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プロローグ

とんとん、と身体に衝撃が伝わる。
そういえば何か……暑い。まぶたをこじ開けてみれば……__少年……少女?ともつかない顔が目の前に現れた。ここは自室で母の気配もない今、入ってこれるものはいないというのに。
不思議そうに首を傾げると目の前のその子は「やっと伝わった」とため息をついた。そして自分に手を差し伸べ「こっちにおいで」と囁いた。混乱したままその手を掴むとその子に連れられるまま扉の外へ……
「何か……聞こえる?」
ぱちぱちという音。ふと目を向けると……火?
呼吸が自然と浅くなり体が震え固まる。手を握っている子はこちらを振り返る。呆れた様な「ちょっと、このままだと君……死ぬよ。」という声は聞こえない。完全にすくんだからだが突如……浮いた。
「姐さん。多分もう動けないと思う」
パニック。誰?何?何をされる??暴れ回るもその手が緩むことはなくガッチリと掴まれる。
そうしているとまた誰かの声が聞こえ、目の前の壁から突如少女が現れた。
「ヘンゼルくん!もうそろそろ迎えが来そうだよ〜」
「ん、ありがと。灰かぶり、その子を窓際まで」
後ろの何者かに抱えられるまま窓際へ。あと数歩でベランダというところまで来ると少女と最初から居た子が窓を開けた。
「さ、ここまで来たら外へ行くだけ。そこで助けを呼びなさい。大丈夫。後ろはどうにかするから。」
今まで自分を抱えていたものに背中を押され、その数歩を駆け出した。ベランダの策を掴むともうすぐ傍に分厚い格好……消防士さんの格好をした人が迫ってきていた。息を吸い込むとその人に向かって……。




「よかった、よかった。」
病院。少年をきつく抱きしめ、母親が涙声で言った。
少年はただ呆然としていたが、はっとした顔をすると母親に言った。
「あの人たちはどうなったの?」
少年の言葉に母親はあのひとたち?と首を傾げる。少年は3人の不思議な人に助けられた、その話をしようと口を開けた。
「あのね、僕……あれ、何があったんだっけ?」
寝ていて……それで?
母はまだ混乱していて覚えていないのねと少年の頭を撫でた。








「任務完了」
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