動物好きな彼
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気温が上がって、過ごしやすい季節になってきた。そして、今日から寮杯をかけたクディッチが始まる!
今日の試合は、我らがハッフルパフ対グリフィンドール!…って、アル先輩出るんだよね…。複雑。ハッフルパフには勝ってもらいたいけど、アル先輩が怪我をするのはいただけない。この時代って、ハリーの時代より危ない気がする。反則とか普通だし。だって、レイブンクローもそれとなくしてたよ!それに毎回何人か箒から落ちるし。つーか、落とすし。まだ、ルールがそんなに細かくないのかなぁ?こえぇ。
まぁ、何はともあれ!がんばれー、ハッフルパフ!…と、アル先輩。ぼそっ。
アナウンスがかかって、選手が入場する。うん!いつ見てもかっこいいね。とりあえず、拍手をして迎える。選手の先輩達がハッフルパフの観客席の近くを飛んでくれる。サービス精神旺盛。ありがとー!
次にグリフィンドールだ。赤い。…なんか強そう。ううん!負けないんだから。
とりあえずアル先輩を探す。グリフィンドールの選手がバラけて観客席の近くを飛ぶ。…あ。いた!ハッフルパフの観客席の近くに来てくれた選手の中にいた。アル先輩を見てうちの寮の女子の黄色い声援が上がる。…アル先輩モテるんだな。あれ?これは仲良くしてるといじめられるタイプ?やだー。
笛がなって、選手が競技場の中心に集まっていく。各寮のユニフォームを着た選手が二人降りた。あぁ、キャプテンか。握手をして、また空へ上がっていく。また、笛がなって、クアッフルが投げられた。試合開始だ。
最初にクアッフルを取ったのは、グリフィンドールだ。ゴールに向かって、飛んでいく。ハッフルパフのビーターがブラッジャーを打ち込んでいく。…身体狙ってる。本気だ。当たったら怪我するなぁ。ブラッジャーを避けつつクアッフルを放つ。ハッフルパフのキーパーが阻んだ。やったね!クアッフルはハッフルパフが持ってる。いけいけー!
チェイサー達がパスを回しつつ、ゴールへ向かっていく。シュート!やったぁ、先制点!がんばれー!
…にしても、寮ごとで戦術個性出るなぁ。
この後、すぐグリフィンドールが入れてきた。 …外れればいいのに。グリフィンドールは、調子のったのか次々入れてきた。ハッフルパフも頑張っていれるけど、追い付かない。そして、あっという間にスニッチを取ってしまった。えー?…なんなのよ、この試合。運もあるとは思うけどさ。なんか、うちのシーカー。言っちゃ悪いけど、なんか遅くない?反射神経はいいんだろうけど、なんかスピードが…。今のシーカー7年生だっけ?たしか。まぁ、卒業だし仕方ないのかな?とりあえず!3位決定戦頑張って!ドンマイ!
ーーーー
試合が終わり、早々にその場を立ち去る。どうせ一人で見てたし。混むのやだし。
一人廊下を歩く。ニュートはどこにいるだろう?天気もいいし、動物探してるかな?…とりあえず、物置行ってみよう。いなかったらアリーたちと遊べばいいし。
曲がり角を曲がり、物置の扉をゆっくり開けた。そして、目の前の階段を上がる。…いた!
「ニュート。」
窓際で靴を脱いで箱を覗き混んでいるニュートに声をかける。
「あ、カホ。クディッチは終わったの?」
「うん。負けちゃった。」
「そっか。」
そう言って、箱に目を戻す。こりゃ、興味ねーな。…箱のなかに何があるんだろう?動物?
耳を澄ますと、ピチチと声がした。鳥かな?ニュートの元に足音を忍ばせて、近づく。
「なーに?それ。」
そう言って、箱のなかを覗く。あったりー!
「ヒナ?」
「うん。森を歩いてたらいたんだ。巣から落ちたみたい。生きてたから、連れてきた。」
「ふーん。もうそんな時期なんだね。」
連れて帰る辺りニュートらしい。ヒッポグリフも鳥みたいだし、思い入れあんのかな?
