06 崩壊エトワール
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サバナクロー寮の二人にアズールの魔法が当たってしまえばよいと思ったのだがあいつらに借りを作るのもいいと思い、転送魔法を使ってアズールから離れたところにワープした。
「お代は高くつきますよ、寮長様方」
「ちっ、余計なことを・・・」
「アズールくん、みんなからなにを吸い取ってんスか!?吸われたヤツらが次々倒れていく!」
オクタヴィネルの寮にいる生徒を手当たり次第に能力を吸い取っていく惨劇にラギー副寮長は少し気が動転していた。
その隣で冷静に寮長はアズールの魔法を観察している。さすがといった肝の座り方だ。
「アイツのユニーク魔法、契約書を介さないと他人から全ての能力を吸い取っちまうようだな。契約自体が、魔法の効果を制御する役割を果たしてたんだろ。
そんな禁術クラスの魔法、反動であっという間にブロットの許容量を超えるぞ。」
「アズール!貴方なにをしているんです!」
「うわ、なにこれ、どーなってんの?」
暴走するアズールに向かって双子が遅ればせながらやってきた。
美しい海の寮があっという間に濁り切った浄化されない海。
まるで私たちが育った深海のようと思いながら、双子に説明する。
「契約書があのサバナクローの寮長に粉々にされて、アズールが暴走して、契約書を使わないで人の能力を奪ってる最中」
「リン、とにかく無事で何よりです。お怪我は?」
「ないない。それよりも、どうやって止めましょうねぇ」
双子の存在に気付いたアズールは喜びに満ちた顔でこちらを見やる。といっても嫌な予感しかしないが。
「ジェイド、フロイド ああ、やっと戻ってきてくれた。そこのバカどものせいで、僕の契約書が全て無くなってしまったんです。
だから、あなたたちの力も僕にください。ねぇ、僕にくださいよぉ!」
「お待ちなさい。貴方のユニーク魔法は強力すぎるゆえに、契約書無しには制御できないはず。
そんなことをすればどうなるか、自分が一番よくわかっているでしょう!」
「だってなくなっちゃったんですよ、全部・・・アハハ・・・アハハハッ!このままじゃ昔の僕に戻ってしまう!」
「あのさー、今のアズールって、昔のアズールよりずっとダサいんだけど。」
「フロイド、思ってても言っちゃダメ」
売り言葉に買い言葉。聞き逃さなかったアズールは瞳孔を開いてフロイドの言葉に反応する。
「あ~、そうですか。どうせ僕は1人じゃなにも出来ないグズでノロマなタコ野郎ですよ。だから、もっとマシな僕になるためにみんなの力を奪ってやるんです。
もっとマシになって、リンにふさわしい僕になるんだ・・・!そこのお前ら、美しい深海の女王に近づくんじゃない!!!!全てを僕に寄越しなさい!!」
そう言ってアズールは私を掻き抱いた。暴走気味の魔力のせいで私も身をかわせずアズールに捕まってしまう。
自我を保とう抗っているのかもしれないがもう時は遅かった。アズールの体からどろどろと黒い何かが出てきた。
オーバーブロットの前兆だ。
「リン!!そこにいては危険です!!!すぐに離れてください!!」と叫ぶジェイドだが、私が隣にいないと本当に死んでしまうような気がして、
転移魔法を発動する気も削がれてしまった。
マジカルペンが黒く染まり、アズールの姿が変化する。
たこ足に絡まれるも表情を変えない私に、オーバーブロットしたアズールは嬉しそうに
「リン・・・・ああ、リン・・・・やっと二人だけの世界だ・・・さあ、僕と一緒に溶けましょう・・・・?」と優しく手をあて、ほほ笑んだ。
崩壊エトワール
恐怖も 絶望も 全部 飲み込んであげる。