07 辯駁オクトパス
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変わり果てたアズールの姿を見て、ハーツラビュルやサバナクロー、ましてや僕の双子のフロイドまでもが臨戦態勢に入る。
はたから見ると、か弱き女性を人質に取った魔力に取りつかれた怪物といった構図になるのでしょうが、秀抜なリンのことです。わざと捕まったのは何か考えがあるのでしょう。
転送魔法を息をするように使える彼女はもはや魔法学校に通うレベルをすでに超えていると思ってしまいますが。
そんな彼女は僕たちに向かって「攻撃をやめて、私にやらせてほしい」と言ってきました。
そして、アズールに向かって何やら詠唱魔法を唱え始め、魔法陣を書き上げ、彼の胸に手を当てた彼女。
「『浄化せよ 深海の涙』」
魔法陣がアズールに溶け込み、その瞬間、微弱ながらも地盤が揺れ始めましたが、
「何が起こってんだ?」と冷静に分析するサバナクローの寮長はさすがの肝の座り方といいましょうか。
リンの美しく深海のサファイアの瞳から流れる大粒の涙。
泣いているのにアズールに向けるあの表情は、まさしく純粋な慈愛のほほ笑み。
流した涙は頬に手をあてていたアズールに溶けこみ、その涙の一粒、一粒が、白く淡い輝きを放ち、それが暗い海を照らしては溶けて暗闇を光に変える。
光り輝く涙は彗星のように意志をもったように次々と海に溶け込んでいきました。
まるで海の中のプラネタリウムのように、ある意味幻想的で、僕たちはその現実とは思えないような魔法に目を奪われてしまいました。
「え、いったい何が起きてんすか、レオナ先輩?」
「こんなユニーク魔法あるかよ・・・対オーバーブロット専用技じゃねぇか」
てかそんなうまいものがあるなら俺に使えよと悪態をついていたレオナ寮長も、してもらう義理もねえかとご自分で話を完結し僕は思わず笑ってしまい睨まれました。怖い怖い。
それにしても、ユニーク魔法をリンが使わない理由はこういうことだったのかとようやく理解が及びました。使わないというか、使えないと言いますか。
「そりゃ、対オーバーブロット専用技ともあれば、リンのユニーク魔法を見る機会なんてありませんよねぇフロイド」
「俺たちおかしくなんねーし。あんなダサい姿になるのはぜってぇーやだね」