「そうだね。小鳥の声があちこちからするよ。」
ヒナがピーピー、ニュートに向かって鳴いている。…正直、可愛くないし、うざい。もう少し大きくなったらかわいいんだけどな。ヒヨコ的な感じで。なんだよー、お腹すいたのか?
「ちょっと待ってね。」
ニュートはそう言って、ポケットを漁った。ポケットから、小さい虫の死骸が出てきた。うおっ!…ポケットに入ってるのか。
「ほーら、ご飯だよー?ふふ。おいしい?」
「ニュート…。」
ヒナがもぐもぐしている。ヒナにでれでれだ。ホントに動物好きなんだな。
「そっか。良かった。いっぱいお食べ。」
「お母さんか!」
すごく優しい顔でヒナを見ている。母親か!
ヒナはご飯を食べるとおとなしくなった。
「え?お父さんじゃないの?」
ニュートがきょとんとした顔で言ってきた。いや、絶対お前は母親だ。
「ううん。母親。」
「ええ~?そうかなぁ?むしろカホがお母さんじゃない?」
「え?」
「僕がお父さんで、カホがお母さん。」
「…。ヒナが子供ってこと?」
「うん!」
ニュートが嬉しそうに笑う。…かわいい!なんか、すごくキュンとした。すごく子供っぽい考え!ニュートに見られないように顔を反らし悶える。うあああああ。思考がかわいい!子供は鳥だけど。ニュートと夫婦かぁ。…大変そうだな。まじで。
…おかしい。なんでここだけ冷静なんだろう?振り回される未来しか見えてこない。でも。
「…それも、いいかもね。」
「ニュート。この子どうするの?」
「え?育てるよ?」
何を言ってるの?という顔をされた。…だろうね。
「そっか。ヒナって温度管理とか大変じゃない?」
「そうだね。一応保温呪文はかけておいたよ。授業中はもつと思う。最悪、拡張呪文をポケットにかけてつれ歩こうと思ってる。」
…なんか、すげぇ。流石動物ばか。
「…すごいね。」
「え?大変なのは今だから。すぐ大きくなるよ。成長早いから。」
「そっか。…早く大きくなりなよ。」
ヒナに向かってそう言う。…特になんの反応もないけどな。
「ニュート。無理しないでね?…何か手伝えることがあったら言ってね。」
ニュートは少しびっくりした顔をしたが笑顔になった。
「ありがとう!カホ。」
「うん。」
でも、きっと言ってくれないんだろうな。
ーーーー
あれから数週たった。
まじで、成長早いな。ピーピー鳴いていた骨と皮だったヒナがもふっとしている。はっきり言って、超かわいい。ヒヨコみたいになってる。
「はわぁ!やわい!かわいい~!」
ヒナを手のひらに乗せ、撫でる。ふぁっふぁっ!
「カホ、ほんと好きだね?」
「うん!ふわふわ!スキ!」
「…そっか。」
ヒナがピーっと鳴いた。かわいい。ヒナをじっと見つめていると、頭を撫でられた。
「え?ニュート?」
驚いてニュートを見る。
「…あ。ごめん、つい…。」
そう言って、撫でるのをやめた。なんぞや?…って、無意識かい。
私はヒナを箱に戻した。また、触らせてね。
「もうすぐ、もふもふじゃなくなるんだね。」
「そうだね…。」
残念だ。かわいいのに…。
「それまでにたくさん触らないと!」
ぐっと両手を握る。
「あんまり触りすぎないでね。ストレスかかっちゃうから。」
「はーい。」
まぁ、元気に自然界に戻っていくのが目的だもんね。でも、んなこと知らねーよ!という感じでヒナが鳴いている。…お前、生きていけんのか?そう思ってヒナを見ると、ニュートがヒナを撫でていた。ニュートも撫でたかったのかな?
