短編
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長編番外編(本編より少し先の話)
※ニュートとヒロインは恋人同士
とある日。今日は魔法薬学で薬の調合だ。今回は毛を生やす薬を作るらしい。…今この時点でそれ必要な人いないでしょ?なんで学校の授業って、今必要ないものとかつくるの?意味わかんない。
今日はニュートとペアを組んだ。前からだけど、ニュートは挙動不審な行動が多いせいで周りから浮いている。1年生のときはそうでもなかったんだけど。…ただ、動物が好きなだけなのにね。どうして、他の人と違うと避けようとするんだろ?仲良くすればいいのに。まぁ、面倒ごとに巻き込まれたくないってのはわかるけど…でも、ニュートはいい子だよ?
そんなことを考えていると、ニュートから声をかけられた。
「じゃあ僕、材料取ってくるね!」
いつも無表情なニュートの顔が笑顔だ。…他の人の時もそうしてれば、ある程度友達は出来ると思うけど。
「うん、ありがとう。鍋とか他の器具用意しとくね!」
うちの寮の子は言わないけど、他の寮生からはなんで付き合ってるの?とか影で言われているのは知ってる。…好きじゃ悪い?
ニュートが来るまで、机の下や近くの棚から秤や計量スプーン等を取り出していく。大体いつも同じ器具だから用意はスムーズだ。
「カホお待たせ!」
ニュートがトレーに入れて、材料を持って来た。…おおう。今日もグロいな。
学年が上がるにつれて、段々刻む大きさとか重さを計るようになってめんどくさい。それに、虫とか動物の内臓とかんなもん飲めるかっていう材料を使う調合が増えてきた。いつも思うけど、魔法薬ってまじで飲むんだよね?…映画でよくポリジュース薬とか出てたけど、材料見る限り飲みたくねーわ。すげぇなぁ、ハリーたち。罰ゲームでもないのに。
調合を開始するように号令がかかる。ニュートと手分けして材料を刻み計っていく。…今回はナメクジか。やだなぁ、虫は平気だけど、ヌメヌメしたやつはちょっとやなんだよ。蛙とか、カタツムリとか。触りたくなくて、ナメクジを睨む。
「カホ。ナメクジは僕が刻むから薬草をお願い。」
見かねたニュートが手を止めて薬草を渡してきた。
「うう。ごめん…ニュート。」
「いいんだよ?苦手だもんね。」
「…うん。」
やっぱり、ニュート優しい。好き!
ナメクジをとってニュートが刻んでいく。うわぁ、ネバネバ。ニュートに刻まれていくナメクジをつい見てしまい、ぞわっとした。頭を振って、気を紛らわそうと薬草を手にとって刻んだ。
んーと、1センチ?だっけ?あとこの薬草なのかな?なんか、ちょっと違う気もするけどいっか。どうせ何かしら出来るでしょ?とりあえず先生に何か提出すればいいし。…ニュートには悪いけど。魔法薬学って、めんどくさくてあんま好きじゃないんだよね。
「カホ、刻めた?」
「うん!」
ニュートに元気よく返事をするも、大きさは結構適当だ。だって、筋があって1センチずつ切れないんだもん!
「じゃあ、やっていこう。」
ーーーー
…おかしい。
グツグツ煮たっている鍋を覗きこむ。液体が緑色だ。…周りは紫色なのに!隣にいるニュートも困惑している。
チラッと先生を見ると目があった。ぎゃー!
ついーっと目をそらす。…いろいろやらかすから、隠れ問題児なんだよね、私。特に、魔法薬学は。先生!来ないでー!
心の声とは裏腹に、先生がこっちへやってくる。また、何かやらかしたなって顔だ。某魔法薬学教授だったら、問答無用でバインダーでひっぱたかれるに違いない。良かったー、この時代じゃなくて…ってそんなことじゃなくて!来ないでー!
あともう少しってところで、他の生徒に呼ばれて先生はそっちへ行った。ナイス!レイブンクロー生!!
「ね、ねぇ。カホ。…これ、色変じゃない?」
「えー、んー?そうだけど、なんとかなるんじゃない?」
きっともうなんともならねーけどな!でも、いつもなんとかなってるから、今日もいけるんじゃない?なんとかなるさー!
「そう?」
「うん!もう少し、様子を見てみよう?」
「…そうだね。」
それから更に10分くらい煮込んだ。色はさっきより黒くなっている。…あー、もうこれどうにもなんねーわ。
「…カホ。」
「うん、どうにもならないね!焦げる前に瓶に移しちゃおう!」
「これ、提出するの?」
ニュートが鍋を指さし聞いてくる。
「もちろん!一応調合したからね。できなかったけど、まぁ減点はされないよ。…時々やらかすから、先生もわかってくれてるし!」
「…時々?」
「そう!時々…なに?その目。」
「え?いや、いつものことじゃ…。時々成功するんじゃない?」
「そんな細かいこといーの!鍋の火消すから、ニュートは瓶とお玉用意して!」
「う、うん。わかった。」
ニュートが瓶を用意しはじめる音がした。
もう!失礼しちゃう。…ちゃんと、成功だってするんだから!ノってるときは!!
まぁ、いいや。火消しちゃお。私は杖を取り出して、振った。火が消える…って、え?
ごぉ!
「ぎゃー!」
…火柱がたった。
こわっ!ヤッバ、間違った。
「カホ!」
名前を呼ばれ、腕を引っ張られる。
「へ?」
何かに当たって、視界が真っ黒になった。痛いっ!
ーーーー
あちこちから、悲鳴が聞こえる。あと足音も。
「カホ、大丈夫?」
頭の上から、声がした。声がした方を向くと、
「あー、うん。大丈夫…え!?」
…誰?
「良かった。痛いところない?」
そうほっとした顔で言われて、頭を撫でられた。声が低い。
青い目に、赤茶色の髪のイケメン…ひっ!
「ひぎゃー!センセー!先生!?」
「え!ちょっ…カホ!」
私が叫んだことに驚いたのか、ニュートは…って、ニュート?
