな!見ないでください!」
「おやおやアズール。急に元気ですね。もう少し寝ていては?ここまできたら、諦めた方が気が楽ですよ。」
双子はこの状況を最大限に楽しんでいるのだろう。にやにやと笑みを浮かべて私を見た。
こんな焦ったアズールを見るのはしばらくないかもしれないと私もにやりと笑い返す。
そんなこともつゆ知らず一同はアズールと思われるその似ても似つかない姿に、絶句していた。
「もしかして、控えめに見ても他の人魚の2倍くらい横幅がありそうなこのタコ足の子ども・・・」
「アズール、オメー昔こんなに丸々と太ってたのか!」
「ああぁあああぁッ!!!」
言葉を絞り出すラギーとグリム。そして笑い出す一同。
唸り声をあげるアズールにさらに盛り上がった。
「くそぉ!モストロ・ラウンジの店舗拡大と、黒歴史末梢を同時に叶える、完璧な計画だと思ったのに・・・」
「二兎を追うものは一兎をも得ずってやつッスね。」
「同級生の卒業アルバムから写真屋のフィルムまで・・・昔の写真は全て取引で巻き上げ抹消したんですが・・・博物館に飾られたこの1枚だけがどうしても合法的に処理できずにいたんです・・・。」
「別にいーじゃん。オレ、この頃のアズール好きだけどな。今より食べでがありそうだし。」
さらっと私と同じような考えをするフロイドにくすりと笑う。やはり捕食動物側からしたらあれは美味しそうだと思ってしまうのが性なのかもしれない。
それに、彼にはすべてを抹消したつもりでも、私がそれを許すわけがないでしょうと胸ポケットに入れてある写真に手を当てた。
「そういう問題ではないんですよ!・・・ううっ、もういやだ。今すぐタコ壺に引きこもりたい。」
「とにかく。写真を持ってくるって約束は果たしたぜ。お前が出した条件を完璧にクリアした。
だが、俺はやっぱり盗みはしたくねぇ。アズール。あんただって、非合法なことはしない主義なんだろ。責任取って、元の場所に返して来いよ。」
ジャックの発言にアズールは至極嫌そうな顔をしたが、条件を果たしさらに迷惑をかけた手前、渋々と了承をした。
「・・・わかりました。でも、どうか画像ソフトで僕を消した写真にこっそり差し替えさせてください・・・」
そんな虫のいい願いも通るわけがなく、全員から却下されてしまったので、そのまま写真は戻すという結論に至り、アトランティカ記念博物館に行く予定を立てることとなった。
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