動物好きな彼
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<ニュート視点>
僕も学校に残るって言ったら、余程嬉しかったのか、珍しくカホから抱きついてきた。嬉しくて思わずぎゅってする。いい匂い、カホの甘い匂い。冬休み前、一人は嫌と言って泣いていたカホの姿を思い出した。今度は君を一人にしないから。一緒にいようね!
「そしたら、カホ寂しくないよね?」
「ありがとう!」
カホが笑ってる。良かった。すると、カホが顔を赤くして、離れようとした。
だめ!まだぎゅっとしてたい。そう思って抱きしめた。
「まだ、ダーメ。」
そうすると、カホがさらに顔を赤くして焦り始めた。…ふふ、面白い。
「もうちょっとだけ…。」
そう言うとカホがおとなしくなって、肩に頭を擦り付けてきた。…時々カホは、そうやって甘えてくる。最初のころは、僕の方が甘えていたのに、今はカホの方から甘えてくれるようになった。年上の人にしか甘えている姿を見ないので、心を許してくれたみたいで嬉しいし、とてもかわいい。なんか猫がなついてくれたみたい。先輩達がカホを甘やかす理由がわかった気がする。
「ふふ、いい子。」
つい動物のように頭を撫でた。…きっとカホは動物に例えると小動物だ。ぴょんぴょん動き回るウサギとか…小鹿とか?
バレンタインデーの日、カホがレイブンクロー生に告白されたらしいとキールから聞いた。
それを聞いたとき、ふとカホがいなくなってしまうんじゃないかと思って息が苦しくなった。どうしよう…。
カホは優しいから付き合ってしまうかもしれない。そうしたら、もう僕の側にいてくれなくなっちゃう。
…そんなの、やだ。その人と付き合わないで!ずっと僕の側にいて!
夜、いつもカホは僕の部屋にやって来る。その時に聞いてしまおうか?…でも、付き合ってたら、どうしよう。…カホがレイブンクロー生と付き合ってるのを想像するだけで泣きそうだ。
ブンブン頭を振って、消そうとするけど消えてくれなくて。気を紛らわそうと、動物図鑑を開くけど集中できない。…今までこんなことなかったのに。僕はどうしてしまったんだろう?
お腹の重みが急に消えて、少し目を開けた。…寝てた?
「ニュート。」
とカホの声がした。カホがニコニコしてる。きっと、これは夢だ。
「カホ?」
そう聞くと、頷かれた。カホ…どっか行っちゃう?
ダメ。行かないで。側にいて。
「…行かないで。一緒に、いる…。」
カホが驚いた顔をした。まだ話していたいのに、瞼が重くてたまらず目を閉じた。
ふと、目を開けると目の前にカホが寝ていた。カホだ!
「カホ。」
そう呼び掛けても、カホは起きない。普段はまじまじ見れないから、じっとカホを見つめる。カホ自身はあんまり可愛くないっていうけど、かわいいと思うけどなぁ?…ずっと一緒にいてくれないかな?
いつからかわからないけど、カホが可愛く見えてきた。友達になったときは、お姉さんって感じで一緒にいると安心できた。けど、今は一緒にいるときドキドキして、笑ってくれると嬉しくて、笑顔がかわいい女の子。そして優しくて、恥ずかしがり屋。ずっと一緒いたいと思うようになった。カホの姿を見れると嬉しい。話しかけてくれたり、手を繋いでくれたりするとずっとそうしていたくなる。…カホのことが好き。大好き。
カホはレイブンクロー生にどう答えたんだろう?じっと見つめる。…聞くのが怖い。どうか付き合わないで。そう願いをこめて、カホの頬を撫でた。するとドアが開いて、カホが目を覚ました。告白の返事を聞くのが怖くて、寝たフリをした。
やって来たキールがその事を聞いてくれた。…カホは、付き合ってなかった!嬉しい!一緒にいられる。嬉しすぎて、起きてしまいそうだった。
カホが部屋を出ていったあと、キールに話しかけられた。寝てないのがバレていたらしい。うう…。どうして、聞かなかったのかだって?
「だって、怖くて…。」
そう言うと、
「びびり。…良かったな。付き合ってなくて。」
って言われた。キールは優しい。こんな僕にも話しかけてくれるし、いろいろ世話を焼いてくれる。
「スキャマンダー。」
名前を呼ばれてキールを見た。
「なに?」
「君、カホと付き合いたいの?」
「へっ!?」
カホと付き合う?僕が?どうして?
「だって君、カホのこと好きなんでしょ?」
え?え?なんで、知ってるの?
「よく見たら分かりやすすぎ。」
「う…。」
そんなに分かりやすいのかなぁ?カホのこと好き。大好き。…こんなこと、人にいうのはじめてだ。とても恥ずかしい…。
「カホのこと、すき。笑った顔、かわいい。…でも、付き合いたいのか、わからない。…でも、カホと一緒にいたい。」
ずっと、一緒に。
「付き合ったら、ずっと一緒にいられるんじゃないの?」
「え?ほんとに?」
咄嗟に言葉が出た。
「そうなんじゃないの?」
本当に?そうなんだ!ずっとカホと一緒にいられる!
「そっかぁ。…じゃあ、どうしたら付き合えるの?」
そう聞くと、キールがため息をついた。キールは知ってるんでしょ?