恐る恐るその男の人を見上げる。
「?」
この人…見たこと、ある!前にCMで。ファンタスティックビーストの主人公。
「ニュート、なの?」
「そうだけど…どうしたの?薬かかった?」
そう言って、顔を覗きこんでくる。…あばば!近い!無理!そう思って、ニュートからばっと離れた。
「カホ?」
CMで見たことのあるニュート・スキャマンダーがそこにいた。
足音がして先生がやってくる。
「全く!二人とも怪我はないですか…って、まぁ!」
先生が、ニュートを凝視する。
「Ms.マクゴナガル!今回は、老け薬を作りましたね?」
ひょー!こわぁ。…やっぱり?
「ひゃー!すみません!」
そう言って、先生の後ろに隠れる。
「え?老け薬?どういうこと?」
私が頭を振ると、先生が無言でニュートに鏡を手渡した。ニュートはそれを受け取り、顔をペタペタ触ってる。
「ぇ…。ええっ!?」
ばっとニュートがこっちを見る。先生の後ろに隠れた。ため息をついて、先生が杖を振った。
「二人とも、医務室へ行きなさい。後片付けはやっておきます。」
え!二人で?ムリムリ!先生を見たら、はよ行けと目で言われた。うう。
「…はい。」
ニュートは呆然としてる。私だって泣きたい。
「ニュート。行こう。」
ニュートの姿を見ずに言って、歩き出す。
「あ、うん。…待って!カホ。」
何時もより低い声が聞こえた。
…なんなのよ!そのイケボ!…なんで、私の好み知ってんのよ!
ーーーー
「ねぇ。カホどうしたの?」
早足で医務室へ向かっている時ニュートに声をかけられた。
「別に、なんでもない。」
「そんなわけないでしょ?待ってよ!」
後ろをついてくる足音が近くなる。いやー!
走り出そうとした時、ぐいっと腕を引かれて壁に背が当たった。目の前にはニュートがいる。背たっか!今も高いけど、それ以上だ。高すぎて、覆い被さるような体勢になっている。
「あ…。」
「ごめんね。いたかった?」
「…大丈夫。」
目が合わせられなくて、つい下を向いてしまう。
「…本当に?さっきから様子変だよ?」
そう言って、頬に手が添えられる。…や。
「っ!本当に大丈夫だから!早く医務室行こう。」
恥ずかしいだけだから!ぐいっと目の前にある胸を押した。…びくともしない。どうしよう。すると頭の上から声がした。
「…ごめんね。」
目の前が暗くなって、ニュートが屈んできたのがわかった。
「え?…きゃっ!」
背中と膝裏を触られる感じがしたと思ったら、ぐいっと持ち上げられた。…お姫様抱っこ。やめてー!恥ずか死ぬ。
「おっ、下ろして。」
そう言って、手足をばたつかせる。以外と高い!…高いところは好きだけど、これは違う。恥ずかしいよ!下ろしてぇ!
「ダメ。暴れないで。落ちちゃうよ?」
ニュートが私を抱え直す。
「~!」
恥ずかしい~!なんとなく怖くなって、動くのをやめ、ニュートの首にしがみついた。するとさっきよりも抱き上げる腕の力が強くなった。首筋に息がかかり、ニュートが笑っているのがわかった。…少しぞくっとした。
ふわふわしたニュートの髪に鼻を近づける。…ニュートの匂い。外見は大人になってもニュートだ。落ち着く。すりすりと頬を髪に擦り付ける。ニュートが息をのんだのがわかった。でも、なにも言わずニュートは私を抱き抱えて、人のいない廊下を歩いた。時々、抱え直すとき肌にニュートの手が触れる。温かくて、大きくてゴツゴツしてる。…男の人の手だ。すごくドキドキする。そういえば、ニュートに抱き締められても、抱き上げられたことはないな。
「ねぇ。カホ…。」
「…なに?」
顔を見ないから、いつものように話せるけど、声が低くてドキドキした。
「…あの、もう少し。スカート長くしない?」
なに?それ。いつも言わないじゃん!
「なに?どうしたの、急に?しないよ?短い方が可愛いもん。」
こういう制服のチェックスカートは短い方がかわいいの!
「えっと、でも…。」
「やだよ。しないから!」
それだけは譲れん!短いスカートは若い子の特権だ。マクゴナガル先生にばれないようにごまかしてんだから。大変なんだよ!
「カホ。」
「いや!」
そう言うと、ニュートは黙った。でも、なんかゴニョゴニョ言ってる。聞こえない振りをした。いやなものはいやなの!
そうしているうちに医務室へ着いた。扉の前で下ろしてもらう。
「失礼しまーす。」
扉を叩いて中に入る。入った瞬間怒鳴り声が聞こえる。
「全く!何をやってるんですか!」
ひょー!怒られた。
「うう。すみません。」
「ちゃんと反省してるんですか?」
「はい。」
しょぼんとしてみる。
「あ、先生。僕は大丈夫なので、先にカホを見てください。さっきから様子がおかしいので。」
「スキャマンダー…。そうなの?」
そう言って私の方を見る。私は、顔の辺りで手を振る。体調悪くない。むしろ、かっこよくて一緒にいるのが恥ずかしいだけ。その動作で先生は、察してくれたようだった。すげぇ。
「Ms.マクゴナガルは、あっちのベッドで少し休みなさい。次はあなたよ。スキャマンダー。」
先生に指示された通りベッドに横になった。あんまり、柔らかくないな…。
「特に、問題はないわね。あと数時間くらいで戻るでしょう。服も先生が大きくしてくれたのね。」
良かったー。元に戻るって。
「え!?あ、そういえば。…良かった。ありがとうございます。」
「どうする?このまま授業に参加するか、今日は目立たないよう部屋にいるか。」
「えっと。部屋にいます。…目立ちたくないし。」
「そう。先生にはそう伝えておきます。もし何かあったら、すぐにここに来ること!いい?」
「はい。ありがとうございました。」
足音が近づいてくる。
「カホ大丈夫?」
もちろん!大丈夫だ。そもそも体調悪くないし。
「うん、へーき。」
「そっか、良かった。この後の授業出なくても良くなった。カホは、どうする?もう少し寝ていく?」
ニュートがほっとしたのがわかった。…なんか、ちょっと罪悪感。ごめんね。布団に潜り込みながら聞いた。
「ニュートは?」
「僕?この姿じゃ目立つから、動物探しに行けないし。カホと一緒にいるよ。心配だし。」
そんなの、あたしが死ぬわ!とりあえず、離れたい。…遠目から大人ニュートを眺めていたい。こんな近くなくていい!寮に戻れば離れられるな。…授業めんどいし。サボろ!
