05 腹黒クイーン
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双子に誘導を頼まれたので、アトランティカ記念博物館の辺をうろうろしていると、遠くからターゲットと思われる彼らがやってきた。
「おっ・・・なにか見えてきた。」
「あれ、アトランティカ記念博物館じゃね?」
「ふなっ!足が魚になってるヤツばっかりなんだゾ。」
「人魚・・・か?マジで水の中で生活しているやつらがいるなんて」
「あなたたち、ハーツラビュルの1年生2人と、狸ちゃんが一匹、魔法が使えない1年生、サバナ・クロー寮の人?」
「オクタヴィネル寮の リン・シェーンブル !!!!」
「え、なに、私有名人?」
口をそろえて私の名前を叫ぶ。前もそうだったがまるで救世主を見るかのような目で私を見つめないでほしい。
スペードの刺青?が顔にある男の子が私に近づいてくるなり頭を深く下げてきた。イソギンチャクがふよふよとしているのが気になる。
「お願いします!僕たちの力になってください!」
「え、ええ・・・?」
「おまえ、あいつらと仲いいだろ!説得してこのイソギンチャクを取ってほしいんだゾ!」
「た、狸が喋った・・・」
「狸じゃねえ!グリムだゾ!!」
「イソギンチャクってやっぱり誰かに魔法をかけられたの・・・?」
「お前んところの寮長が、契約でテスト対策ノートを渡す代わりに、50位以内に入ることを条件とした。
こいつらは50位に満たなかったから頭にイソギンチャクをつけられて、お前んところのラウンジの従業員として契約した225人が強制労働させられていたんだ。
それで、この監督生 ユウがオンボロ寮を担保として225人の解放を取引し、3日後の日没までにアトランティカ記念博物館のとある写真を奪ってくることを条件とした。」
「え、それって自業自得じゃない?」
「ふなッ!?」
「見た目のわりに冷徹系キャラ!?」
いやだって勉強しなかったあなたたちが悪いんじゃんと正論を言いたくなったが、これ以上敵視されても困るので、
頭上にゆらゆらと動く長い二人の影にあとは任せることにした。
「そうですよ。契約を守れなかった彼らが悪いのです。アズールは慈悲深い心で、彼らに力を貸してあげただけのこと。」
「あ~~~~♡きたきた、小エビちゃんたち♡リンも案内ありがと♡」
「ごきげんよう、みなさん。いかがです?海底の世界は。」
「あ、あんたらなんだその姿は!?」
「何って、”いつもの姿”だけど?だってオレたち、人魚だもん。」
「地上にいる時は魔法薬で姿を変えているんです。この尾ビレでは陸を歩けませんからね。」
呆気に取られている一行を尻目に、ジェイドは私を見て首を傾げた。
「ところでリンは、なぜ人間の足をしているのです?」
「あ 本当だぁ~サメの尾びれちょ~かっこいいのに~」
「目立つから嫌なの。放っといて」
それだけ言うと、ジェイドが「失礼いたしました。」と恭しく一礼する。わざとやってるんだよなぁと思いながら一瞥した。
彼らはいまだに双子を見て呆気に取られていた。
「ってか、めちゃくちゃ長っ!身長・・・いや、全長何メートル!?」
「ウミヘビか何かか!?」
「残念、ウツボでぇす。」
「そんなことより、お前ら何しにきたんだゾ!」
「あはは、そんなの、オマエらの邪魔にしきたに決まってんじゃん。」と悪びれもなく言うフロイドに、
「やっぱそ~ですよね。」とオレンジのつんつん頭の子が悪態をつく。
「そう簡単に条件をクリアされては困りますから。まあリンの手にかかれば僕たちはいらないも同然ですがね」
「そ・・・そうだこの女・・・、マジカルシフトでおっかねえ魔法を使ってたんだゾ・・・」
「私は見てるだけだから続けて頂戴」
私は少し離れたところで静観することにした。
程なくして、ハーツラビュルの寮生達は魔法を繰り出し攻撃を仕掛けるが全て外していく。
まるで赤子の手をひねるかのような構図に少し哀れに思ったが、フロイドの調子がいいということで安心して見守ることができる。
「嘘っ。オレがあんなハズしかたするなんて・・・。」
「チッ、どいてろ。俺がやる!オラァ!!」
サバナ・クロー寮の男が見るに見かねて魔法を繰り出すが、それも攻撃がそれる。
「なにっ!?アイツらに魔法が当たる直前で、勝手に軌道が変わってる!?これは・・・」
軌道の変化に気づいたサバナ・クロー寮の生徒はさすが野生の勘が鋭いのかフロイドの魔法に気づき始める。
「へぇ、ウニちゃんは良く見てんじゃん。」
「やはり、陸の獣は目がいいんですねぇ。」
「なんでオレらに魔法が当たらないか教えてあげる。
オレのユニーク魔法『
「はぁ…フロイド。ユニーク魔法をペラペラと他人に教えてしまうのはあまり感心しませんよ。」
「いいじゃん。分かってたってコイツらには止められねーし。」
「はいはい。今日は魔法の調子が良いみたいで何よりです。いつもこうだと、僕も嬉しいんですがね。
気分が乗らないと一度も成功しないんですから……困ったものです。」
「ほらほら、早く逃げなよ。捕まえたらオレの尾ビレでギューっとしちゃうよ。どいつから絞めてやろうかな?」
「アイツら、狩りを楽しんでやがる・・・!」
「このままじゃ一方的にボコられちまうぞ!」
一旦退却を考え身を引くことにした彼らにフロイドは高らかに嗤った。
「アハハ、何度来たって同じだよ!
そんな貧相な尾ビレで、海の中のオレらに勝てるわけないじゃん。」
「またのお越しをお待ちしております。」
鏡の間に戻った彼らを見計らい、私はフロイドとジェイドを呼んだ。
気になるのは、オンボロ寮を取り上げられた後はどこに住んでいるかだ。
まさか野宿をしてるわけでもあるまいというと、双子は顔を合わせて、たしかにとつぶやいた。
「ふふ、さすがリンは鋭いですねえ。フロイドと尾行しますからあとはゆっくり休んでください」