「レイブンクローのやつみたいに、告白すればいいんだよ。付き合ってくださいって。」
「そうしたら、カホは僕と付き合ってくれる?」
「それは、カホ次第なんじゃない?」
カホに告白。僕にできるかなぁ?…レイブンクロー生の男の子でもだめだったんでしょ?…僕。何の取り柄もないし、不器用だし。カホ、付き合ってくれるかな?
そんな事を考えているとキールが、
「早くしないと、カホ、誰かと付き合っちゃうかもよ。」
と言ってきた。
「えっ!?」
なんで?カホが他の人と付き合っちゃうの?
「今日カホ、レイブンクローのやつに告白されてたでしょ?…カホかわいいから、他にも増えるかもよ。」
キールの表情がどことなく優しい気がする。キール、もしかして…。
「…キールもカホのこと、かわいいと思うの?」
キールは少し驚いたあと
「…そうだね。かわいいと思うよ。」
と、言った。…やっぱり、キールもカホのことかわいいと思ってるんだ。やっぱりカホは可愛いんだ!
「そっか…。」
どうしよう…。カホに告白する人が増えちゃう!今日はカホ帰っちゃったし、明日?…明日だ!カホが部屋に来たときに聞いてみよう!
バレンタインデーの次の日、授業はレイブンクローと合同だった。授業中カホを見ると、レイブンクローの男の子に手を振って微笑んでいた。なんとなく、落ち着かない。
「では、皆さん。四人一組のグループを作ってください!」
先生に指示された。カホと組みたい。いつもは近くの人が話しかけてきて組むけど、でも今日は…。キョロキョロと辺りを見回してカホを探すと、友人に手を引かれてた。行っちゃう!そう思って、慌ててカホの反対の腕を引っ張った。
「カホ。」
名前を呼ぶとカホが止まってくれた。
「ニュート?どうしたの?」
そう声をかけられる。あの…。
「…一緒に組まない?」
そう言うとカホは固まった。え?どうしたの?…嫌、だったかな?
「カホ?」
彼女の友人の声ではっとする。
「あ、えと…。」
彼女は言葉に詰まっていて、僕の方をを見た。彼女の友人はそれに気づいたようで、僕に目を向けると少し驚いたような顔をして声をかけてきた。
「あら?スキャマンダー。」
思わずカホの手をぎゅっと握った。
「アリー…。」
彼女が困惑しているのがわかった。…やっぱり、だめだよね?そう思って、手を離そうとしたとき、
「…なーんだ!スキャマンダーと組む予定だったの?先に言ってよ!もー。私、アンナ達と組むわね?」
彼女の反対の手を握っていた友人がパッと手を離して、僕にウィンクした。そして、他の友人のところへ駆けていった。え?どういうこと?…彼女の方を見ると、呆然としていた。
「あ、あの。カホ。」
声をかける。ごめんね、急に声をかけて。すると彼女は、
「ごめんね、ニュート。一緒に組もう!」
カホが笑いながらそういった。やったぁ!
「うん!」
久しぶりにカホと組める!嬉しいなぁ。
「あと二人は決まってるの?」
あっ!…忘れてた。四人グループだ。足りない。
「あ、まだ…。」
「そっかぁ。」
そう言うとカホは辺りをキョロキョロ見回した。…残ってる人を探しているようだった。すると、誰か見つけたらしい。
「ニュート、レイブンクローの子と一緒でも大丈夫?」
え?
「うん、大丈夫。」
そう答えると、カホは僕の手を引いてレイブンクロー生のところに行った。ちょうど二人だったらしい。その子達とグループを組んで課題を行った。
夜になって、カホが部屋にやって来た。落ち着かない。そわそわするし、気恥ずかしい。
カホは小腹が空いたらしく、部屋にお菓子を持って来た。それを二人で食べた。僕も日課になってるお詫びのお菓子をあげた。
いつ言おう?付き合ってくれるかな?そう考えながらお菓子を食べているとカホに声をかけられた。え?何のこと?…僕、何かしたっけ?
「ニュート、今日は珍しかったね。」
「なにが?」
「んー?いや。授業中とか組んだりしないから。珍しかったなーと思って。」
「あぁ。…そうだね。」
そういえば、はじめて自分から声をかけたかも。そう思いつつ、ビスケットをもぐもぐした。
いつ話そう?…もう、言っちゃおうか?
「ねぇ、カホ。」
「んー?なに?」
カホがこっちを見る。突然胸がドキドキしだした。あれ?そして、顔が赤くなる。え?え?なんで?
何度かカホに話しかけようとしても、ドキドキして、顔が赤くなって言葉が出なかった。
どれくらい時間がたっただろう?やっと、言葉が出た。…思っていたよりもずっと小さい声だった。
「ねえ、カホ。」
「なに?」
カホの方を向いた。カホもこっちを向いていた。
ドキドキし過ぎて、苦しい。でも、言うんだ!ずっと、一緒にいるために。…一度深呼吸をして、口を開いた。
「…僕ね、カホのこと好きだよ。」
言ってしまった!頑張って顔をあげているけど、カホの目が見れない。どうしよう…怖い!すると、
「えっ?…私もニュートのこと好きだよ?」
いつもと同じ声でカホがそう答えた。好きという言葉で嬉しくなる。僕って単純なのかな?