「ありがとう。…寮に戻ろうかな。」
とりあえずそう言って、ベッドからもぞもぞ起き上がる。
「うん、わかった!カホ。」
靴を履き終わると、ニュートが屈んできた。
「え?」
「心配だから、ごめんね。」
そう言うと、さっきと同じように抱き上げられた。うそでしょ!?
「ニュ、ニュート!もう平気だから!一人で歩ける!」
「だめだよ。まだ、心配。それに顔赤いし。おとなしくしてて。ふふ…カホ、ちっちゃい。かわいい。」
イラッとするわ、恥ずかしいわでニュートの肩を叩いた。
「うるさい。…ニュートが大きいだけでしょ。」
こんなでかくなりおって!前は同じくらいだったのに。
「ふふ。ごめんね?」
絶対そんなこと思ってないでしょ!ムカつく。もう、何言っても下ろしてくれないなと思って、あきらめてニュートの首にしがみついた。…ニュートの匂い散々嗅いでやる!匂いフェチなめんなよ!ニュートの髪に顔をぐいぐい押し付けると、背中を軽くポンポンとされた。…子供扱い!ムキー!!
ーーーー
がちゃ
「はい。着いたよ。」
そう言って、私をベッドの上に下ろした。ん?ここ、ニュートの部屋じゃね?
「ねぇ。ここ、男子寮なんだけど?」
「え?うん、そうだよ。」
ニュートはきょとんとしてる。…何を当然のように言っとんじゃー!もうやだ。二人っきりとか死にそう。せっかく離れられると思って、寮に戻ったのに…。
わからないようにため息をついて、ベッドから立ち上がろうとすると、ニュートに止められた。
「どこ行くの?」
「部屋に戻るの。」
ここにいたら心臓が持たない。さっきからドキドキしっぱなしなのに!
「なんで?ここで休めばいいよ。…せっかく二人っきりになれたのに…。」
「~!?」
なんで、そんなこというのよ!その顔で!
「ね?もう少し、一緒にいよう?何かあったら、心配だし。」
「大丈夫。別になんともないし。」
そう言って立とうとすると腕を掴まれた。
「さっきからどうしたの?変だよ!…あ、もしかしてこの姿のこと?気にしないでいいよ。僕、ホントに平気だから。姿が違うだけでなんともないし。」
「…そう。良かった。ごめんね?」
それは良かったけど、そういうことじゃないのよ!自覚してないみたいだけど、ニュートかっこいいの!
「どうして。目、合せてくれないの?」
合わせられる訳ないじゃない!かっこよすぎてムリ!
「…。」
ニュートが覗きこんでくる気配がする。いやだ。顔を下に向けた。
「カホ。」
名前を呼ばれて、おでこ辺りに柔らかいものが触れた。
え?
つい顔をあげると、目の前にどアップのニュートがいた。
「あ…。」
ニュートが私の手を握る。あ、キスされる…。
もう一度名前を呼ばれて、私の唇にニュートのそれが触れた。
「カホ。こっち見て。」
顔は赤いけど、すごく優しい顔でニュートが言った。
目がそらせなくて、ニュートを見ていると、またキスをされた。
…もういや。観念して、ベッドに腰かける。
「ありがとう。」
そう言って、ニュートも私の隣に腰かけた。
なんで、そんな余裕そうなの?私はドキドキして死にそうなのに。ズルい。…息が苦しい。
「ニュートのばか。」
それをいうのが精一杯だった。そう言って、顔を背ける。
「うん。そうだね。」
そう言ってふわっと笑った。なによそれ。私がガキみたいじゃない!
「…ねえ。カホ。ホントにスカート長くしないの?」
またそれ?今日しつこくない?
「しないって、言ってるじゃん。」
「でも、カホの太腿、他の人が見るかも知れないし…。」
「は?」
意味がわからなくて、ニュートの方を向いた。
「だって。その、カホの太腿見慣れなくて、見ててドキドキするし。…他の人に見せたくない。」
なっ!そんなこと思ってたの?…まぁ、ニュートも男だもんね。つーか、あったんだ、性欲。そっちに驚き。
「はじめて聞いた。…そんなこれにドキドキするの?」
そんなきれいでもないよ?毛穴あるし、白くないし。そう言って、スカートを少し上にずらした。…あ、剃り残し。
「カホ!?」
大人のニュートが顔を赤くして慌ててる。なんか、楽しいかも!…さっきから散々ドキドキさせられた罰だ。
「ねぇ?」
「ちょっ!カホ!隠して!」
「えー?」
楽しい!私ってSなのかなぁ?
「うん、隠して。じゃないと…襲うよ?」
あ。なんか、雰囲気が変わった?あれ?ヤバい?
「好きにすれば?」
つい強がってそう言ってみた。どうせニュートだし。
「…わかった。」
そう言うと、突然肩を押されてベッドに倒れた。
え?なに?
困惑していると、ニュートが覆い被さって来た。ええ!うそでしょ!?
「ニュ、ニュート。」
「カホがいいって、言ったんだよ?…僕だって、男なんだから。忘れないで。」
「あ…。」
本気だったの?目がそらせない。いつもと雰囲気が違う。…男の人の目してる。どうしよう。
ぎしっと音がして、ニュートの顔が近づいてくる。思わず目を瞑った。
「ん…。」
キスをされる。何時もより長い…。何度も長いキスをする。…苦しい。ニュートの手が動いて、ネクタイが緩められる。
「はぁ…ニュート。」
苦しいよ。堪らずニュートの服を掴んだ。
「カホ。」
耳元で名前を呼ばれた。何時もより低くて、熱っぽい声…ぞくぞくする。
「…あっ!」
耳を舐められて、思わず声が出て手で口を覆った。
「だーめ。聞かせて。」
吐息まじりに耳元で言われる。…絶対わかってやってる。ニュート意地悪だもん。口を覆っていた手を外される。その間も、ニュートに耳たぶを舐められる。や、耳弱いの。
「やぁ…。にゅーと!」
身体がぞわぞわしてきた。顔を背けると首筋に舌がつたった。目に涙が溜まる。
「…っ!」
さっきからぞわぞわが止まらない。…もうやだ。ニュートのばか。バカ!
