世界は夢でできている
19.星屑
星が綺麗。だって。
そうね。私もキラキラするものは好きだ。だからその輝きが美しいものだって、悪魔であっても思う心はある。
けれど。それは屑だ。何処かの星が爆発して散り散りに、木っ端微塵にぶっ飛んで喪った輝きだ。
私達はそれを綺麗ねと言って笑う。そうね。とても綺麗な物。
「……どうして」
「どうしてって、だから言ったじゃないですか。私は義両親……××××××さんに拾っていただき、今日まで生きて来られたのです」
それとは真逆の、とても穢くて信じられないものを見るような目。いや、逆ではないのかもしれない。屑だ。けれどそう、屑として殺したはずの女が綺麗に育ち目の前に訪れた。
ここで女を処分するには、理由をしまい切った過去から再び露にする必要があった。しかし処分する光景も、その過去の出来事も知られたくない者がいる。
「どういう事だ、母さん。父さん」
「る、ルース……それは、その……」
「ルース、さん。……血縁上はお兄様という事になるのですよね」
兄と言う言葉を私が口にした瞬間、何と禍々しく獣らしい顔だろう。ルース・シャーレの両親はおぞましい形相で目の前の女を見た。後ろにいるルース・シャーレに見えていないのは幸いか、不幸か。
私は目を伏せて自然に見なかった事にした。
「ルースさん。きっとお二人には理由があったのです。今まで言い出せないような深く、どうしても小さな子を一人、手放さなければいけないような理由がきっと」
決して女が嫌だったからという下らなく簡潔な理由ではなかったんでしょう?
ねえ?
なあ?
こっちは伏せた目を開けたんだ。さっきみたいに合わせてみろよ。そんな今から言い訳考えるような情けない顔してないでさあ。
「でも……それで何もわからない幼いルカさんを捨てて良いって事にはならないはずだ!俺にもずっと内緒にして……」
「ルースさんはお優しいのですね。でもそんなに気を使って頂かなくて良いのです。私はただ、本当の家族を知りたかっただけ。そして一目見に来たかっただけなので」
私がそう言ってやれば目に見えたようにほっとして、さっさとこの場をまとめにかかる二人。
「そ、そう。私達もあなたが無事で良かったと思うわ」
「あの時は仕方なしに泉に捨ててしまったが……後悔はしていたんだ」
それは血の泉かしら。
私は悪魔だから何度でもそこを訪れた事があるけれど、あんなに小さくて呪いの言葉も吐かない泉は初めてだったな。
「……」
ルース・シャーレがじっと私を見つめる。
天界の人間と言えど悪魔の存在を知らないのだ。知らない存在が放つ魔法に関しては何もわからないに違いない。
特に魅了の魔法なんて。
「……あの、それから戸籍がそちらに残っているみたいなので、その処理のお話ができればと」
「!勿論よ!今のご両親の方に養子として移せば良いのかしら」
「……ねぇ、母さん。父さん」
不条理に投げ捨てられたモノの気持ちは
「な、何?ルース……」
彼女とは違う物だけど、ここにある。
「ルカは俺の妹なんだろ?じゃあ、これから一緒に暮らせば良いじゃないか」
星屑を眺める気分はどう?
まあ彼らがどう思おうがどうでも良い事だけど。
星屑が眺められる気分は最高だ。最低で、最高だ。
星が綺麗。だって。
そうね。私もキラキラするものは好きだ。だからその輝きが美しいものだって、悪魔であっても思う心はある。
けれど。それは屑だ。何処かの星が爆発して散り散りに、木っ端微塵にぶっ飛んで喪った輝きだ。
私達はそれを綺麗ねと言って笑う。そうね。とても綺麗な物。
「……どうして」
「どうしてって、だから言ったじゃないですか。私は義両親……××××××さんに拾っていただき、今日まで生きて来られたのです」
それとは真逆の、とても穢くて信じられないものを見るような目。いや、逆ではないのかもしれない。屑だ。けれどそう、屑として殺したはずの女が綺麗に育ち目の前に訪れた。
ここで女を処分するには、理由をしまい切った過去から再び露にする必要があった。しかし処分する光景も、その過去の出来事も知られたくない者がいる。
「どういう事だ、母さん。父さん」
「る、ルース……それは、その……」
「ルース、さん。……血縁上はお兄様という事になるのですよね」
兄と言う言葉を私が口にした瞬間、何と禍々しく獣らしい顔だろう。ルース・シャーレの両親はおぞましい形相で目の前の女を見た。後ろにいるルース・シャーレに見えていないのは幸いか、不幸か。
私は目を伏せて自然に見なかった事にした。
「ルースさん。きっとお二人には理由があったのです。今まで言い出せないような深く、どうしても小さな子を一人、手放さなければいけないような理由がきっと」
決して女が嫌だったからという下らなく簡潔な理由ではなかったんでしょう?
ねえ?
なあ?
こっちは伏せた目を開けたんだ。さっきみたいに合わせてみろよ。そんな今から言い訳考えるような情けない顔してないでさあ。
「でも……それで何もわからない幼いルカさんを捨てて良いって事にはならないはずだ!俺にもずっと内緒にして……」
「ルースさんはお優しいのですね。でもそんなに気を使って頂かなくて良いのです。私はただ、本当の家族を知りたかっただけ。そして一目見に来たかっただけなので」
私がそう言ってやれば目に見えたようにほっとして、さっさとこの場をまとめにかかる二人。
「そ、そう。私達もあなたが無事で良かったと思うわ」
「あの時は仕方なしに泉に捨ててしまったが……後悔はしていたんだ」
それは血の泉かしら。
私は悪魔だから何度でもそこを訪れた事があるけれど、あんなに小さくて呪いの言葉も吐かない泉は初めてだったな。
「……」
ルース・シャーレがじっと私を見つめる。
天界の人間と言えど悪魔の存在を知らないのだ。知らない存在が放つ魔法に関しては何もわからないに違いない。
特に魅了の魔法なんて。
「……あの、それから戸籍がそちらに残っているみたいなので、その処理のお話ができればと」
「!勿論よ!今のご両親の方に養子として移せば良いのかしら」
「……ねぇ、母さん。父さん」
不条理に投げ捨てられたモノの気持ちは
「な、何?ルース……」
彼女とは違う物だけど、ここにある。
「ルカは俺の妹なんだろ?じゃあ、これから一緒に暮らせば良いじゃないか」
星屑を眺める気分はどう?
まあ彼らがどう思おうがどうでも良い事だけど。
星屑が眺められる気分は最高だ。最低で、最高だ。