「ホントに?ずっと僕と一緒に居てくれる?」
「え?う、うん。…一緒にいたいな?」
やったぁ!カホも一緒にいたいと思ってくれてるんだ!
「ホントに!?おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒に居てくれる?」
「うん。」
嬉しいなぁ。思わず笑顔になった。じゃあ!
「僕と付き合ってくれる?」
思わずカホの手を握る。カホが頷いてくれたら、ずっと一緒にいられるんだ!わくわくしながらカホの返事を待つ。
「え、えと…。ニュート。どうしたの?急に。」
え?
「え?何が?」
どうしたの?
「あ、の。私と付き合いたいって…。」
…あ。急に言ったから、困らせちゃったのかな?今日、付き合いたいって言ったのは。
「だって…。カホ、レイブンクロー生に告白されてたでしょ?」
「う、うん。」
カホはかわいいから、早くしないと、他の人と付き合っちゃうって聞いたから。
「カホ、かわいいから。…これからも、こんなこと、増えちゃうって思ったら…。」
「…。」
早く告白しないとっておもって…。
…僕じゃだめなのかな?そう思うと、じわじわ視界が滲んでくる。早く告白しないと、そうじゃないと…。
「カホ、取られちゃう。…僕と一緒にいてくれなくなっちゃう。」
そう言うと、カホは黙ってしまった。やっぱり、だめなんだ。耐えられず、涙が溢れる。もう、カホと一緒にいられないんだ…。どうしよう。告白なんてしなきゃもっと一緒にいられたのかな?
「ニュート、なんて言われたの?」
…え?キールに?
「付き合ったら、ずっと一緒にいられるって。キールが。」
「そっか、キールかぁ…。だから、私に付き合ってほしいと言ったのね。」
カホの言葉に頷く。どうしたの?急に。
「…カホ、かわいいから。早くしないと、誰かと付き合っちゃうかもって言われて…誰かと付き合ったら、僕とはもう、一緒にいられないんでしょ?」
そう言うとポロポロ涙がこぼれはじめた。
かっこ悪い…。もう、一緒にいられない。そんなのいやなのに。うつむいていると、頭を撫でられた。
「ニュート。別に、無理に付き合わなくても一緒にいられるよ。」
…え?どういうこと?キールは、付き合ったらって言ってたよ?
思わず顔をあげてカホを見た。
「…ホントに?」
付き合わなくても一緒にいられるの?じゃあ、僕はまだカホと一緒にいられる?
「うん。でも、確かに。大人になったらお仕事とか恋人ができたとかで一緒にいられないこともあるだろうね。」
仕事に、恋人?…その人にカホを取られるの?恋人って、誰?
「カホ、恋人つくるの?」
「え?…どうだろう?まだ、わからないよ。」
そんなのやだ!思わずカホにすがりついた。
「…やだ。お願い、つくらないで。」
お願い、お願いだから。僕と付き合わなくたって、いいから。つくらないで!離れていかないで!
「ニュート…。」
ポロポロ涙がこぼれる。苦しい。でも、今言わないと、カホがどこかに行っちゃう!ぎゅっとカホの服を握ると、背中を撫でられた。
「お願い、僕とずっと一緒にいて!お願いだから。」
カホと一緒にいたい。
「…カホと離れたくない…。」
そう言うと、カホは何も言わなくなった。でも、背中を撫でる手は止めなかった。
しばらくして、
「…ニュート。」
名前を呼ばれ、抱き締められた。
え?
すると、耳元でカホの声がした。
「ニュートと付き合うよ。」
とても優しい声だった。
「え?」
「うん。…ニュートと、付き合う。私もニュートと一緒にいたい。」
ホントに?カホもそう思ってくれるの?カホの顔が見たくなって、身体を離した。カホは優しく笑っていた。
これでカホとずっと一緒にいられるんだ!
「ずっと、一緒にいようね。」
カホがそう言った。うん!そうだね。ずっと、一緒にいよう?
その時、僕は最高に幸せだった。
カホと付き合いはじめて、ついカホのことを目で追ってしまう。授業中とか特に。そして、ニヤニヤしてしまう。嬉しいなぁ。
誰かに話したくなって、夜キールにカホの様子を話した。キールは、話を聞いてくれた。良かったな~って言ってくれた。最高に幸せだよ!
でも、ふと気づいた。最近カホ、あんまり手をつないだり、頭を撫でたりしてくれない。…どうしたんだろう?
ある日、調べものをしに図書館へ寄った。本を見つけて帰ろうとすると、カホがいた。思わず話しかけようとしたけど、もう一人いた。…あのレイブンクロー生だ。様子を見る限り二人で勉強しているようだった。…勉強なら、僕だって教えられるのに…。そう思って本を握りしめた。なんだろう?もやもやする。なんとなく見てられなくて、部屋へ戻った。
…一緒にいてほしくない。
部屋で本を読んでいると、カホの声が聞こえた気がしてドアを開ける。廊下でキールとしゃべってるカホを見つけた。つい、声をかけてしまい二人の会話が止まった。…ごめんね。カホにそう言うと、ちょうど話終わったところだった。なら、大丈夫か。カホの手をひいて部屋まで行った。カホと手をつないでる。嬉しい。
部屋で話していると、宿題の話になった。…レイブンクロー生のことを聞きたかったけど、なんとなく言えなかった。でも、カホが僕のことを要領がいいと誉めてくれて、どうでもよくなった。…そうかなぁ?
