お礼画面

♥️ありがとうございます!

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君の好きなお菓子

僕は、友達が少ない。
人見知りなのはわかってるし、おどおどして人をイラつかせてしまう。
でも、そんな僕にも友達が出来た。いつも優しくて、楽しそうに話を聞いてくれる。時々お姉さんみたいな日本人の女の子。

もうすぐ、ハロウィン。僕には関係ない行事だと思ったけど、彼女に日頃の感謝を伝えるためにお菓子をあげたい。
何をあげたらいいだろう?でも、僕は彼女の好きなものを知らない。
あの飛行術の一件以来、毎日彼女にお菓子を1つあげるようになって結構経つ。何をあげても彼女は喜んだ。出来れば、1番好きなお菓子をあげたいんだけど…。

そんな事を思い立って早数日、談話室へ行くと、女の先輩達が話しているのを耳にした。
どうやら、彼女の話をしているようだ。ハッフルパフの変人と呼ばれている彼女だけど、 からかわれることはあってもいじめられることはなく、友達や知り合いも多い。時々、他の寮の人と話しているのを見かける。そして、そんな彼女に関わる人達はなんやかんや彼女に甘い。今も、先輩達は彼女のためにクッキーを用意しているようだった。よく聞けば、彼女の好物らしい。何のクッキーだろう?あげたら、喜んでくれるかな?そう思ったら居ても経ってもいられなかった。
「あのっ!」
僕は勇気を出して、その先輩に話しかけた。
最初は驚いていたけど、事情を話すといろいろ教えてくれてた。それに、僕の途切れ途切れの話をすごくニコニコした顔で聞いてくれた。どうしたんだろう…?最後には「頑張って!」と言う言葉と共にラッピング用の袋を貰った。

ハロウィーンの前日、僕は先輩に教えてもらったやり方で厨房へ向かった。そこには、沢山の屋敷しもべ達が働いていた。僕に気付くと、彼らはとても喜んだ様子でお菓子やお茶やらを出してもてなしてくれた。…今度彼女も連れてこよう。屋敷しもべの一人に彼女が好きな紅茶クッキーとバタークッキーを作って欲しいと頼むと、快く引き受けてくれた。お菓子が出来るまでお菓子を食べつつ待ってる。彼女の分だけでいいと言ったのに、僕の分まで作ってくれたようだ。お礼を言って、部屋に戻った。

「で、出来た。」
何度もやり直して、やっと完成した。僕の目の前には、少し不格好なリボンが付いたお菓子の袋がある。これでも、今までで1番の出来だ。
「喜んでくれるかな?」
友達に何かをあげるのははじめてで、とても不安だ。でも、ふと彼女の喜んだ顔が思い浮かんだ。小さい子どもみたいに無邪気で可愛い顔。僕は彼女のそんな顔が好きなんだ。

どうか、その可愛い顔で笑って受け取ってくれますように。




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