ニュートの前髪が目に入り手を伸ばした。
「わっ!なに?」
前髪をわしゃわしゃ撫でる。
「…ヒナのほうが気持ちい。」
いやまぁわかってたけどさ。見た感じニュートの髪、ふわふわしてそうだもん。
「なに言ってるの?…そりゃそうだよ。」
と言いつつも、ニュートは私に頭を撫でられていた。心なしか嬉しそうだ。…かわいい。
ーーーー
あれからあっという間に、試験がやって来た。…早い。でも、まぁいつもよりは勉強したから多分、楽に赤点は回避できると思う。よく考えたら私、この子たちよりテスト経験あるよ?むしろ、赤点取ったら恥じゃね?そう思いつつも、成績上位になろうとは思わない。ほどほどでいーよ。変な期待背負わなくていーし。
ちなみに我が寮はクディッチで3位という結果になった。まぁ、最下位じゃないしいいんじゃないの?
「今日からテストだね。」
「…うう。いや。」
朝食を食べ終わりテーブルに座っていると、ニュートに声をかけられた。
「カホ頑張って勉強してたから、大丈夫だよ。」
「うう。…ニュート、余裕そう。」
「え?そんなことないよ!緊張しているよ。」
「…いつもと、変わらない。」
「そうかなぁ?」
「…座学と飛行術はまだいいけど、呪文系がなぁ。」
練習したけど、不発に終わることがまだある。テストの時不発だったらどうしよう。
「あー。強く念じればきっと出るよ。」
「…。」
机に突っ伏すと、ニュートが頭を撫でてきた。…落ち着く。
「…頑張る。」
「うん!頑張ろうね。」
ーーーー
「終わった~!」
最後の試験が終わり、机に突っ伏す。やっと、やっとだ!忌々しいテストが終わった。もうすぐ夏休みだ!
飛行術は完璧だし、筆記も出来た。魔法薬もなんとかなった。呪文不発が一回あったけど、大丈夫だろう。あー、頑張った!やっと、穏やかに眠れる。
机から顔をあげるて周りを見渡すと、皆笑顔だ。むしろ、嬉しくて走り回っている子たちもいる。…元気だなぁ。
「カホ!」
「アリー。」
声をかけられて振り向くと、アリーがいた。
「やっと、終わったね!後でパーティーしよう!」
「パーティー?いいね。しよう。」
「やったぁ!後で厨房からお菓子もらって来ようね!」
「うん。」
寮へ帰る道すがら厨房によってお菓子をもらってきた。楽しみ~!明日は休みだし、たくさん寝れるわー!
私たちがテストを受けている間もヒナはすくすく育っていった。毛も抜け、スリムになっている。時々飛ぶような仕草を見せるときがある。…そろそろ巣立ちかなぁ?なんとなく、寂しい。テスト中の世話はニュートがしていた。…ニュートはもっと寂しいんだろうなぁ。
「カホ。」
夜、アリーと談話室で話しているとニュートに声をかけられた。
「ニュート!お疲れ様!」
「うん。お疲れ様。…明日って空いてる?」
「え?明日?うん、大丈夫!」
「そっか。良かった。午後開けといてもらえないかな?」
「うん!いいよー!なにするの?」
「森に離そうかと思って。」
おう!巣立ちね。
「そっか。大きくなったもんね!わかった。ご飯食べたらでいい?」
「うん!よろしくね。」
そう言うと、ニュートは行ってしまった。ちょっとの間手を振っとく。心なしか早口だった気がする。まぁアリー居たしね。
「カホかわいー!」
「へ?」
「なにその嬉しそうな顔~!」
アリーに声をかけられて、振り向く。え?え?