そのあと、ずっと気になっているとこを聞いた。
「ねぇ、カホ。」
「んー?」
「なんで最近、頭撫でてくれないの?」
「へっ!?」
僕、カホに触ってもらうの好きなのに。どうして?
「それに、手も繋いでくれなくなったし…。僕、何かした?」
何かしたなら教えてほしい。もうしないから。
「え?いや、そんなことは…。ニュート。頭撫でられるの好きだったの?」
そうだよ?
「うん。カホに撫でられるも手を繋ぐのも、好き。…ねぇ、どうして?」
じっとカホを見つめる。
「え、えと…。」
カホがおろおろしはじめた。え?どうしたの?落ち着くようにカホの手を握る。そして、優しくカホに言った。
「…僕、カホに触ると安心する。」
なんか声に出すと恥ずかしいな。顔が赤くなる。
「だから、カホが僕に触ってくれなくなって、寂しい。」
本当に寂しいんだよ。…離れて行っちゃうみたいで。だから、僕が悪いならそう言って。直すから。
ふとカホの顔を見ると真っ赤だった。
「カホ?」
顔を近づけると、目がキラキラしだした。あっ!ごめんね。言い過ぎた!
「え?あ、ごめんカホ!ごめんね?…もう、こんなこと言わないから、だから、泣かないで。」
驚いて握っていた手を離した。うわー!どうしよう!
「ちっ、ちが…。違うの。いやなんじゃないの!」
え?
すると今度はカホもわたわたしはじめた。
「え?」
カホ?
「恥ずかしいだけなの!…やじゃない!ニュートが好きだから!…付き合いはじめて、ずっとドキドキしてて、前と同じように触れなくなって…。だから、いやじゃないの!嬉しいの!私だって、ニュートと手、繋ぎたいし、ぎゅってしたいよぉ。」
え?え?どういうこと?
カホが僕に触らなくなったのって、恥ずかしくなったからなの?僕のこと好きだから?
…ぶわっと顔が熱くなるのを感じた。うわぁ…。隣にいるカホが小さく見えた。…かわいい!どうして、そんなにかわいいこと言うの!?
カホをよく見ると顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。
あ、もうだめかも。
「カホ。」
カホがピクリと反応した。思わずぎゅっと抱き締める。
「カホかわいい。」
カホの頭に頬を擦り付ける。
「!?」
「かわいい。そんなこと思ってたの?…かわいいなぁ。」
好きだよ。大好き!カホもそう思ってくれてたんだね!
「ニュ、ニュート…。」
困惑してる。もうなにしても可愛く見える。
「うん、わかった。恥ずかしいだけなんだよね?」
そう聞くとカホは頷いた。
「僕と一緒にいると、ドキドキするの?他の人は?」
「他の人は…しない。」
小声だけど、しっかり聞こえた。嬉しい。
「そっか。あのレイブンクロー生にはしないの?」
告白したレイブンクロー生ってあの子なんだろうな。明らかにカホのこと好きって雰囲気出してたし。嬉しそうだったし。
「ニュートだけ、だから…。」
「そっかぁ。嬉しい。」
あまりカホは好きとかそう言うこと言わないから、こういうことを聞けるのは貴重だ。いつも大人っぽいカホが小さい子どもみたいに見えて、つい意地悪したくなった。
「カホは、僕のこと好きなんだよね?」
もう一回カホの口から聞きたい。すると、小さい声で言ってくれた。
「…好き。好きだから…。ね、もういいでしょ?…恥ずかしくて、死にそう。」
カホが涙目だった。もしかして、恥ずかしいと泣いちゃうのかな?…そっか。恥ずかしくて、死んじゃうの?かわいい!
「うん!僕も好きだよ。恥ずかしがってるカホ、すごくかわいい。僕好きだな。」
そう言って、ぎゅっと抱きしめる。ありがとう!もうどうしよう!かわいすぎる。
「ふふ、ごめんね。意地悪して。」
ずっと、抱きしめていたい。離したくない。
「カホいつも大人っぽいから、からかってみたくて。いつも、僕ばっかり不公平じゃない。ごめんね?」
「…ニュートのばか。」
うんうん。拗ねてる。そんなとこもかわいいよ?頭を撫でると、カホが抱きついてきた。笑いながら抱きしめ返した。幸せ。
にしても今日は、すごく素直だなぁ。…意地悪しすぎたせいかな?でも、たまにはいいよね?こんなにかわいいカホが見れるんだもん。
しばらく抱きしめている。あったかいなぁ。…あ。いいこと思い付いた!
「じゃあ、カホが恥ずかしくて僕に触れないっていうなら、カホが僕に触れるようになるまで、僕から触るね。そしたら、僕も安心するし、カホも嬉しいよね?」
僕はとっても嬉しいよ!そう言うと、むすっとした顔をした。あ、ちょっと気に入らないって顔だ。でもだめ。そのあと僕の顔を見たカホは少し驚いた顔をした。どうしたんだろう?…まぁいいや。
「…好きにしたら。」
「うん。ありがとうカホ。」
嬉しい!ありがとう。大好きだよ。
その日、気がすむまで僕はカホを抱きしめていた。
今日、一つだけ気づいたことがある。…僕は、カホのこと女の子として好きなんだ。
僕も学校に残るって言ったら、余程嬉しかったのか、珍しくカホから抱きついてきた。嬉しくて思わずぎゅってする。いい匂い、カホの甘い匂い。冬休み前、一人は嫌と言って泣いていたカホの姿を思い出した。今度は君を一人にしないから。一緒にいようね!