「はぁ…。」
すると、ニュートの舌が離れた。ニュートを見ると、また顔を近づけられる。
「カホ。かわいい。…好きだよ。」
何度も耳元でかわいい、かわいいと言われ首筋を舐められ、甘噛される。なんなの?今日のニュート…もう、むり。
「やだ…。んっ。」
「カホ。」
ボタンをいくつか外され、ニュートの舌が鎖骨にかかったとき、ドアノブが回る音がした。
「おい。スキャマンダー、大丈夫か…って。」
言葉がそこで途切れた。
キール!
慌てて、ニュートの胸を押し、緩んでいる襟元を握った。
「…キール。」
ニュートが身体を起こしてキールを見た。キールは少し顔を赤らめながら、呆れた顔してる。
「…なにやってるんだ、君たち。犯罪にしか見えないぞ。…大丈夫そうだな。」
そういうことはよそでやってくれと、キールは部屋を出ていった。
…うわぁ!恥ずかしい。見られた…次どんな顔して会えばいいのよ!
「カホ。」
あ、忘れてた。ニュート。
「なに?」
「えっと、ごめん。やり過ぎた。…カホが可愛くて、その、止まれなくて…。」
ニュートの顔が真っ赤だ。おろおろしてる。
「…別に、謝らないでよ。付き合ってるんだから、このくらい。…あっても、おかしくないし。」
あ。…はずい。なに言ってんだ?私!
「そ、そっか…。」
ニュートが頭の後ろをかく。…うう。なんなのよ、この茶番劇。
ん?…なんか、違和感。
「ニュート?」
ニュートの顔の皮膚がぼこぼこしてきた。
「え?…わぁ!」
急激に背が小さく、顔も幼くなっていく。少ししてそれはやんだ。
「ニュート!」
ニュートはきょとんとして、それから顔や手をペタペタ触った。一拍おいて、
「カホ!戻った!戻ったよ!」
と、私に抱き付いてきた。私も抱きしめ返す。
「うん!良かったぁ。」
ちょっと、涙出てきた。戻って良かった。まじで。
「カホ、泣いてる?」
身体を離して、私の顔を覗きこんでくる。
「…ほっとした。」
「そっか。心配かけて、ごめんね。」
「私こそ、変な薬作ってごめんなさい。」
ごめんね、ニュート。謝るとニュートに手を握られた。
「いいんだよ。君にかからなくて、良かった。」
優しい。私は目を瞑った。ニュートが近づいてくる。唇に柔らかいものが押し当てられた。
「って、カホは体調大丈夫なの?」
慌てて、ニュートが私の顔を触る。おでこくっつけたり。
「え?うん。…そもそも、体調悪くないし。」
「ええっ!…でも、様子違ったし。」
しゅんとした顔して、私を見た。私は、ニュートから目を反らしてポツリと言った。
「…だって、大人のニュート。かっこ良かったんだもん。…恥ずかしいし、どう接したらいいかわからなかったんだもん!」
「へ?…あー、ごめんね?」
なんか、少しにやついてる?
「…。」
恥ずかしくなって、ニュートに抱きついた。
「…そっか。大人の僕、かっこ良かったんだ。…ふふ。嬉しい!早く大人になりたい。」
「早く、ならなくていいよ。ゆっくり、大人になっていけば。」
急がなくていいよ。どうせみんな大人になるんだから。…それに、急になったら、私が困る。かっこよくて。時間をかけて慣れていきたい。
「…そっか。あの年の頃の僕はカホと一緒にいるかな?だったら、いいな。…ううん、一緒にいたい。」
きゅーんとした。
「うん!私も一緒にいたい。…好きだよ、ニュート。」
するっとそんな言葉が出た。
「カホ…。うん!僕も大好きだよ!」
更にぎゅうっと抱きしめられた。苦しいよ!でも、なんか心地よくて、離れたくなかった。
ーーーー
「じゃあ、あの視線合わさなかったり、ツンツンしてたのは照れ隠しだったんだ。」
「へ?」
今さらそんなこと、掘り返さないでよ!
「…そうだよ。」
「そっか。カホっていつも素直だけど、恥ずかしいとああなるんだね。」
「忘れてよ。」
「えー。やだよ!珍しいもん、あんなカホ。忘れない。」
「ふん。…大人のニュートは、なんか、大胆だった。」
「へ?そうだった?」
頷く。
「いつも、あんなことしない。」
「あんなこと?…あー、あれは。ごめんね。」
キョトンとしたあと顔を赤くした。
「すごく、意外だった。…ニュートもあんなことするんだね。」
「う、え!…カホ、僕のことなんだと思ってるの?…カホとそういうこと、したいって、思うよ。」
「へ?」
ニュートが真っ赤だ。
「カホ、ちっちゃいし、柔らかいし、かわいい。いつも触りたいって思う。それに、いつも足とかローブで隠れてるから、見えないけど、抱き上げたら見えちゃって。なんか、頭ぼーっとして触りたくてたまらなくなって…。」
「ス、ストップ!もういい!」
手を目の前に出す。もういい!もう言わないで!聞いた私が悪かった!ごめん。…くそはずい。
「カホ、照れてる。かわいい。」
「!」
もー。すぐ、そういうこと言う!
「…ニュートだって、顔赤い。」
少し、睨みながらそう言うと、
「ん。そうだね。」
と言って、少し笑った。
「ねぇ、カホ」
名前を呼ばれて、ニュートの方を向く。
「だから。いつか、カホがいいって言ったら。…続き、しようね?」
「~!」
ぼふっと顔が赤くなった。目が見れなくなって、首を縦に振るのが精一杯だった。
ニュートがふっと笑って、頭を撫でた。
「ありがとう、カホ。」
なんか、今日のニュートは大胆だ。
でも、いやじゃない。
時々大胆なのはいいけど、いつもはやめてね。心臓が持たないから。
でも、ホントに大人ニュートかっこ良かったな。全然恋愛対象になるわ、実年齢だったら。…また、会えるといいな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蓮間様、リクエストありがとうございました!…こんな感じになりました。楽しんで頂けたら嬉しいです。結局この二人はバカップルなんだと思います。
※ニュートとヒロインは恋人同士
とある日。今日は魔法薬学で薬の調合だ。今回は毛を生やす薬を作るらしい。…今この時点でそれ必要な人いないでしょ?なんで学校の授業って、今必要ないものとかつくるの?意味わかんない。
今日はニュートとペアを組んだ。前からだけど、ニュートは挙動不審な行動が多いせいで周りから浮いている。1年生のときはそうでもなかったんだけど。…ただ、動物が好きなだけなのにね。どうして、他の人と違うと避けようとするんだろ?仲良くすればいいのに。まぁ、面倒ごとに巻き込まれたくないってのはわかるけど…でも、ニュートはいい子だよ?