「ほんとスキャマンダーのこと好きなんだね。」
「え?…うん。」
改めて言ってみると恥ずかしい。顔真っ赤だ。
「まぁ!…そりゃスキャマンダーも惚れるわ。」
「うぇ?」
「カホは、可愛いねってこと。」
そう言ってアリーに頭を撫でられる。なんか、はぐらかされた感じ。
「でも、良かった。ちょっと心配だったんだ~。」
「え?」
「あー、その。スキャマンダーっていい奴だけど、挙動不審なところあるでしょ?カホ無理してないかな?って思って…。」
「アリー…。」
「幸せそうなら良かった!…あ、スキャマンダーの愚痴とかあったらいつでも言ってね!話聞く!」
そう言って、アリーがニコッと笑った。
なんていい子なの~!ちょっと、うるってきた。
「ありがとう!アリー。」
ぎゅっとアリーに抱きつく。腕の中でアリーが悲鳴をあげたが無視した。
ーーーー
翌日。
アリーと昼食を摂った後、ニュートと待ち合わせをして森に向かった。
「この辺かなぁ?」
少し開けたところでニュートは足を止めた。
「枝の多い木がいいよね?うーん、あの木はどう?」
そう言って、やや小振りの木を指差す。
「うん!あの木にしよう。」
そう言って木の下に来ると、箱の中から小鳥を取り出した。拾った頃と比べると随分大きくなった。大人の小さい版って感じ。
「さぁ、おいで。怖くないよ?」
小鳥がニュートの手に乗る。いいなぁ、やってみたい。
小鳥がキョロキョロと周りを見渡す。飛ぼうとはしない。
「好きな時に飛んでいいからね。」
ニュートが指で小鳥を撫でる。ピーっと鳴いた。随分ニュートになついたなぁ。小鳥を手に乗せあたりを歩き回る。徐々に小鳥が飛ぼうと羽を動かし始めた。ニュートが足を止めると、近くの枝に乗った。
「飛んだー!」
飛べるようになったんだね!枝を見上げているニュートの隣に移動する。
小鳥はちょこちょこ枝の上を移動し、高いところへ飛んで行ってしまった。
「元気でね。」
そう声が聞こえて、ニュートの方を見る。…少し泣いていた。
あれだけ世話してたんだもん。寂しいよね。
私はそっとニュートの手を握った。視線はそのままに手をぎゅっと握られた。
すると、一際大きい鳴き声が聞こえた。ニュートにありがとうって言ってるみたいに。
「あの子、ニュートにありがとうって言ってるよ。」
「…うん。だと、いいなぁ。」
少し、ニュートが笑ったのがわかった。
私は、ニュートのそばにいるよ。出来るだけずっと。言葉にはしなかったけど、代わりに手をぎゅっと握った。
私達は、しばらく手を繋いでいた。
今日の試合は、我らがハッフルパフ対グリフィンドール!…って、アル先輩出るんだよね…。複雑。ハッフルパフには勝ってもらいたいけど、アル先輩が怪我をするのはいただけない。この時代って、ハリーの時代より危ない気がする。反則とか普通だし。だって、レイブンクローもそれとなくしてたよ!それに毎回何人か箒から落ちるし。つーか、落とすし。まだ、ルールがそんなに細かくないのかなぁ?こえぇ。
まぁ、何はともあれ!がんばれー、ハッフルパフ!…と、アル先輩。ぼそっ。
アナウンスがかかって、選手が入場する。うん!いつ見てもかっこいいね。とりあえず、拍手をして迎える。選手の先輩達がハッフルパフの観客席の近くを飛んでくれる。サービス精神旺盛。ありがとー!
次にグリフィンドールだ。赤い。…なんか強そう。ううん!負けないんだから。
とりあえずアル先輩を探す。グリフィンドールの選手がバラけて観客席の近くを飛ぶ。…あ。いた!ハッフルパフの観客席の近くに来てくれた選手の中にいた。アル先輩を見てうちの寮の女子の黄色い声援が上がる。…アル先輩モテるんだな。あれ?これは仲良くしてるといじめられるタイプ?やだー。
笛がなって、選手が競技場の中心に集まっていく。各寮のユニフォームを着た選手が二人降りた。あぁ、キャプテンか。握手をして、また空へ上がっていく。また、笛がなって、クアッフルが投げられた。試合開始だ。
最初にクアッフルを取ったのは、グリフィンドールだ。ゴールに向かって、飛んでいく。ハッフルパフのビーターがブラッジャーを打ち込んでいく。…身体狙ってる。本気だ。当たったら怪我するなぁ。ブラッジャーを避けつつクアッフルを放つ。ハッフルパフのキーパーが阻んだ。やったね!クアッフルはハッフルパフが持ってる。いけいけー!