「そしたら、カホ寂しくないよね?」
「ありがとう!」
カホが笑ってる。良かった。すると、カホが顔を赤くして、離れようとした。
だめ!まだぎゅっとしてたい。そう思って抱きしめた。
「まだ、ダーメ。」
そうすると、カホがさらに顔を赤くして焦り始めた。…ふふ、面白い。
「もうちょっとだけ…。」
そう言うとカホがおとなしくなって、肩に頭を擦り付けてきた。…時々カホは、そうやって甘えてくる。最初のころは、僕の方が甘えていたのに、今はカホの方から甘えてくれるようになった。年上の人にしか甘えている姿を見ないので、心を許してくれたみたいで嬉しいし、とてもかわいい。なんか猫がなついてくれたみたい。先輩達がカホを甘やかす理由がわかった気がする。
「ふふ、いい子。」
つい動物のように頭を撫でた。…きっとカホは動物に例えると小動物だ。ぴょんぴょん動き回るウサギとか…小鹿とか?
バレンタインデーの日、カホがレイブンクロー生に告白されたらしいとキールから聞いた。
それを聞いたとき、ふとカホがいなくなってしまうんじゃないかと思って息が苦しくなった。どうしよう…。
カホは優しいから付き合ってしまうかもしれない。そうしたら、もう僕の側にいてくれなくなっちゃう。
…そんなの、やだ。その人と付き合わないで!ずっと僕の側にいて!
夜、いつもカホは僕の部屋にやって来る。その時に聞いてしまおうか?…でも、付き合ってたら、どうしよう。…カホがレイブンクロー生と付き合ってるのを想像するだけで泣きそうだ。
ブンブン頭を振って、消そうとするけど消えてくれなくて。気を紛らわそうと、動物図鑑を開くけど集中できない。…今までこんなことなかったのに。僕はどうしてしまったんだろう?
お腹の重みが急に消えて、少し目を開けた。…寝てた?
「ニュート。」
とカホの声がした。カホがニコニコしてる。きっと、これは夢だ。
「カホ?」
そう聞くと、頷かれた。カホ…どっか行っちゃう?
ダメ。行かないで。側にいて。
「…行かないで。一緒に、いる…。」
カホが驚いた顔をした。まだ話していたいのに、瞼が重くてたまらず目を閉じた。
ふと、目を開けると目の前にカホが寝ていた。カホだ!
「カホ。」
そう呼び掛けても、カホは起きない。普段はまじまじ見れないから、じっとカホを見つめる。カホ自身はあんまり可愛くないっていうけど、かわいいと思うけどなぁ?…ずっと一緒にいてくれないかな?
いつからかわからないけど、カホが可愛く見えてきた。友達になったときは、お姉さんって感じで一緒にいると安心できた。けど、今は一緒にいるときドキドキして、笑ってくれると嬉しくて、笑顔がかわいい女の子。そして優しくて、恥ずかしがり屋。ずっと一緒いたいと思うようになった。カホの姿を見れると嬉しい。話しかけてくれたり、手を繋いでくれたりするとずっとそうしていたくなる。…カホのことが好き。大好き。
カホはレイブンクロー生にどう答えたんだろう?じっと見つめる。…聞くのが怖い。どうか付き合わないで。そう願いをこめて、カホの頬を撫でた。するとドアが開いて、カホが目を覚ました。告白の返事を聞くのが怖くて、寝たフリをした。
やって来たキールがその事を聞いてくれた。…カホは、付き合ってなかった!嬉しい!一緒にいられる。嬉しすぎて、起きてしまいそうだった。
カホが部屋を出ていったあと、キールに話しかけられた。寝てないのがバレていたらしい。うう…。どうして、聞かなかったのかだって?
「だって、怖くて…。」
そう言うと、
「びびり。…良かったな。付き合ってなくて。」
って言われた。キールは優しい。こんな僕にも話しかけてくれるし、いろいろ世話を焼いてくれる。
「スキャマンダー。」
名前を呼ばれてキールを見た。
「なに?」
「君、カホと付き合いたいの?」
「へっ!?」
カホと付き合う?僕が?どうして?
「だって君、カホのこと好きなんでしょ?」
え?え?なんで、知ってるの?
「よく見たら分かりやすすぎ。」
「う…。」
そんなに分かりやすいのかなぁ?カホのこと好き。大好き。…こんなこと、人にいうのはじめてだ。とても恥ずかしい…。
「カホのこと、すき。笑った顔、かわいい。…でも、付き合いたいのか、わからない。…でも、カホと一緒にいたい。」
ずっと、一緒に。
「付き合ったら、ずっと一緒にいられるんじゃないの?」
「え?ほんとに?」
咄嗟に言葉が出た。
「そうなんじゃないの?」
本当に?そうなんだ!ずっとカホと一緒にいられる!
「そっかぁ。…じゃあ、どうしたら付き合えるの?」
そう聞くと、キールがため息をついた。キールは知ってるんでしょ?
