03 安眠トランキライザー
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「モストロ・ラウンジの経営は安定して売り上げを伸ばしており、2号店の出店を考えています。
そこで、経理の勉強は私が教えますので、その経営をあなたに任せようかと思っている。」
「え~私がするの?」
「全てのバックアップはこちらでさせていただきます。代わりにロイヤリティとして売り上げの10%を本店に・・・と言いたいところですが、
あなたとの縁ですので、5%で構いません。
どうせあなたが”何かの手違いで”備品を破壊してしまう修繕費になってしまうので。
積立貯金と思えば、悪い話ではないと思いますよ。」
「それって、売り上げを私の修繕費で持ってかれないようにしてるだけじゃない?あと、私そんな頻繁に備品壊してないもん」
「おや?そうですか。『5月10日 輝石の国 七色の宝石の花瓶 30万マドル』
『6月27日 珊瑚の海 ポセイドンの三叉槍 期間限定モデル 50万マドル』
『7月5日 薔薇の王国」
そこまで帳簿を読み上げるとリンは頭を抱えながら僕の発言を制止した。そして二つ返事で了承した。
「守銭奴」
「知ってます」
「闇の売人」
「おやおや、商売は慈善事業でないことくらいおわかりでしょう」
目に殺意がなければ、言葉に詰まって顔がむっとしたところもかわいらしい。寝巻き姿の体育座りでにらみつけられると、サメの女王もクマノミに見えてしまうから不思議だ。
「リン、これも卒業した後、共に生きる時に困らないためです」
「アズールなら、もっとすごい事業ができるよ」
「褒めてもこの話はなくなりませんよ」
彼女がちっと舌打ちをしたのは聞かなかったことにしよう。
僕が卒業してもリンには一年間ナイトレイブンカレッジに残してしまう。
その間に新規事業を立ち上げて、安定した収入を得なければ彼女と路頭に迷ってしまうことになりかねない。
「アドバイスはしますが、経営方針はあなたに一任します。
モストロ・ラウンジがお洒落な夜のバーをイメージするならば、2号店は陽だまりのような温かいウッド調の喫茶店でもいい。
美しく人を惹きつけるあなたは、深く暗い海よりも、陽がよくあたる浅瀬のほうが輝いて見えますから。」
僕がそういうと、リンは深海の宝石の瞳をキラキラとさせて、こくっと頷いた。
「ちょっと、楽しみになってきたかも」
「それはよかった」
「でも、2号店を建てる敷地なんてないでしょ?学園長も手伝ってくれなそうだし」
「そうですねえ・・・」
今考えている構想をリンに話していいものなのか、信頼してないわけではなく危険を伴う可能性があるから。
少し考えたが、やはり話すのは先送りにしておこうと思い「まとまり次第、あなたに話そうと思います」と答えた。