『透さん、私なんかよりずっといい人がいるはずです。透さんだけでも逃げて下さい。これ以上、透さんに危険な目にあってほしくないんです。』

透さんは握っている手に力を入れ、
｢名前じゃなきゃダメなんだ。この世界で1番好きな名前じゃなきゃ。だから、名前のことは何があっても俺が守る。｣

そう言うと、透さんは私を抱え、後ろを流れている水に飛び込んだ。

｢名前、ボートの下に潜るよ！｣
そう言って、大きく息を吸い、ボートの下に潜ると、風戸先生は水面に向け、発砲してきた。

ボートがトンネルに入ったところで私達はボートに乗り込んだ。

アトラクションの降り口に着き、ボートを降りて再び走り出す。

しばらく走り、広場に着いた。

｢もう終わりにしましょうよ。｣
｢ここで僕達を殺すと友成真の無実を証明することになりますよ。｣

｢そうなんだよ。だが、仕方がない。ここは、レディーファーストかな？｣
風戸先生は私に銃を向ける。

透さんは時計を見ると、ニヤリと笑い、カウントし始めた。

｢10…9…8……｣
｢何かのおまじないか？｣

｢5…4…3…2…1…0！｣
すると、勢いよく噴水が上がり、私と透さんを包み込んだ。

風戸先生が私に向けていた銃を持った手に噴水の水が当たり、噴水の中から銃だけが見える形になった。

それを見た私は美和子さんが撃たれた時のことや零さんやコナンくん達のことなど忘れてしまっていた記憶を全て思い出した。

透さんは私のリュックから缶ジュースの缶を取り出すと真上に投げる。

それを見た風戸先生は缶を銃で撃った。

｢ここか！｣
噴水の勢いが弱くなったのを見計らい、零さんは風戸先生の方に走り、殴りかかる。
風戸先生は倒れ、手から銃が離れた。

その銃を零さんは蹴って遠くにやった。

これで一安心かと思ったその時、風戸先生は零さんに突進し、零さんに馬乗りになり、首元を押さえつけナイフを振りかざす。

私はそのナイフの刃を蹴り折った。
風戸先生は唖然とした。

『全部思い出したわ！事件のことも、私が警察官で空手の世界大会で優勝したこともね！』

｢空手の世界大会で優勝…!?｣
私は風戸先生に蹴りをいれ、気絶させた。

｢名前…、相変わらず強いな…。にしても、少しやりすぎだ…。苦笑｣
零さんは人差し指で頬を掻く。