「レイブンクローのやつみたいに、告白すればいいんだよ。付き合ってくださいって。」
「そうしたら、カホは僕と付き合ってくれる?」
「それは、カホ次第なんじゃない?」
カホに告白。僕にできるかなぁ?…レイブンクロー生の男の子でもだめだったんでしょ?…僕。何の取り柄もないし、不器用だし。カホ、付き合ってくれるかな?
そんな事を考えているとキールが、
「早くしないと、カホ、誰かと付き合っちゃうかもよ。」
と言ってきた。
「えっ!?」
なんで?カホが他の人と付き合っちゃうの?
「今日カホ、レイブンクローのやつに告白されてたでしょ?…カホかわいいから、他にも増えるかもよ。」
キールの表情がどことなく優しい気がする。キール、もしかして…。
「…キールもカホのこと、かわいいと思うの?」
キールは少し驚いたあと
「…そうだね。かわいいと思うよ。」
と、言った。…やっぱり、キールもカホのことかわいいと思ってるんだ。やっぱりカホは可愛いんだ!
「そっか…。」
どうしよう…。カホに告白する人が増えちゃう!今日はカホ帰っちゃったし、明日?…明日だ!カホが部屋に来たときに聞いてみよう!
バレンタインデーの次の日、授業はレイブンクローと合同だった。授業中カホを見ると、レイブンクローの男の子に手を振って微笑んでいた。なんとなく、落ち着かない。
「では、皆さん。四人一組のグループを作ってください!」
先生に指示された。カホと組みたい。いつもは近くの人が話しかけてきて組むけど、でも今日は…。キョロキョロと辺りを見回してカホを探すと、友人に手を引かれてた。行っちゃう!そう思って、慌ててカホの反対の腕を引っ張った。
「カホ。」
名前を呼ぶとカホが止まってくれた。
「ニュート?どうしたの?」
そう声をかけられる。あの…。
「…一緒に組まない?」
そう言うとカホは固まった。え?どうしたの?…嫌、だったかな?
「カホ?」
彼女の友人の声ではっとする。
「あ、えと…。」
彼女は言葉に詰まっていて、僕の方をを見た。彼女の友人はそれに気づいたようで、僕に目を向けると少し驚いたような顔をして声をかけてきた。
「あら?スキャマンダー。」
思わずカホの手をぎゅっと握った。
「アリー…。」
彼女が困惑しているのがわかった。…やっぱり、だめだよね?そう思って、手を離そうとしたとき、
「…なーんだ!スキャマンダーと組む予定だったの?先に言ってよ!もー。私、アンナ達と組むわね?」
彼女の反対の手を握っていた友人がパッと手を離して、僕にウィンクした。そして、他の友人のところへ駆けていった。え?どういうこと?…彼女の方を見ると、呆然としていた。
「あ、あの。カホ。」
声をかける。ごめんね、急に声をかけて。すると彼女は、
「ごめんね、ニュート。一緒に組もう!」
カホが笑いながらそういった。やったぁ!
「うん!」
久しぶりにカホと組める!嬉しいなぁ。
「あと二人は決まってるの?」
あっ!…忘れてた。四人グループだ。足りない。
「あ、まだ…。」
「そっかぁ。」
そう言うとカホは辺りをキョロキョロ見回した。…残ってる人を探しているようだった。すると、誰か見つけたらしい。
「ニュート、レイブンクローの子と一緒でも大丈夫?」
え?
「うん、大丈夫。」
そう答えると、カホは僕の手を引いてレイブンクロー生のところに行った。ちょうど二人だったらしい。その子達とグループを組んで課題を行った。
夜になって、カホが部屋にやって来た。落ち着かない。そわそわするし、気恥ずかしい。
カホは小腹が空いたらしく、部屋にお菓子を持って来た。それを二人で食べた。僕も日課になってるお詫びのお菓子をあげた。
いつ言おう?付き合ってくれるかな?そう考えながらお菓子を食べているとカホに声をかけられた。え?何のこと?…僕、何かしたっけ?
「ニュート、今日は珍しかったね。」
「なにが?」
「んー?いや。授業中とか組んだりしないから。珍しかったなーと思って。」
「あぁ。…そうだね。」
そういえば、はじめて自分から声をかけたかも。そう思いつつ、ビスケットをもぐもぐした。
いつ話そう?…もう、言っちゃおうか?
「ねぇ、カホ。」
「んー?なに?」
カホがこっちを見る。突然胸がドキドキしだした。あれ?そして、顔が赤くなる。え?え?なんで?
何度かカホに話しかけようとしても、ドキドキして、顔が赤くなって言葉が出なかった。
どれくらい時間がたっただろう?やっと、言葉が出た。…思っていたよりもずっと小さい声だった。
「ねえ、カホ。」
「なに?」
カホの方を向いた。カホもこっちを向いていた。
ドキドキし過ぎて、苦しい。でも、言うんだ!ずっと、一緒にいるために。…一度深呼吸をして、口を開いた。
「…僕ね、カホのこと好きだよ。」
言ってしまった!頑張って顔をあげているけど、カホの目が見れない。どうしよう…怖い!すると、
「えっ?…私もニュートのこと好きだよ?」
いつもと同じ声でカホがそう答えた。好きという言葉で嬉しくなる。僕って単純なのかな?
