第1話
◆◆◆
なんの予兆もなかった。
いや、ちょっとおかしいかな、と思う所はあったけれど、至っていつも通りなはずだった。
「あねさん」
初撃をもろにうけた脇腹が不思議な痛みを自身に与える。かすむ視界の中、ヘンゼルはこちらに手を伸ばしていた。
震える腕を必死にそちらへ伸ばしたその刹那。音の無い光の世界が広がった。
あねさんは…姐さんは俺を裏切ったりなんかしない。こんな時にだって、それだけは信じられた。
_________
姐さんはいつもそうだ。俺に「君はそのままでいて」と何も教えてくれない。この舞台 の事も、過去のことも何一つ。1年前のことだって。
俺はぺぽかたちと別れ、またセカイを浮遊していた。そうしていると用事が終わったのか姐さんがちょんっと俺の肩に触れて「なにかあったのかい」と話しかけた。
ぺぽかたちにはなしかけられたことを話せば「ひめが?」と少し怪訝そうな顔。きょとんとした顔か素っ気なく返すかだと思っていたから少し意外。
姐さんと連れ立ってセピアの世界の中、ビルの谷間を歩く。こういう薄暗いところは俺といる時はあまり来ない。何かあったのか姐さんの方なのかなと考える。考えることは苦手だけれど。
「灰かぶり。君はなんで魔法少年になったんだっけ。」
暗いだろう路地をわけいって、時々見える人影を通り過ぎながら姐さんは俺に問いかけた。
「あんたなら知ってるでしょ?最初の理由も。」
「そう、だったね。」
今日の姐さんはいつもよりおかしい。いつもこういう時は、俺の話の時は目を合わせてくれたのに。
「ねぇ、灰かぶり。」
開けた所に出た。
「君は、君には叶えたい来世はある?」
「……俺は_。」
_________
ヘンゼルがシンデルラに伸ばしたその手をきゅと握ったと途端に、凄まじい光と爆発音。止んだその時、その場にシンデルラの姿はなかった。姿を消した……?逃げきれたのか、それとも……__
何度も繰り返された異常な、鮮やかな爆発音に、かけつけた何人かの魔法少年少女たち。しかし、入る間すらなく戦いを傍観するしか無かった。
平然とその場に立つヘンゼルと消えたシンデルラに場が困惑に包まれる中、パンパンと2拍。いつの間にかヘンゼルの前にはデアの姿があった。
デア
「シンデルラさんの消滅が確認されました!いやぁ、流石ですねヘンゼルさん。」
にっこりと、まるでテストで100点をとった子供を褒めるような明るい声。ヘンゼルは無言、ただデアを睨みつけた。
「まさか最初の脱落者がシンデルラさんで、しかもそれをしたのがヘンゼルさんだなんて…いやぁ、予想外でとても面白い展開ですね!」
「……せ。……だから………だろ。」
ヘンゼルの口からかすかに音が紡がれた。しかしそれはこちらには届くことはなかった。デアにはきこえているのかいないのか、ただにっこりと笑っている。
「しかし良かったです安心しました。他でもないアナタに魔法少年少女と戦う意思があったことがわかって。」
だってそうでしょう?
デアはうっそりと目を細めた。
ないと分かっていても、あの時のペナルティがトラウマみたいになってたらと思ったら。
なんの予兆もなかった。
いや、ちょっとおかしいかな、と思う所はあったけれど、至っていつも通りなはずだった。
「あねさん」
初撃をもろにうけた脇腹が不思議な痛みを自身に与える。かすむ視界の中、ヘンゼルはこちらに手を伸ばしていた。
震える腕を必死にそちらへ伸ばしたその刹那。音の無い光の世界が広がった。
あねさんは…姐さんは俺を裏切ったりなんかしない。こんな時にだって、それだけは信じられた。
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姐さんはいつもそうだ。俺に「君はそのままでいて」と何も教えてくれない。この
俺はぺぽかたちと別れ、またセカイを浮遊していた。そうしていると用事が終わったのか姐さんがちょんっと俺の肩に触れて「なにかあったのかい」と話しかけた。
ぺぽかたちにはなしかけられたことを話せば「ひめが?」と少し怪訝そうな顔。きょとんとした顔か素っ気なく返すかだと思っていたから少し意外。
姐さんと連れ立ってセピアの世界の中、ビルの谷間を歩く。こういう薄暗いところは俺といる時はあまり来ない。何かあったのか姐さんの方なのかなと考える。考えることは苦手だけれど。
「灰かぶり。君はなんで魔法少年になったんだっけ。」
暗いだろう路地をわけいって、時々見える人影を通り過ぎながら姐さんは俺に問いかけた。
「あんたなら知ってるでしょ?最初の理由も。」
「そう、だったね。」
今日の姐さんはいつもよりおかしい。いつもこういう時は、俺の話の時は目を合わせてくれたのに。
「ねぇ、灰かぶり。」
開けた所に出た。
「君は、君には叶えたい来世はある?」
「……俺は_。」
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ヘンゼルがシンデルラに伸ばしたその手をきゅと握ったと途端に、凄まじい光と爆発音。止んだその時、その場にシンデルラの姿はなかった。姿を消した……?逃げきれたのか、それとも……__
何度も繰り返された異常な、鮮やかな爆発音に、かけつけた何人かの魔法少年少女たち。しかし、入る間すらなく戦いを傍観するしか無かった。
平然とその場に立つヘンゼルと消えたシンデルラに場が困惑に包まれる中、パンパンと2拍。いつの間にかヘンゼルの前にはデアの姿があった。
デア
「シンデルラさんの消滅が確認されました!いやぁ、流石ですねヘンゼルさん。」
にっこりと、まるでテストで100点をとった子供を褒めるような明るい声。ヘンゼルは無言、ただデアを睨みつけた。
「まさか最初の脱落者がシンデルラさんで、しかもそれをしたのがヘンゼルさんだなんて…いやぁ、予想外でとても面白い展開ですね!」
「……せ。……だから………だろ。」
ヘンゼルの口からかすかに音が紡がれた。しかしそれはこちらには届くことはなかった。デアにはきこえているのかいないのか、ただにっこりと笑っている。
「しかし良かったです安心しました。他でもないアナタに魔法少年少女と戦う意思があったことがわかって。」
だってそうでしょう?
デアはうっそりと目を細めた。
ないと分かっていても、あの時のペナルティがトラウマみたいになってたらと思ったら。