そんなことを考えていると、ニュートから声をかけられた。
「じゃあ僕、材料取ってくるね!」
いつも無表情なニュートの顔が笑顔だ。…他の人の時もそうしてれば、ある程度友達は出来ると思うけど。
「うん、ありがとう。鍋とか他の器具用意しとくね!」
うちの寮の子は言わないけど、他の寮生からはなんで付き合ってるの?とか影で言われているのは知ってる。…好きじゃ悪い?
ニュートが来るまで、机の下や近くの棚から秤や計量スプーン等を取り出していく。大体いつも同じ器具だから用意はスムーズだ。
「カホお待たせ!」
ニュートがトレーに入れて、材料を持って来た。…おおう。今日もグロいな。
学年が上がるにつれて、段々刻む大きさとか重さを計るようになってめんどくさい。それに、虫とか動物の内臓とかんなもん飲めるかっていう材料を使う調合が増えてきた。いつも思うけど、魔法薬ってまじで飲むんだよね?…映画でよくポリジュース薬とか出てたけど、材料見る限り飲みたくねーわ。すげぇなぁ、ハリーたち。罰ゲームでもないのに。
調合を開始するように号令がかかる。ニュートと手分けして材料を刻み計っていく。…今回はナメクジか。やだなぁ、虫は平気だけど、ヌメヌメしたやつはちょっとやなんだよ。蛙とか、カタツムリとか。触りたくなくて、ナメクジを睨む。
「カホ。ナメクジは僕が刻むから薬草をお願い。」
見かねたニュートが手を止めて薬草を渡してきた。
「うう。ごめん…ニュート。」
「いいんだよ?苦手だもんね。」
「…うん。」
やっぱり、ニュート優しい。好き!
ナメクジをとってニュートが刻んでいく。うわぁ、ネバネバ。ニュートに刻まれていくナメクジをつい見てしまい、ぞわっとした。頭を振って、気を紛らわそうと薬草を手にとって刻んだ。
んーと、1センチ?だっけ?あとこの薬草なのかな?なんか、ちょっと違う気もするけどいっか。どうせ何かしら出来るでしょ?とりあえず先生に何か提出すればいいし。…ニュートには悪いけど。魔法薬学って、めんどくさくてあんま好きじゃないんだよね。
「カホ、刻めた?」
「うん!」
ニュートに元気よく返事をするも、大きさは結構適当だ。だって、筋があって1センチずつ切れないんだもん!
「じゃあ、やっていこう。」
ーーーー
…おかしい。
グツグツ煮たっている鍋を覗きこむ。液体が緑色だ。…周りは紫色なのに!隣にいるニュートも困惑している。
チラッと先生を見ると目があった。ぎゃー!
ついーっと目をそらす。…いろいろやらかすから、隠れ問題児なんだよね、私。特に、魔法薬学は。先生!来ないでー!
心の声とは裏腹に、先生がこっちへやってくる。また、何かやらかしたなって顔だ。某魔法薬学教授だったら、問答無用でバインダーでひっぱたかれるに違いない。良かったー、この時代じゃなくて…ってそんなことじゃなくて!来ないでー!
あともう少しってところで、他の生徒に呼ばれて先生はそっちへ行った。ナイス!レイブンクロー生!!
「ね、ねぇ。カホ。…これ、色変じゃない?」
「えー、んー?そうだけど、なんとかなるんじゃない?」
きっともうなんともならねーけどな!でも、いつもなんとかなってるから、今日もいけるんじゃない?なんとかなるさー!
「そう?」
「うん!もう少し、様子を見てみよう?」
「…そうだね。」
それから更に10分くらい煮込んだ。色はさっきより黒くなっている。…あー、もうこれどうにもなんねーわ。
「…カホ。」
「うん、どうにもならないね!焦げる前に瓶に移しちゃおう!」
「これ、提出するの?」
ニュートが鍋を指さし聞いてくる。
「もちろん!一応調合したからね。できなかったけど、まぁ減点はされないよ。…時々やらかすから、先生もわかってくれてるし!」
「…時々?」
「そう!時々…なに?その目。」
「え?いや、いつものことじゃ…。時々成功するんじゃない?」
「そんな細かいこといーの!鍋の火消すから、ニュートは瓶とお玉用意して!」
「う、うん。わかった。」
ニュートが瓶を用意しはじめる音がした。
もう!失礼しちゃう。…ちゃんと、成功だってするんだから!ノってるときは!!
まぁ、いいや。火消しちゃお。私は杖を取り出して、振った。火が消える…って、え?
ごぉ!
「ぎゃー!」
…火柱がたった。
こわっ!ヤッバ、間違った。
「カホ!」
名前を呼ばれ、腕を引っ張られる。
「へ?」
何かに当たって、視界が真っ黒になった。痛いっ!
ーーーー
あちこちから、悲鳴が聞こえる。あと足音も。
「カホ、大丈夫?」
頭の上から、声がした。声がした方を向くと、
「あー、うん。大丈夫…え!?」
…誰?
「良かった。痛いところない?」
そうほっとした顔で言われて、頭を撫でられた。声が低い。
青い目に、赤茶色の髪のイケメン…ひっ!
「ひぎゃー!センセー!先生!?」
「え!ちょっ…カホ!」
私が叫んだことに驚いたのか、ニュートは…って、ニュート?