「ホントに?ずっと僕と一緒に居てくれる?」
「え?う、うん。…一緒にいたいな?」
やったぁ!カホも一緒にいたいと思ってくれてるんだ!
「ホントに!?おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒に居てくれる?」
「うん。」
嬉しいなぁ。思わず笑顔になった。じゃあ!
「僕と付き合ってくれる?」
思わずカホの手を握る。カホが頷いてくれたら、ずっと一緒にいられるんだ!わくわくしながらカホの返事を待つ。
「え、えと…。ニュート。どうしたの?急に。」
え?
「え?何が?」
どうしたの?
「あ、の。私と付き合いたいって…。」
…あ。急に言ったから、困らせちゃったのかな?今日、付き合いたいって言ったのは。
「だって…。カホ、レイブンクロー生に告白されてたでしょ?」
「う、うん。」
カホはかわいいから、早くしないと、他の人と付き合っちゃうって聞いたから。
「カホ、かわいいから。…これからも、こんなこと、増えちゃうって思ったら…。」
「…。」
早く告白しないとっておもって…。
…僕じゃだめなのかな?そう思うと、じわじわ視界が滲んでくる。早く告白しないと、そうじゃないと…。
「カホ、取られちゃう。…僕と一緒にいてくれなくなっちゃう。」
そう言うと、カホは黙ってしまった。やっぱり、だめなんだ。耐えられず、涙が溢れる。もう、カホと一緒にいられないんだ…。どうしよう。告白なんてしなきゃもっと一緒にいられたのかな?
「ニュート、なんて言われたの?」
…え?キールに?
「付き合ったら、ずっと一緒にいられるって。キールが。」
「そっか、キールかぁ…。だから、私に付き合ってほしいと言ったのね。」
カホの言葉に頷く。どうしたの?急に。
「…カホ、かわいいから。早くしないと、誰かと付き合っちゃうかもって言われて…誰かと付き合ったら、僕とはもう、一緒にいられないんでしょ?」
そう言うとポロポロ涙がこぼれはじめた。
かっこ悪い…。もう、一緒にいられない。そんなのいやなのに。うつむいていると、頭を撫でられた。
「ニュート。別に、無理に付き合わなくても一緒にいられるよ。」
…え?どういうこと?キールは、付き合ったらって言ってたよ?
思わず顔をあげてカホを見た。
「…ホントに?」
付き合わなくても一緒にいられるの?じゃあ、僕はまだカホと一緒にいられる?
「うん。でも、確かに。大人になったらお仕事とか恋人ができたとかで一緒にいられないこともあるだろうね。」
仕事に、恋人?…その人にカホを取られるの?恋人って、誰?
「カホ、恋人つくるの?」
「え?…どうだろう?まだ、わからないよ。」
そんなのやだ!思わずカホにすがりついた。
「…やだ。お願い、つくらないで。」
お願い、お願いだから。僕と付き合わなくたって、いいから。つくらないで!離れていかないで!
「ニュート…。」
ポロポロ涙がこぼれる。苦しい。でも、今言わないと、カホがどこかに行っちゃう!ぎゅっとカホの服を握ると、背中を撫でられた。
「お願い、僕とずっと一緒にいて!お願いだから。」
カホと一緒にいたい。
「…カホと離れたくない…。」
そう言うと、カホは何も言わなくなった。でも、背中を撫でる手は止めなかった。
しばらくして、
「…ニュート。」
名前を呼ばれ、抱き締められた。
え?
すると、耳元でカホの声がした。
「ニュートと付き合うよ。」
とても優しい声だった。
「え?」
「うん。…ニュートと、付き合う。私もニュートと一緒にいたい。」
ホントに?カホもそう思ってくれるの?カホの顔が見たくなって、身体を離した。カホは優しく笑っていた。
これでカホとずっと一緒にいられるんだ!
「ずっと、一緒にいようね。」
カホがそう言った。うん!そうだね。ずっと、一緒にいよう?
その時、僕は最高に幸せだった。
カホと付き合いはじめて、ついカホのことを目で追ってしまう。授業中とか特に。そして、ニヤニヤしてしまう。嬉しいなぁ。
誰かに話したくなって、夜キールにカホの様子を話した。キールは、話を聞いてくれた。良かったな~って言ってくれた。最高に幸せだよ!
でも、ふと気づいた。最近カホ、あんまり手をつないだり、頭を撫でたりしてくれない。…どうしたんだろう?
ある日、調べものをしに図書館へ寄った。本を見つけて帰ろうとすると、カホがいた。思わず話しかけようとしたけど、もう一人いた。…あのレイブンクロー生だ。様子を見る限り二人で勉強しているようだった。…勉強なら、僕だって教えられるのに…。そう思って本を握りしめた。なんだろう?もやもやする。なんとなく見てられなくて、部屋へ戻った。
…一緒にいてほしくない。
部屋で本を読んでいると、カホの声が聞こえた気がしてドアを開ける。廊下でキールとしゃべってるカホを見つけた。つい、声をかけてしまい二人の会話が止まった。…ごめんね。カホにそう言うと、ちょうど話終わったところだった。なら、大丈夫か。カホの手をひいて部屋まで行った。カホと手をつないでる。嬉しい。
部屋で話していると、宿題の話になった。…レイブンクロー生のことを聞きたかったけど、なんとなく言えなかった。でも、カホが僕のことを要領がいいと誉めてくれて、どうでもよくなった。…そうかなぁ?