チェイサー達がパスを回しつつ、ゴールへ向かっていく。シュート!やったぁ、先制点!がんばれー!
…にしても、寮ごとで戦術個性出るなぁ。
この後、すぐグリフィンドールが入れてきた。 …外れればいいのに。グリフィンドールは、調子のったのか次々入れてきた。ハッフルパフも頑張っていれるけど、追い付かない。そして、あっという間にスニッチを取ってしまった。えー?…なんなのよ、この試合。運もあるとは思うけどさ。なんか、うちのシーカー。言っちゃ悪いけど、なんか遅くない?反射神経はいいんだろうけど、なんかスピードが…。今のシーカー7年生だっけ?たしか。まぁ、卒業だし仕方ないのかな?とりあえず!3位決定戦頑張って!ドンマイ!
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試合が終わり、早々にその場を立ち去る。どうせ一人で見てたし。混むのやだし。
一人廊下を歩く。ニュートはどこにいるだろう?天気もいいし、動物探してるかな?…とりあえず、物置行ってみよう。いなかったらアリーたちと遊べばいいし。
曲がり角を曲がり、物置の扉をゆっくり開けた。そして、目の前の階段を上がる。…いた!
「ニュート。」
窓際で靴を脱いで箱を覗き混んでいるニュートに声をかける。
「あ、カホ。クディッチは終わったの?」
「うん。負けちゃった。」
「そっか。」
そう言って、箱に目を戻す。こりゃ、興味ねーな。…箱のなかに何があるんだろう?動物?
耳を澄ますと、ピチチと声がした。鳥かな?ニュートの元に足音を忍ばせて、近づく。
「なーに?それ。」
そう言って、箱のなかを覗く。あったりー!
「ヒナ?」
「うん。森を歩いてたらいたんだ。巣から落ちたみたい。生きてたから、連れてきた。」
「ふーん。もうそんな時期なんだね。」
連れて帰る辺りニュートらしい。ヒッポグリフも鳥みたいだし、思い入れあんのかな?
「そうだね。小鳥の声があちこちからするよ。」
ヒナがピーピー、ニュートに向かって鳴いている。…正直、可愛くないし、うざい。もう少し大きくなったらかわいいんだけどな。ヒヨコ的な感じで。なんだよー、お腹すいたのか?
「ちょっと待ってね。」
ニュートはそう言って、ポケットを漁った。ポケットから、小さい虫の死骸が出てきた。うおっ!…ポケットに入ってるのか。
「ほーら、ご飯だよー?ふふ。おいしい?」
「ニュート…。」
ヒナがもぐもぐしている。ヒナにでれでれだ。ホントに動物好きなんだな。
「そっか。良かった。いっぱいお食べ。」
「お母さんか!」
すごく優しい顔でヒナを見ている。母親か!
ヒナはご飯を食べるとおとなしくなった。
「え?お父さんじゃないの?」
ニュートがきょとんとした顔で言ってきた。いや、絶対お前は母親だ。
「ううん。母親。」
「ええ~?そうかなぁ?むしろカホがお母さんじゃない?」
「え?」
「僕がお父さんで、カホがお母さん。」
「…。ヒナが子供ってこと?」
「うん!」
ニュートが嬉しそうに笑う。…かわいい!なんか、すごくキュンとした。すごく子供っぽい考え!ニュートに見られないように顔を反らし悶える。うあああああ。思考がかわいい!子供は鳥だけど。ニュートと夫婦かぁ。…大変そうだな。まじで。
…おかしい。なんでここだけ冷静なんだろう?振り回される未来しか見えてこない。でも。
「…それも、いいかもね。」
「ニュート。この子どうするの?」
「え?育てるよ?」
何を言ってるの?という顔をされた。…だろうね。
「そっか。ヒナって温度管理とか大変じゃない?」
「そうだね。一応保温呪文はかけておいたよ。授業中はもつと思う。最悪、拡張呪文をポケットにかけてつれ歩こうと思ってる。」
…なんか、すげぇ。流石動物ばか。
「…すごいね。」
「え?大変なのは今だから。すぐ大きくなるよ。成長早いから。」
「そっか。…早く大きくなりなよ。」
ヒナに向かってそう言う。…特になんの反応もないけどな。
「ニュート。無理しないでね?…何か手伝えることがあったら言ってね。」
ニュートは少しびっくりした顔をしたが笑顔になった。
「ありがとう!カホ。」
「うん。」
でも、きっと言ってくれないんだろうな。
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あれから数週たった。
まじで、成長早いな。ピーピー鳴いていた骨と皮だったヒナがもふっとしている。はっきり言って、超かわいい。ヒヨコみたいになってる。
「はわぁ!やわい!かわいい~!」
ヒナを手のひらに乗せ、撫でる。ふぁっふぁっ!
