｢そして、友成真が父親の友成警部の死で警察を恨んでいること、仁野氏の事件が再捜査されることをどこかで知った。それで、自分に捜査の手が伸びる前に奈良沢警部と芝刑事を撃ったんですよね？｣


｢そうさ。奈良沢警部は友成警部が亡くなったことに酷くショックを受けていてカウンセリングに来たんだ。治療していく中で友成真が警察を恨んでいることも知った。｣

｢それであなたは、友成真に罪をきせるため、現場に呼び寄せた。｣

｢そうだ。奈良沢警部と芝刑事の時は自分の声で。佐藤警部の時は…。｣

｢女性患者を診察した時に録音した声を編集して…。ですよね？｣

｢その通りだ。さすが探偵だな。｣

透さんは後ろで腕を組み、指で下を指した。下を見ると穴が空いていて、避難口にで滑り台になっているようだ。
私は透さんに近づいた。

｢奈良沢警部が左胸を掴んで亡くなったことを白鳥警部から聞いたんですよね。だから、芝刑事の時に友成真を連想させる為に芝刑事の手に警察手帳を握らせた。｣

｢あぁ、私は白鳥警部の主治医だからね。だが、私が犯人だと言う証拠がない。佐藤警部の時、硝煙反応が出ていないじゃないか。｣

｢そのトリックを知りたいのであれば、教えてあげますよ。あなたが捕まった後で…。｣

そう言って、私と透さんは穴に飛び込んだ。

滑り降り、私が出口に向かおうとすると、
｢そっちは犯人が待ち伏せしているはずだ！こっちだ！｣
透さんは私の手を引き、関係者通路の方に走り出す。

階段を駆け上がるとさっきとは違う、広い場所に出た。

『ここは？』
｢冒険と開拓の島だ。この通路はさっきいた島と繋がっているんだよ。｣
そう話していると、透さんの近くの岩に弾が当たった。

｢くそっ！ボートで追ってきたのか!?｣

｢まだ話の途中だったな。｣

｢では、教えてあげますよ。傘を使ったんですよね？あらかじめ傘に穴を開けておき、そこから医療用手袋をはめ、銃を出し発砲。傘と手袋が硝煙から守ってくれ、硝煙反応は出ない。手袋はトイレで流せば見つからずに証拠隠滅ができる。これが佐藤警部を撃った真相。名前は佐藤警部を撃った後に掴みかかろうとしてきたため、腕を撃ち、投げ飛ばし、頭を打ったと言ったところでしょう。違いますか？｣

｢そうだ。苗字さんを撃つ予定ではなかったが、佐藤警部を撃った後に顔を見られてしまったから投げ飛ばしたら、ちょうど頭を強打し、倒れたからね。運良く助かったが、記憶をなくした。だが、危険な芽は摘んでおこうと思ってね。そして、あんたも真相を暴かれたから、死んでもらう必要がある。｣

そう言って風戸先生は銃に弾を装填し始めた。
その隙に、透さんは私の手を掴んで走り出す。