そのあと、ずっと気になっているとこを聞いた。
「ねぇ、カホ。」
「んー?」
「なんで最近、頭撫でてくれないの?」
「へっ!?」
僕、カホに触ってもらうの好きなのに。どうして?
「それに、手も繋いでくれなくなったし…。僕、何かした?」
何かしたなら教えてほしい。もうしないから。
「え?いや、そんなことは…。ニュート。頭撫でられるの好きだったの?」
そうだよ?
「うん。カホに撫でられるも手を繋ぐのも、好き。…ねぇ、どうして?」
じっとカホを見つめる。
「え、えと…。」
カホがおろおろしはじめた。え?どうしたの?落ち着くようにカホの手を握る。そして、優しくカホに言った。
「…僕、カホに触ると安心する。」
なんか声に出すと恥ずかしいな。顔が赤くなる。
「だから、カホが僕に触ってくれなくなって、寂しい。」
本当に寂しいんだよ。…離れて行っちゃうみたいで。だから、僕が悪いならそう言って。直すから。
ふとカホの顔を見ると真っ赤だった。
「カホ?」
顔を近づけると、目がキラキラしだした。あっ!ごめんね。言い過ぎた!
「え?あ、ごめんカホ!ごめんね?…もう、こんなこと言わないから、だから、泣かないで。」
驚いて握っていた手を離した。うわー!どうしよう!
「ちっ、ちが…。違うの。いやなんじゃないの!」
え?
すると今度はカホもわたわたしはじめた。
「え?」
カホ?
「恥ずかしいだけなの!…やじゃない!ニュートが好きだから!…付き合いはじめて、ずっとドキドキしてて、前と同じように触れなくなって…。だから、いやじゃないの!嬉しいの!私だって、ニュートと手、繋ぎたいし、ぎゅってしたいよぉ。」
え?え?どういうこと?
カホが僕に触らなくなったのって、恥ずかしくなったからなの?僕のこと好きだから?
…ぶわっと顔が熱くなるのを感じた。うわぁ…。隣にいるカホが小さく見えた。…かわいい!どうして、そんなにかわいいこと言うの!?
カホをよく見ると顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。
あ、もうだめかも。
「カホ。」
カホがピクリと反応した。思わずぎゅっと抱き締める。
「カホかわいい。」
カホの頭に頬を擦り付ける。
「!?」
「かわいい。そんなこと思ってたの?…かわいいなぁ。」
好きだよ。大好き!カホもそう思ってくれてたんだね!
「ニュ、ニュート…。」
困惑してる。もうなにしても可愛く見える。
「うん、わかった。恥ずかしいだけなんだよね?」
そう聞くとカホは頷いた。
「僕と一緒にいると、ドキドキするの?他の人は?」
「他の人は…しない。」
小声だけど、しっかり聞こえた。嬉しい。
「そっか。あのレイブンクロー生にはしないの?」
告白したレイブンクロー生ってあの子なんだろうな。明らかにカホのこと好きって雰囲気出してたし。嬉しそうだったし。
「ニュートだけ、だから…。」
「そっかぁ。嬉しい。」
あまりカホは好きとかそう言うこと言わないから、こういうことを聞けるのは貴重だ。いつも大人っぽいカホが小さい子どもみたいに見えて、つい意地悪したくなった。
「カホは、僕のこと好きなんだよね?」
もう一回カホの口から聞きたい。すると、小さい声で言ってくれた。
「…好き。好きだから…。ね、もういいでしょ?…恥ずかしくて、死にそう。」
カホが涙目だった。もしかして、恥ずかしいと泣いちゃうのかな?…そっか。恥ずかしくて、死んじゃうの?かわいい!
「うん!僕も好きだよ。恥ずかしがってるカホ、すごくかわいい。僕好きだな。」
そう言って、ぎゅっと抱きしめる。ありがとう!もうどうしよう!かわいすぎる。
「ふふ、ごめんね。意地悪して。」
ずっと、抱きしめていたい。離したくない。
「カホいつも大人っぽいから、からかってみたくて。いつも、僕ばっかり不公平じゃない。ごめんね?」
「…ニュートのばか。」
うんうん。拗ねてる。そんなとこもかわいいよ?頭を撫でると、カホが抱きついてきた。笑いながら抱きしめ返した。幸せ。
にしても今日は、すごく素直だなぁ。…意地悪しすぎたせいかな?でも、たまにはいいよね?こんなにかわいいカホが見れるんだもん。
しばらく抱きしめている。あったかいなぁ。…あ。いいこと思い付いた!
「じゃあ、カホが恥ずかしくて僕に触れないっていうなら、カホが僕に触れるようになるまで、僕から触るね。そしたら、僕も安心するし、カホも嬉しいよね?」
僕はとっても嬉しいよ!そう言うと、むすっとした顔をした。あ、ちょっと気に入らないって顔だ。でもだめ。そのあと僕の顔を見たカホは少し驚いた顔をした。どうしたんだろう?…まぁいいや。
「…好きにしたら。」
「うん。ありがとうカホ。」
嬉しい!ありがとう。大好きだよ。
その日、気がすむまで僕はカホを抱きしめていた。
今日、一つだけ気づいたことがある。…僕は、カホのこと女の子として好きなんだ。