鶴と骨
鶴は一期一振を連れて骨喰の元へ再び向かった。
まだ本当に鶴が見えないと決まった訳ではない。もしかしたら、骨喰が鶴を驚かそうとしていただけかもしれない。
そんな希望的観測はすぐに打ち砕かれた。
「骨喰、入るぞ」
そう言って襖を開けようとした手を、一期一振に掴まれ止められた。
「なんだ?」
一期一振は少し眉根を寄せ、襖に向いた。
「骨喰、入りますぞ」
そう声をかける。
「いち兄……。少し、待ってくれ」
返事があった。すると一期一振は小声で鶴に言った。
「骨喰は絶対に声をかければ返事をします。この意味は鶴丸殿であれば、わかるでしょう?」
鶴は認めたくなかった。認めるのが怖かった。認めてしまえば、二度と戻れなくなってしまうようで。
良くない考えを振り払うと同時に骨喰から
「待たせた」
と声がかかり、襖がすぅーっと静かに開いた。
骨喰の目は泣き腫らしたように赤くふくれており、声は少し嗄れていた。
それほどまでに悲しまれていることに、鶴は少しの嬉しさと、存在を証明できないもどかしさでどうにかなりそうだった。
「骨喰」
「わかっている、いち兄。心配をかけてすまない。ただ、どうしても心が追いつかないんだ」
「大丈夫。皆同じです。ヒトの心とは難儀なものですな」
果たして一期一振の言葉は骨喰に向けられたものなのか、鶴に向けたものなのか。
「鶴は……鶴はいつも俺の先にいた」
顕現したときも、その後も。
骨喰は少し悔しそうで、嬉しそうな顔をした。
「俺が鶴の隣に立てるくらい強くなれば、もう一度逢えるだろうか」
悲痛な、それでいて強い意志を持つ声を聞いて、鶴は情けなくも逃げ出したくなった。
「……骨喰、すまん。……そこに俺はいないんだ」
聞こえないとわかっていても、謝らずにはいられなかった。
そんな俺と骨喰を交互に見る一期一振はなんとも言えないといったふうで、静かに佇んでいた。
まだ本当に鶴が見えないと決まった訳ではない。もしかしたら、骨喰が鶴を驚かそうとしていただけかもしれない。
そんな希望的観測はすぐに打ち砕かれた。
「骨喰、入るぞ」
そう言って襖を開けようとした手を、一期一振に掴まれ止められた。
「なんだ?」
一期一振は少し眉根を寄せ、襖に向いた。
「骨喰、入りますぞ」
そう声をかける。
「いち兄……。少し、待ってくれ」
返事があった。すると一期一振は小声で鶴に言った。
「骨喰は絶対に声をかければ返事をします。この意味は鶴丸殿であれば、わかるでしょう?」
鶴は認めたくなかった。認めるのが怖かった。認めてしまえば、二度と戻れなくなってしまうようで。
良くない考えを振り払うと同時に骨喰から
「待たせた」
と声がかかり、襖がすぅーっと静かに開いた。
骨喰の目は泣き腫らしたように赤くふくれており、声は少し嗄れていた。
それほどまでに悲しまれていることに、鶴は少しの嬉しさと、存在を証明できないもどかしさでどうにかなりそうだった。
「骨喰」
「わかっている、いち兄。心配をかけてすまない。ただ、どうしても心が追いつかないんだ」
「大丈夫。皆同じです。ヒトの心とは難儀なものですな」
果たして一期一振の言葉は骨喰に向けられたものなのか、鶴に向けたものなのか。
「鶴は……鶴はいつも俺の先にいた」
顕現したときも、その後も。
骨喰は少し悔しそうで、嬉しそうな顔をした。
「俺が鶴の隣に立てるくらい強くなれば、もう一度逢えるだろうか」
悲痛な、それでいて強い意志を持つ声を聞いて、鶴は情けなくも逃げ出したくなった。
「……骨喰、すまん。……そこに俺はいないんだ」
聞こえないとわかっていても、謝らずにはいられなかった。
そんな俺と骨喰を交互に見る一期一振はなんとも言えないといったふうで、静かに佇んでいた。
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