目暮警部が事情聴取は明日、登庁した時にすることにしてくれたため、零さんの車に乗って帰宅した。

～車内～

『まさか記憶喪失になるなんて思ってもなかったです。でも全部思い出せてよかったです。』

｢本当だよ…。さっきも言ったが、俺のことも忘れてたから名前が記憶をなくしてからは本当に辛かった。このまま一生安室透という偽りの姿で生きていかないといけないかと思ったよ…。｣

零さんはまた目に涙を溜めていた。

『辛い思いさせてすみませんでした。あと、1つ思ったんですけど、零さん何で私達がトロピカルランドに行ったって知ってたんですか？』

｢コナンくんだよ。コナンくんは毛利先生達に内緒で仁野さんの事件を調べていて、仁野さんの妹さんの環さんと会っていたみたいで、そこで風戸先生が犯人だと気づいたらしい。俺も風見に頼んで調べてもらっていたんだ。風見から報告があった後、すぐにコナンくんから連絡があったからトロピカルランドに向かいながらコナンくんが調べて分かったことを聞いて、風戸先生が犯人だと確証したんだ。｣

『そうだったんですね。コナンくんさすがですね。』

｢本当だよ。彼の推理力にはびっくりするよ。でも、本当名前が殺される前に間に合って本当によかった…。｣

『また零さんに助けられましたね。ありがとうございます。』

｢今回は俺も名前に助けられたよ。気を抜いてしまったのは過失だったが、馬乗りで首元を押さえられてナイフを向けられた時はさすがにヤバいと思ったが、名前がナイフの刃を折ってくれたおかげで助かったよ。ただ、最後の蹴りはやり過ぎだ。｣

零さんは私の頭に軽くデコピンをした。

『あの時は零さんを助けるのに必死で…笑』

私は零さんにデコピンをされたところを擦りながら言った。

信号が赤になり、停車すると零さんは私の頭を引き寄せ唇にキスをした。

｢本当に思い出してくれてありがとう。｣

『零さん…。』
零さんの目から涙が溢れたので、私は零さんの頬に手を当て、親指で涙を拭いた。

車はしばらく走って、自宅に着いた。