「カホ、ほんと好きだね?」
「うん!ふわふわ!スキ!」
「…そっか。」
ヒナがピーっと鳴いた。かわいい。ヒナをじっと見つめていると、頭を撫でられた。
「え?ニュート?」
驚いてニュートを見る。
「…あ。ごめん、つい…。」
そう言って、撫でるのをやめた。なんぞや?…って、無意識かい。
私はヒナを箱に戻した。また、触らせてね。
「もうすぐ、もふもふじゃなくなるんだね。」
「そうだね…。」
残念だ。かわいいのに…。
「それまでにたくさん触らないと!」
ぐっと両手を握る。
「あんまり触りすぎないでね。ストレスかかっちゃうから。」
「はーい。」
まぁ、元気に自然界に戻っていくのが目的だもんね。でも、んなこと知らねーよ!という感じでヒナが鳴いている。…お前、生きていけんのか?そう思ってヒナを見ると、ニュートがヒナを撫でていた。ニュートも撫でたかったのかな?
ニュートの前髪が目に入り手を伸ばした。
「わっ!なに?」
前髪をわしゃわしゃ撫でる。
「…ヒナのほうが気持ちい。」
いやまぁわかってたけどさ。見た感じニュートの髪、ふわふわしてそうだもん。
「なに言ってるの?…そりゃそうだよ。」
と言いつつも、ニュートは私に頭を撫でられていた。心なしか嬉しそうだ。…かわいい。
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あれからあっという間に、試験がやって来た。…早い。でも、まぁいつもよりは勉強したから多分、楽に赤点は回避できると思う。よく考えたら私、この子たちよりテスト経験あるよ?むしろ、赤点取ったら恥じゃね?そう思いつつも、成績上位になろうとは思わない。ほどほどでいーよ。変な期待背負わなくていーし。
ちなみに我が寮はクディッチで3位という結果になった。まぁ、最下位じゃないしいいんじゃないの?
「今日からテストだね。」
「…うう。いや。」
朝食を食べ終わりテーブルに座っていると、ニュートに声をかけられた。
「カホ頑張って勉強してたから、大丈夫だよ。」
「うう。…ニュート、余裕そう。」
「え?そんなことないよ!緊張しているよ。」
「…いつもと、変わらない。」
「そうかなぁ?」
「…座学と飛行術はまだいいけど、呪文系がなぁ。」
練習したけど、不発に終わることがまだある。テストの時不発だったらどうしよう。
「あー。強く念じればきっと出るよ。」
「…。」
机に突っ伏すと、ニュートが頭を撫でてきた。…落ち着く。
「…頑張る。」
「うん!頑張ろうね。」
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「終わった~!」
最後の試験が終わり、机に突っ伏す。やっと、やっとだ!忌々しいテストが終わった。もうすぐ夏休みだ!
飛行術は完璧だし、筆記も出来た。魔法薬もなんとかなった。呪文不発が一回あったけど、大丈夫だろう。あー、頑張った!やっと、穏やかに眠れる。
机から顔をあげるて周りを見渡すと、皆笑顔だ。むしろ、嬉しくて走り回っている子たちもいる。…元気だなぁ。
「カホ!」
「アリー。」
声をかけられて振り向くと、アリーがいた。
「やっと、終わったね!後でパーティーしよう!」
「パーティー?いいね。しよう。」
「やったぁ!後で厨房からお菓子もらって来ようね!」
「うん。」
寮へ帰る道すがら厨房によってお菓子をもらってきた。楽しみ~!明日は休みだし、たくさん寝れるわー!