恐る恐るその男の人を見上げる。
「?」
この人…見たこと、ある!前にCMで。ファンタスティックビーストの主人公。
「ニュート、なの?」
「そうだけど…どうしたの?薬かかった?」
そう言って、顔を覗きこんでくる。…あばば!近い!無理!そう思って、ニュートからばっと離れた。
「カホ?」
CMで見たことのあるニュート・スキャマンダーがそこにいた。
足音がして先生がやってくる。
「全く!二人とも怪我はないですか…って、まぁ!」
先生が、ニュートを凝視する。
「Ms.マクゴナガル!今回は、老け薬を作りましたね?」
ひょー!こわぁ。…やっぱり?
「ひゃー!すみません!」
そう言って、先生の後ろに隠れる。
「え?老け薬?どういうこと?」
私が頭を振ると、先生が無言でニュートに鏡を手渡した。ニュートはそれを受け取り、顔をペタペタ触ってる。
「ぇ…。ええっ!?」
ばっとニュートがこっちを見る。先生の後ろに隠れた。ため息をついて、先生が杖を振った。
「二人とも、医務室へ行きなさい。後片付けはやっておきます。」
え!二人で?ムリムリ!先生を見たら、はよ行けと目で言われた。うう。
「…はい。」
ニュートは呆然としてる。私だって泣きたい。
「ニュート。行こう。」
ニュートの姿を見ずに言って、歩き出す。
「あ、うん。…待って!カホ。」
何時もより低い声が聞こえた。
…なんなのよ!そのイケボ!…なんで、私の好み知ってんのよ!
ーーーー
「ねぇ。カホどうしたの?」
早足で医務室へ向かっている時ニュートに声をかけられた。
「別に、なんでもない。」
「そんなわけないでしょ?待ってよ!」
後ろをついてくる足音が近くなる。いやー!
走り出そうとした時、ぐいっと腕を引かれて壁に背が当たった。目の前にはニュートがいる。背たっか!今も高いけど、それ以上だ。高すぎて、覆い被さるような体勢になっている。
「あ…。」
「ごめんね。いたかった?」
「…大丈夫。」
目が合わせられなくて、つい下を向いてしまう。
「…本当に?さっきから様子変だよ?」
そう言って、頬に手が添えられる。…や。
「っ!本当に大丈夫だから!早く医務室行こう。」
恥ずかしいだけだから!ぐいっと目の前にある胸を押した。…びくともしない。どうしよう。すると頭の上から声がした。
「…ごめんね。」
目の前が暗くなって、ニュートが屈んできたのがわかった。
「え?…きゃっ!」
背中と膝裏を触られる感じがしたと思ったら、ぐいっと持ち上げられた。…お姫様抱っこ。やめてー!恥ずか死ぬ。
「おっ、下ろして。」
そう言って、手足をばたつかせる。以外と高い!…高いところは好きだけど、これは違う。恥ずかしいよ!下ろしてぇ!
「ダメ。暴れないで。落ちちゃうよ?」
ニュートが私を抱え直す。
「~!」
恥ずかしい~!なんとなく怖くなって、動くのをやめ、ニュートの首にしがみついた。するとさっきよりも抱き上げる腕の力が強くなった。首筋に息がかかり、ニュートが笑っているのがわかった。…少しぞくっとした。
ふわふわしたニュートの髪に鼻を近づける。…ニュートの匂い。外見は大人になってもニュートだ。落ち着く。すりすりと頬を髪に擦り付ける。ニュートが息をのんだのがわかった。でも、なにも言わずニュートは私を抱き抱えて、人のいない廊下を歩いた。時々、抱え直すとき肌にニュートの手が触れる。温かくて、大きくてゴツゴツしてる。…男の人の手だ。すごくドキドキする。そういえば、ニュートに抱き締められても、抱き上げられたことはないな。
「ねぇ。カホ…。」
「…なに?」
顔を見ないから、いつものように話せるけど、声が低くてドキドキした。
「…あの、もう少し。スカート長くしない?」
なに?それ。いつも言わないじゃん!
「なに?どうしたの、急に?しないよ?短い方が可愛いもん。」
こういう制服のチェックスカートは短い方がかわいいの!
「えっと、でも…。」
「やだよ。しないから!」
それだけは譲れん!短いスカートは若い子の特権だ。マクゴナガル先生にばれないようにごまかしてんだから。大変なんだよ!
「カホ。」
「いや!」
そう言うと、ニュートは黙った。でも、なんかゴニョゴニョ言ってる。聞こえない振りをした。いやなものはいやなの!
そうしているうちに医務室へ着いた。扉の前で下ろしてもらう。
「失礼しまーす。」
扉を叩いて中に入る。入った瞬間怒鳴り声が聞こえる。
「全く!何をやってるんですか!」
ひょー!怒られた。
「うう。すみません。」
「ちゃんと反省してるんですか?」
「はい。」
しょぼんとしてみる。
「あ、先生。僕は大丈夫なので、先にカホを見てください。さっきから様子がおかしいので。」
「スキャマンダー…。そうなの?」
そう言って私の方を見る。私は、顔の辺りで手を振る。体調悪くない。むしろ、かっこよくて一緒にいるのが恥ずかしいだけ。その動作で先生は、察してくれたようだった。すげぇ。
「Ms.マクゴナガルは、あっちのベッドで少し休みなさい。次はあなたよ。スキャマンダー。」
先生に指示された通りベッドに横になった。あんまり、柔らかくないな…。
「特に、問題はないわね。あと数時間くらいで戻るでしょう。服も先生が大きくしてくれたのね。」
良かったー。元に戻るって。
「え!?あ、そういえば。…良かった。ありがとうございます。」
「どうする?このまま授業に参加するか、今日は目立たないよう部屋にいるか。」
「えっと。部屋にいます。…目立ちたくないし。」
「そう。先生にはそう伝えておきます。もし何かあったら、すぐにここに来ること!いい?」
「はい。ありがとうございました。」
足音が近づいてくる。
「カホ大丈夫?」
もちろん!大丈夫だ。そもそも体調悪くないし。
「うん、へーき。」
「そっか、良かった。この後の授業出なくても良くなった。カホは、どうする?もう少し寝ていく?」
ニュートがほっとしたのがわかった。…なんか、ちょっと罪悪感。ごめんね。布団に潜り込みながら聞いた。
「ニュートは?」
「僕?この姿じゃ目立つから、動物探しに行けないし。カホと一緒にいるよ。心配だし。」
そんなの、あたしが死ぬわ!とりあえず、離れたい。…遠目から大人ニュートを眺めていたい。こんな近くなくていい!寮に戻れば離れられるな。…授業めんどいし。サボろ!
