先生に診察してもらい、別の部屋で説明を聞いた。

｢苗字さんは、逆行健忘と思われます。頭部の強いダメージや精神的なダメージで記憶をなくしてしまうことです。自分の仕事も忘れてますが、それ以外は大丈夫そうなので普通に生活はできそうですが、念の為2.3日入院した方がいいでしょう。｣

｢そうですか…。わかりました…。｣
俺は意気消沈していた。

説明を終え、風戸先生は出ていった。

すると、入れ替わる形で高木刑事と千葉刑事が入ってきた。
｢佐藤さんの手術終わりました。なんとか弾は取り除き、一命は取り留めました。｣

｢ねぇ、千葉刑事、懐中電灯の指紋は調べたの？｣
｢あぁ、でも、苗字さんの指紋しか出なかったよ。てっきり、佐藤さんが懐中電灯を持っていたのかと思っていたけど。｣

｢っえ！じゃぁ、名前は頭の怪我もだが、自分のせいで佐藤刑事が撃たれたと思ったはずだ…。そのせいで記憶を…？｣

すると、目暮警部が
｢安室くん、本当に申し訳ない。さっき話したあの事件について話そう。安室くん協力してくれるかい？｣

｢はい。もちろんです。僕の大切な人をこんな目に合わせた犯人を許さない。必ず捕まえましょう。目暮警部、ありがとうございます。｣


毛利先生やコナンくん、妃先生も交えて、目暮警部が事件について話してくれた。

｢去年の夏、仁野保氏が自宅マンションで刺殺体として発見された。担当した刑事は私の上司だった、友成警部と奈良沢警部、芝くんに佐藤くんだ。首には切られた跡があり、死因は失血死。仁野氏の手には手術用のメスが握られていた。仁野氏はこの時、手術ミスで訴えられており、パソコンに遺書があったことから、我々は遺族に対する自責の念で自殺したと考えていた。しかし、仁野氏の死に疑問を抱いたのが仁野氏の妹の環さんだ。｣

そう言って、目暮警部は妹、環さんの写真を見せてくれた。
すると、コナンくんが
｢おじさん！この人！｣
｢思い出した！この人、1度だけ事務所に来たことがある。｣

｢えー！事務所に来たの？｣
｢それで、彼女はなんの依頼を？｣
目暮警部が毛利先生に尋ねるが
｢いやー、それが、その日は酒に酔っていまして、何の依頼だったか覚えてらんのですよ。｣

コナンくんと妃先生、目暮警部達は呆れ顔だった。

｢全く…。｣
白鳥警部が
｢環さんは兄の保は患者のことなど一切考えない人間で、自責の念なんかで自殺するような人じゃない。と言っていたんだ。｣

｢捜査をしていくなかで、仁野氏が紫色の髪の男と言い争っているのを見た人がいてな。その人物を見つけ、張り込みをしていたんだ。張り込み中に友成警部が持病の心臓病の発作が起きてしまい、佐藤くんが救急車を呼ぼうとしたが、友成警部は張り込み中だからと断り、車に薬を取りに1人で戻ったらしい。しかし、なかなか戻ってこないため、佐藤くんが様子を見に行くと、友成警部が倒れていて、佐藤くんは急いで病院に連れて行ったんだ。この時、手術を担当したのが仁野氏だったんだ。｣

俺は気になったことをメモをした。