私たちがテストを受けている間もヒナはすくすく育っていった。毛も抜け、スリムになっている。時々飛ぶような仕草を見せるときがある。…そろそろ巣立ちかなぁ?なんとなく、寂しい。テスト中の世話はニュートがしていた。…ニュートはもっと寂しいんだろうなぁ。
「カホ。」
夜、アリーと談話室で話しているとニュートに声をかけられた。
「ニュート!お疲れ様!」
「うん。お疲れ様。…明日って空いてる?」
「え?明日?うん、大丈夫!」
「そっか。良かった。午後開けといてもらえないかな?」
「うん!いいよー!なにするの?」
「森に離そうかと思って。」
おう!巣立ちね。
「そっか。大きくなったもんね!わかった。ご飯食べたらでいい?」
「うん!よろしくね。」
そう言うと、ニュートは行ってしまった。ちょっとの間手を振っとく。心なしか早口だった気がする。まぁアリー居たしね。
「カホかわいー!」
「へ?」
「なにその嬉しそうな顔~!」
アリーに声をかけられて、振り向く。え?え?
「ほんとスキャマンダーのこと好きなんだね。」
「え?…うん。」
改めて言ってみると恥ずかしい。顔真っ赤だ。
「まぁ!…そりゃスキャマンダーも惚れるわ。」
「うぇ?」
「カホは、可愛いねってこと。」
そう言ってアリーに頭を撫でられる。なんか、はぐらかされた感じ。
「でも、良かった。ちょっと心配だったんだ~。」
「え?」
「あー、その。スキャマンダーっていい奴だけど、挙動不審なところあるでしょ?カホ無理してないかな?って思って…。」
「アリー…。」
「幸せそうなら良かった!…あ、スキャマンダーの愚痴とかあったらいつでも言ってね!話聞く!」
そう言って、アリーがニコッと笑った。
なんていい子なの~!ちょっと、うるってきた。
「ありがとう!アリー。」
ぎゅっとアリーに抱きつく。腕の中でアリーが悲鳴をあげたが無視した。
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翌日。
アリーと昼食を摂った後、ニュートと待ち合わせをして森に向かった。
「この辺かなぁ?」
少し開けたところでニュートは足を止めた。
「枝の多い木がいいよね?うーん、あの木はどう?」
そう言って、やや小振りの木を指差す。
「うん!あの木にしよう。」
そう言って木の下に来ると、箱の中から小鳥を取り出した。拾った頃と比べると随分大きくなった。大人の小さい版って感じ。
「さぁ、おいで。怖くないよ?」
小鳥がニュートの手に乗る。いいなぁ、やってみたい。
小鳥がキョロキョロと周りを見渡す。飛ぼうとはしない。
「好きな時に飛んでいいからね。」
ニュートが指で小鳥を撫でる。ピーっと鳴いた。随分ニュートになついたなぁ。小鳥を手に乗せあたりを歩き回る。徐々に小鳥が飛ぼうと羽を動かし始めた。ニュートが足を止めると、近くの枝に乗った。
「飛んだー!」
飛べるようになったんだね!枝を見上げているニュートの隣に移動する。
小鳥はちょこちょこ枝の上を移動し、高いところへ飛んで行ってしまった。
「元気でね。」
そう声が聞こえて、ニュートの方を見る。…少し泣いていた。
あれだけ世話してたんだもん。寂しいよね。
私はそっとニュートの手を握った。視線はそのままに手をぎゅっと握られた。
すると、一際大きい鳴き声が聞こえた。ニュートにありがとうって言ってるみたいに。
「あの子、ニュートにありがとうって言ってるよ。」
「…うん。だと、いいなぁ。」
少し、ニュートが笑ったのがわかった。
私は、ニュートのそばにいるよ。出来るだけずっと。言葉にはしなかったけど、代わりに手をぎゅっと握った。
私達は、しばらく手を繋いでいた。