「ありがとう。…寮に戻ろうかな。」
とりあえずそう言って、ベッドからもぞもぞ起き上がる。
「うん、わかった!カホ。」
靴を履き終わると、ニュートが屈んできた。
「え?」
「心配だから、ごめんね。」
そう言うと、さっきと同じように抱き上げられた。うそでしょ!?
「ニュ、ニュート!もう平気だから!一人で歩ける!」
「だめだよ。まだ、心配。それに顔赤いし。おとなしくしてて。ふふ…カホ、ちっちゃい。かわいい。」
イラッとするわ、恥ずかしいわでニュートの肩を叩いた。
「うるさい。…ニュートが大きいだけでしょ。」
こんなでかくなりおって!前は同じくらいだったのに。
「ふふ。ごめんね?」
絶対そんなこと思ってないでしょ!ムカつく。もう、何言っても下ろしてくれないなと思って、あきらめてニュートの首にしがみついた。…ニュートの匂い散々嗅いでやる!匂いフェチなめんなよ!ニュートの髪に顔をぐいぐい押し付けると、背中を軽くポンポンとされた。…子供扱い!ムキー!!
ーーーー
がちゃ
「はい。着いたよ。」
そう言って、私をベッドの上に下ろした。ん?ここ、ニュートの部屋じゃね?
「ねぇ。ここ、男子寮なんだけど?」
「え?うん、そうだよ。」
ニュートはきょとんとしてる。…何を当然のように言っとんじゃー!もうやだ。二人っきりとか死にそう。せっかく離れられると思って、寮に戻ったのに…。
わからないようにため息をついて、ベッドから立ち上がろうとすると、ニュートに止められた。
「どこ行くの?」
「部屋に戻るの。」
ここにいたら心臓が持たない。さっきからドキドキしっぱなしなのに!
「なんで?ここで休めばいいよ。…せっかく二人っきりになれたのに…。」
「~!?」
なんで、そんなこというのよ!その顔で!
「ね?もう少し、一緒にいよう?何かあったら、心配だし。」
「大丈夫。別になんともないし。」
そう言って立とうとすると腕を掴まれた。
「さっきからどうしたの?変だよ!…あ、もしかしてこの姿のこと?気にしないでいいよ。僕、ホントに平気だから。姿が違うだけでなんともないし。」
「…そう。良かった。ごめんね?」
それは良かったけど、そういうことじゃないのよ!自覚してないみたいだけど、ニュートかっこいいの!
「どうして。目、合せてくれないの?」
合わせられる訳ないじゃない!かっこよすぎてムリ!
「…。」
ニュートが覗きこんでくる気配がする。いやだ。顔を下に向けた。
「カホ。」
名前を呼ばれて、おでこ辺りに柔らかいものが触れた。
え?
つい顔をあげると、目の前にどアップのニュートがいた。
「あ…。」
ニュートが私の手を握る。あ、キスされる…。
もう一度名前を呼ばれて、私の唇にニュートのそれが触れた。
「カホ。こっち見て。」
顔は赤いけど、すごく優しい顔でニュートが言った。
目がそらせなくて、ニュートを見ていると、またキスをされた。
…もういや。観念して、ベッドに腰かける。
「ありがとう。」
そう言って、ニュートも私の隣に腰かけた。
なんで、そんな余裕そうなの?私はドキドキして死にそうなのに。ズルい。…息が苦しい。
「ニュートのばか。」
それをいうのが精一杯だった。そう言って、顔を背ける。
「うん。そうだね。」
そう言ってふわっと笑った。なによそれ。私がガキみたいじゃない!
「…ねえ。カホ。ホントにスカート長くしないの?」
またそれ?今日しつこくない?
「しないって、言ってるじゃん。」
「でも、カホの太腿、他の人が見るかも知れないし…。」
「は?」
意味がわからなくて、ニュートの方を向いた。
「だって。その、カホの太腿見慣れなくて、見ててドキドキするし。…他の人に見せたくない。」
なっ!そんなこと思ってたの?…まぁ、ニュートも男だもんね。つーか、あったんだ、性欲。そっちに驚き。
「はじめて聞いた。…そんなこれにドキドキするの?」
そんなきれいでもないよ?毛穴あるし、白くないし。そう言って、スカートを少し上にずらした。…あ、剃り残し。
「カホ!?」
大人のニュートが顔を赤くして慌ててる。なんか、楽しいかも!…さっきから散々ドキドキさせられた罰だ。
「ねぇ?」
「ちょっ!カホ!隠して!」
「えー?」
楽しい!私ってSなのかなぁ?
「うん、隠して。じゃないと…襲うよ?」
あ。なんか、雰囲気が変わった?あれ?ヤバい?
「好きにすれば?」
つい強がってそう言ってみた。どうせニュートだし。
「…わかった。」
そう言うと、突然肩を押されてベッドに倒れた。
え?なに?
困惑していると、ニュートが覆い被さって来た。ええ!うそでしょ!?
「ニュ、ニュート。」
「カホがいいって、言ったんだよ?…僕だって、男なんだから。忘れないで。」
「あ…。」
本気だったの?目がそらせない。いつもと雰囲気が違う。…男の人の目してる。どうしよう。
ぎしっと音がして、ニュートの顔が近づいてくる。思わず目を瞑った。
「ん…。」
キスをされる。何時もより長い…。何度も長いキスをする。…苦しい。ニュートの手が動いて、ネクタイが緩められる。
「はぁ…ニュート。」
苦しいよ。堪らずニュートの服を掴んだ。
「カホ。」
耳元で名前を呼ばれた。何時もより低くて、熱っぽい声…ぞくぞくする。
「…あっ!」
耳を舐められて、思わず声が出て手で口を覆った。
「だーめ。聞かせて。」
吐息まじりに耳元で言われる。…絶対わかってやってる。ニュート意地悪だもん。口を覆っていた手を外される。その間も、ニュートに耳たぶを舐められる。や、耳弱いの。
「やぁ…。にゅーと!」
身体がぞわぞわしてきた。顔を背けると首筋に舌がつたった。目に涙が溜まる。
「…っ!」
さっきからぞわぞわが止まらない。…もうやだ。ニュートのばか。バカ!
「はぁ…。」
すると、ニュートの舌が離れた。ニュートを見ると、また顔を近づけられる。
「カホ。かわいい。…好きだよ。」
何度も耳元でかわいい、かわいいと言われ首筋を舐められ、甘噛される。なんなの?今日のニュート…もう、むり。
「やだ…。んっ。」
「カホ。」
ボタンをいくつか外され、ニュートの舌が鎖骨にかかったとき、ドアノブが回る音がした。
「おい。スキャマンダー、大丈夫か…って。」
言葉がそこで途切れた。
キール!
慌てて、ニュートの胸を押し、緩んでいる襟元を握った。
「…キール。」
ニュートが身体を起こしてキールを見た。キールは少し顔を赤らめながら、呆れた顔してる。
「…なにやってるんだ、君たち。犯罪にしか見えないぞ。…大丈夫そうだな。」
そういうことはよそでやってくれと、キールは部屋を出ていった。
…うわぁ!恥ずかしい。見られた…次どんな顔して会えばいいのよ!
「カホ。」
あ、忘れてた。ニュート。
「なに?」
「えっと、ごめん。やり過ぎた。…カホが可愛くて、その、止まれなくて…。」
ニュートの顔が真っ赤だ。おろおろしてる。
「…別に、謝らないでよ。付き合ってるんだから、このくらい。…あっても、おかしくないし。」
あ。…はずい。なに言ってんだ?私!
「そ、そっか…。」
ニュートが頭の後ろをかく。…うう。なんなのよ、この茶番劇。
ん?…なんか、違和感。
「ニュート?」
ニュートの顔の皮膚がぼこぼこしてきた。
「え?…わぁ!」
急激に背が小さく、顔も幼くなっていく。少ししてそれはやんだ。
「ニュート!」
ニュートはきょとんとして、それから顔や手をペタペタ触った。一拍おいて、
「カホ!戻った!戻ったよ!」
と、私に抱き付いてきた。私も抱きしめ返す。
「うん!良かったぁ。」
ちょっと、涙出てきた。戻って良かった。まじで。
「カホ、泣いてる?」
身体を離して、私の顔を覗きこんでくる。
「…ほっとした。」
「そっか。心配かけて、ごめんね。」
「私こそ、変な薬作ってごめんなさい。」
ごめんね、ニュート。謝るとニュートに手を握られた。
「いいんだよ。君にかからなくて、良かった。」
優しい。私は目を瞑った。ニュートが近づいてくる。唇に柔らかいものが押し当てられた。
「って、カホは体調大丈夫なの?」
慌てて、ニュートが私の顔を触る。おでこくっつけたり。
「え?うん。…そもそも、体調悪くないし。」
「ええっ!…でも、様子違ったし。」
しゅんとした顔して、私を見た。私は、ニュートから目を反らしてポツリと言った。
「…だって、大人のニュート。かっこ良かったんだもん。…恥ずかしいし、どう接したらいいかわからなかったんだもん!」
「へ?…あー、ごめんね?」
なんか、少しにやついてる?
「…。」
恥ずかしくなって、ニュートに抱きついた。
「…そっか。大人の僕、かっこ良かったんだ。…ふふ。嬉しい!早く大人になりたい。」
「早く、ならなくていいよ。ゆっくり、大人になっていけば。」
急がなくていいよ。どうせみんな大人になるんだから。…それに、急になったら、私が困る。かっこよくて。時間をかけて慣れていきたい。
「…そっか。あの年の頃の僕はカホと一緒にいるかな?だったら、いいな。…ううん、一緒にいたい。」
きゅーんとした。
「うん!私も一緒にいたい。…好きだよ、ニュート。」
するっとそんな言葉が出た。
「カホ…。うん!僕も大好きだよ!」
更にぎゅうっと抱きしめられた。苦しいよ!でも、なんか心地よくて、離れたくなかった。
ーーーー
「じゃあ、あの視線合わさなかったり、ツンツンしてたのは照れ隠しだったんだ。」
「へ?」
今さらそんなこと、掘り返さないでよ!
「…そうだよ。」
「そっか。カホっていつも素直だけど、恥ずかしいとああなるんだね。」
「忘れてよ。」
「えー。やだよ!珍しいもん、あんなカホ。忘れない。」
「ふん。…大人のニュートは、なんか、大胆だった。」
「へ?そうだった?」
頷く。
「いつも、あんなことしない。」
「あんなこと?…あー、あれは。ごめんね。」
キョトンとしたあと顔を赤くした。
「すごく、意外だった。…ニュートもあんなことするんだね。」
「う、え!…カホ、僕のことなんだと思ってるの?…カホとそういうこと、したいって、思うよ。」
「へ?」
ニュートが真っ赤だ。
「カホ、ちっちゃいし、柔らかいし、かわいい。いつも触りたいって思う。それに、いつも足とかローブで隠れてるから、見えないけど、抱き上げたら見えちゃって。なんか、頭ぼーっとして触りたくてたまらなくなって…。」
「ス、ストップ!もういい!」
手を目の前に出す。もういい!もう言わないで!聞いた私が悪かった!ごめん。…くそはずい。
「カホ、照れてる。かわいい。」
「!」
もー。すぐ、そういうこと言う!
「…ニュートだって、顔赤い。」
少し、睨みながらそう言うと、
「ん。そうだね。」
と言って、少し笑った。
「ねぇ、カホ」
名前を呼ばれて、ニュートの方を向く。
「だから。いつか、カホがいいって言ったら。…続き、しようね?」
「~!」
ぼふっと顔が赤くなった。目が見れなくなって、首を縦に振るのが精一杯だった。
ニュートがふっと笑って、頭を撫でた。
「ありがとう、カホ。」
なんか、今日のニュートは大胆だ。
でも、いやじゃない。
時々大胆なのはいいけど、いつもはやめてね。心臓が持たないから。
でも、ホントに大人ニュートかっこ良かったな。全然恋愛対象になるわ、実年齢だったら。…また、会えるといいな。
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蓮間様、リクエストありがとうございました!…こんな感じになりました。楽しんで頂けたら嬉しいです。結局この二人はバカップルなんだと思います。
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